オペラ・エクスプレス

The opera of today from Tokyo, the hottest opera city in the world

オペラで愛まSHOW!■第一回 「接待オペラ?」 ■

はじめまして!サラリーマン、オペラ歌手?小説家?の

香盛(こうもり)修平です。

こうもり
会社を一歩出ると、あるときは天井に逆さまにぶら下がりサラリーマン社会を俯瞰し、あるときはヨハン・シュトラウス「こうもり」ファルケよろしく、「オペラ」の楽しさを伝える仕掛人、案内役として楽しみながら思いつくままの文章を書いております。
夜は居酒屋でぐだくだと言いながら酒を飲み、趣味と言えば、たまにゴルフに行くぐらい。音楽?そんなものは全く無縁。 小学校の時、両親に連れられて、無理矢理ピアノ教室に通いだしたものの一週間で脱走。少年野球チームでレギュラーになることの方が大切だった。そんなどこにでもいるサラリーマンが、30才を過ぎて「オペラ」に出会った!

音楽の専門教育を受けたわけでもない、元々クラシックが好きだったわけでもない私が完全にノックアウトされてしまったのです。そんな私のオペラとの出会い、そこで見た衝撃や感動、楽譜の読めないサラリーマンのオペラ攻略法、私なりの「オペラ」魅力解説、愛すべき音楽家達の生態、オペラ妄想などを無責任に語るコーナーです。全くオペラを観たことがない方も、大オペラ歌手も、肩の力を抜いて気楽に読んでいただければ幸いです。

では第一回は自己紹介を兼ねて、私のオペラとの出会いからスタートすることにしましょう。

 

オペラで愛まSHOW!


■第一回 「接待オペラ?」■

それは取引先からの一本の電話がきっかけだった。

「香盛(こうもり)さん、オペラに出て欲しいんだけど」
「はあ?オペラ?」
「うん。合唱メンバーが足りないんだ。考えといてね」ガチャン!

何を頼まれたのかも理解できなかった。楽器をやったことも、合唱をやったこともない。ましてオペラなんて! 太った女の人が体の前で手を組み、口を不自然に縦に開けて歌っている映像が脳裏に浮かんだ。重要な取引先であり、大きな商談が控えていた。上司に相談すると「おもろいやんか。接待オペラ!そう!接待オペラや。命までは取られへん。行ってこいよ」と関西の会社らしい無責任なアドバイス。断りきれない性格が幸い?して取りあえず見学に行くことにした。

ビゼー作曲「カルメン」公演(訳詞上演)まであと二ヶ月。

見学のつもりで行ったその日が、実は立ち稽古の初日。楽譜は二日ほど前に家に届いていたが、中学時代の音楽は睡眠時間で、高校も美術を選択していた私に楽譜なぞ読めるはずもなかった。形だけ見学して「やっぱり無理です」と断れば得意先への義理は立つと思っていた。 そこで「オペラ」とはお別れのはずだった。万一出演することになっても、どうせ取引先のサラリーマンが出演するくらいだから、市民の第9のようなもので、一人くらい口パクでもなんとかなるだろう。

しかしそんな考えは、張り詰めた空気の練習場に入った途端に吹き飛んだ。

前方には机が並んでいて、中央には指揮者の譜面台。その横には何やら舞台の図面のようなものを見ながら難しい顔をしている男性が座っている。 机の端の方には、会社では絶対見ない派手な服を着て、大きな声でしゃべっている女性達、それに負けないキャラクターの濃い男性達。恐らく主演のメンバーなのだろう。 練習場に着いた時にもらったあり得ない美女達の写真が入ったチラシと見比べる。
確かに歌い手と思われる人たちはチラシと同一人物だが、写真の方が少し若い。しかし、それでも十分魅力的で思わず見とれてしまった。 その中にいたカルメン役の女性が、私の方に視線を送っているように感じて、思わず視線をそらした。

「スター誕生」そんな言葉が頭に浮かんだ。

「取りあえず今日は見学で……」と言える雰囲気などどこにもなく、てきぱきと動く小柄な女性に名前の書かれたゼッケンを手渡され、40~50人ほどの合唱メンバーとともに練習会場の中央に集合させられた。
「おはようございます!私は演出助手をしております。よろしくお願いします」
よく通る凛とした声に、合唱メンバーの顔に緊張感が走った。
「皆さん暗譜されていますよね。それでは立ち稽古に入ります。合唱の方はフェルマータの形に並んでください。上手がバス、下手がソプラノ。パート別でいいから」

合唱メンバーはさっと半円形に整列したが、私は意味がわからず円の真ん中で呆然と立ちつくしていた。首筋に冷たい汗が流れるのを感じた。人生最大のピンチだった。

続く

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