オペラ・エクスプレス

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【公演レポート】首都オペラ《アラベラ》

首都オペラ アラベラ

首都オペラ 【アラベラ】 第二幕より
(C) Naoko Nagasawa

【公演レポート】首都オペラ《アラベラ》
神奈川県民ホールで上演された首都オペラ《アラベラ》初日を観劇しました。

首都オペラは1989年に《オテロ》で旗揚げ公演を行って以来、今回の演目が第23回目になるという老舗のオペラ団体です。リヒャルト・シュトラウスの生誕150年を記念する今年は《アラベラ》を取り上げました。

会場の神奈川県民ホールは間口が広くオペラ上演に向く劇場とは言えないかも知れませんが、その分、二階、三階席からも比較的舞台が近く見やすいホールです。ロビーからは山下公園と海が見えてマチネ公演だと特にロマンチックです。

《サロメ》《エレクトラ》《ばらの騎士》そしてこの《アラベラ》など、複雑な音楽ゆえにオーケストラにも歌手にも負担が大きいと言われるシュトラウスのオペラですが、今回の上演はそのような困難をほとんど感じさせず、シュトラウスと、偉大なる作家で彼のために数多くのオペラ台本を書いたホーフマンスタールが作り出した世界にうっとりと浸る事が出来ました。

キャストは適材適所。出演者は皆さん容姿端麗で、声もそれぞれの役に良く合っていました。特にアラベラ役の津山恵が美しい姿と身のこなしに加え、ドイツ語がとても聴き取りやすい安定した歌唱で素晴らしかったです。そしてある意味このオペラの要となる、アラベラの妹で、人前では男の子の格好で弟として育てられているズデンカを歌った山口佳子もまた大変美しい舞台姿と役柄に良く合った澄んだ声、そして思わず感情移入してしまう歌で惹き付けました。男性陣も充実しており、マンドリカを歌ったバリトンの月野進は容姿も声もこの役に良く合い、歌もとても良かった。そしてズデンカが恋するマッテオ役の内山信吾もリリックなテノールの美声、またアラベラとズデンカの両親を演じた佐藤泰弘と佐伯葉子も演技と歌がこなれていました。

中橋健太郎左衛門指揮の神奈川フィルは集中力のある演奏。シュトラウスらしい陶酔を誘う音色を聴かせ、ソロ奏者も巧みでした。

舞台は、中央に斜めに置かれた大階段があり、そこから天上まで階段が曲線を描いて続いているように見えるデザインになっており、その天上への階段は第三幕ではバランスを失った形になります。佐藤美晴による演出は基本的には写実的なものですが、それに加えて少しピリッと来るスパイスを効かせてあって面白かったです。そして芸術顧問でもある奥畑康夫の照明が素晴らしく、特に第二幕の舞踏会と、第三幕のアラベラとマンドリカの二重唱における、舞台奥一面に広がる星と大階段に当てられた動きのある青い照明などは、まさにこの「愛と許しのドラマ」を表現していたと思います。

reported by Mika Inouchi

第23回首都オペラ公演
リヒャルト・シュトラウス《アラベラ》
台本:フーゴー・フォン・ホーフマンスタール

指揮:中橋 健太郎左衛門
演出:佐藤 美晴

2014年10月11日(土)14:00開演
10月12日(日)14:00開演

10月11日
アラベラ 津山恵
マンドリカ 月野進
ズデンカ 山口佳子
マッテオ 内山信吾
ヴァルトナー 佐藤泰弘
アデライーデ 佐伯葉子
フィアカーミリ 石井実香

10月12日
アラベラ   藤井直美
マンドリカ  安藤常光
ズデンカ   渡辺文子
マッテオ   佐々木洋平
ヴァルトナー  佐藤泰弘
アデライーデ  相馬百合江
フィアカーミリ 梅津 碧

10月11日、12日
エレメル伯爵  浅野和馬
ドミニク伯爵  御舩 鋼
ラモラル伯爵  宇田川慎介
占い女   前坂美希
ホテルのボーイ 柳亭雅幸

管弦楽団  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

合 唱  首都オペラ合唱団
合唱指揮  川嶋 雄介

神奈川県民ホール 大ホール

総監督  永田優美子
芸術顧問  奥畑康夫

美 術  松生紘子
照 明  奥畑康夫
音 響  関口嘉顕
舞台監督  徳山弘穀
舞踊監督  横井茂
ヘアー・メイク  篠崎圭子

主催 首都オペラ/神奈川県民ホール[指定管理者:公益財団法人 神奈川芸術文化財団]

助 成  芸術文化振興基金助成事業

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