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【公演レポート】 錦織健プロデュース・オペラvol.6 《後宮からの逃走》

錦織健プロデュース・オペラvol.6 《後宮からの逃走》を観てきました!日本語の台詞で親しみやすい工夫がされつつ、音楽的にはとても真面目な公演でした。

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錦織氏がプロデュースするこの有名なオペラ・シリーズ、私は今回が初めてでした。モーツァルトのオペラは日本で上演が大変多いけれど、そのほとんどがダ・ポンテ三部作か《魔笛》で、今回はこれらの作品に負けない名曲がぎっしり入っている《後宮》を上演してくれて嬉しかったです。

舞台は太守の館の建物が左右にあり壁と鉄格子の門。装置は全幕通して同じなのですが、幕ごとに塀の外から内側へと視点が変わるのと、海や船などが美しいので飽きませんでした。時間の移り変わりを示す照明も素敵です。演出は台本を忠実に再現した分かりやすいものでした。


オペラの冒頭から錦織・ベルモンテが登場です。丁寧な歌と気品ある舞台姿。いいですね〜〜〜。オスミンの志村文彦は低音が良く響く美声で歌も良かったです。ペドリッロの高柳圭は爽やかで、コミカルな役作りも上手い。ブロンデの市原愛はおきゃんな役柄にぴったりで華があります。
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コンスタンツェの佐藤美枝子は貫禄でした。しっかり構築された佐藤の歌は決してぶれません。オペラを聴く醍醐味を感じました。第二幕の超絶技巧のアリア「あらゆる拷問が」も完璧だったと思いますが、その前にある恋人を思って歌う「あなたと離れて」の叙情性はまた格別でした。
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それから、《後宮からの逃走》の大きな特徴は歌うレチタティーヴォの代わりに台詞があることです。日本語の台詞はやはり内容がストレートに入ってきて良かったです。太守(台詞のみの役)の池田直樹はあの響く声で台詞回しも堂々としていました。まあでもせっかく彼を起用して台詞のみの役なのは残念かな?と。
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ところが物語の最後に、逃げようとしたコンスタンツェとベルモンテを太守が許すシーンで、思いがけない踏み込んだ台詞が語られました。正確な記憶ではありませんがだいたいの内容は、「キリスト教徒と我々回教徒は何百年も戦ってきた。これから先、また何百年もそうかもしれない。少しでも恨みを減らさねばいつまでたっても平行線だ。私は…許そう」。おそらくこれは、今の世界状況を考えての相当に思い切った表現だったのではないでしょうか?オペラ全体が見事に深い意味を獲得していました。これは池田直樹という歌役者が日本語で語ったからこそだったと思います。会場は深い感動に包まれました。
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現田茂夫指揮の東京ニューシティ管弦楽団はゆったりめのテンポで歌を良く支える演奏、合唱団ラガッツィも良かったです。また歌手の皆さんのドイツ語もきれいでしたし、岩下久美子の字幕も読みやすくて的確でした。
(所見:2月22日)
reported by Mika Inouchi / photo: Naoko Nagasawa


錦織健プロデュース・オペラvol.6

《後宮からの逃走》〜ハーレムから助け出せ!〜

作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:ゴットリープ・シュテファニー
全三幕
原語上演(語り:日本語)/日本語字幕付

2015年02月22日(日) 14時開演 サンシティホール
2015年03月13日(金) 18時30分開演 東京文化会館
2015年03月15日(日) 14時開演 東京文化会館
※全国日程を見る※<ジャパン・アーツ>のサイトへ

コンスタンツェ:佐藤美枝子
ベルモンテ:錦織健
ブロンデ:市原愛
ペドリロ:高柳圭
オスミン:志村文彦
太守:池田直樹

プロデューサー:錦織健
音楽監督・指揮:現田茂夫
演出:十川稔
テーマアート:天野喜孝
舞台装置:杉山至
衣裳:小野寺佐恵
照明:矢口雅敏

合唱:ラガッツィ
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

字幕制作:岩下久美子

企画制作:ジャパン・アーツ、タルカス

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