オペラ・エクスプレス

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オペラで愛まSHOW!■第8回■「接待オペラ?その8」 -最終回-

サラリーマン、オペラ歌手?小説家?の

香盛(こうもり)修平です。

会社を一歩出ると、あるときは天井に逆さまにぶら下がりサラリーマン社会を俯瞰し、あるときはヨハン・シュトラウス「こうもり」ファルケよろしく、「オペラ」の楽しさを伝える仕掛人、案内役としてへたな文章を書いております。

  公演レポートなどは投稿しておりましたが、「接待オペラ」シリーズの方は第七回から少々時間が経ってしまいました。「仕事に生き、歌に生き」少し執筆をさぼっておりました。申し訳ありません。
  ありがたいことに、私自身が人前で歌う機会も最近多くなっており、あらためて「オペラ」「オペレッタ」の素晴らしさを感じる昨今です。12月20日(神戸市・うはらホール)での「こうもり」にフランク役で出演します。こちらは本名の近藤修平で出演します。ペンネームを「香盛修平」と名付けたくらいですので「こうもり」は大好きな演目です。練習も楽しくて仕方がありません。これまでファルケ役は経験がありますが、フランクは初役ですので新たな刺激を受けています。関西二期会所属のテノール八百川敏幸氏が、自ら指揮・演出・制作を手掛けて、低価格で本格的な舞台を楽しんでいただこうと立ち上げたフォーゲルザングという団体の第四回公演です。キャストは関西二期会を中心としたプロの実力派メンバー。一人だけサラリーマン歌手がおじゃましています。オーケストラはJフィルハーモニー管弦楽団というアマチュアオーケストラです。アマオケではありますが、ヨハン・シュトラウスが好きすぎてJというイニシャルを名前につけてしまったというオーケストラですので、楽しい音楽を奏でてくれること間違いなしです。ご来場いただければ幸いです。


オペレッタ「こうもり」全3幕・日本語上演
2015年 12月20日(日) 16:00 うはらホール
こうもり案内
★指揮・演出:八百川敏幸
ロザリンデ:馬場恵子
アイゼンシュタイン:安川忠之
アデーレ:朴華蓮
アルフレード:諏訪部匡司
ファルケ:大谷圭介.
フランク:近藤修平
オルロフスキー:名島嘉津栄
ブリント:藤田大輔
イーダ:松尾知佳
フロッシュ:服部英生
ゲスト:太田郁 他
★管弦楽:Jフィルハーモニー管弦楽団
★合唱 :フォーゲルザング合唱団

  さて、ご好評?いただいております「接待オペラ」シリーズですが、今回で一旦終了し、(仮題)「名作こうもりの迷走?妄想?解説」を1月からスタートしたいと思います。私のオペラ体験は、いつの日かフィクション小説の形で披露できればと思っています。出版関係者様よろしくお願いします!
  年末・年始「こうもり」を観劇される機会もあるかと思います。私も初めてのオーストリア旅行を計画しており、元旦のウィーン国立歌劇場でオットー・シェンク演出「こうもり」チケットを確保しています。自分自身でも「こうもり」に出演しますが、世界のトップクラスの舞台を劇場の空気と共に楽しみ、さらに「こうもり」の魅力に迫ってみたいと思います。素人目線の「こうもり」論をお楽しみいただければと思います。乞うご期待!


いつもながら話がそれてしまいました。それでは「接待オペラ」の続きをお楽しみください。
オペラで愛8

オペラで愛まSHOW!


■第8回■「接待オペラ?その8」-最終回-

 闘牛士エスカミーリョは、酒場シーンの出演者の歓声、憧れの視線(もちろん演技ではあるが)の中を颯爽と登場した。女声コーラスの一人から渡されたグラスを受け取ると、一気に飲み干し、嬌声をあげる女性達に向かって飲み干したグラスを放り投げた。スターとの接点であるグラスに女性たちが奪い合うように手を差し出す。女性たちがつかみ損ねたグラスはもちろんガラスではなくプラスチック製の安物で、床に落下してカラカラと乾いた音で転がった。

 タンタ~カタンタン タカタカタ~ン♪エスカミーリョは音楽無縁の接待オペラのサラリーマンでも知っているメロディを実に気持ちよさそうに歌い、最後の高音を誇らしげに延々と伸ばして歌いきった。

 エスカミーリョ役のバリトンはそれほど上背があるわけでもなく、練習前には派手なソプラノの女性達に比べて目立たない存在だったが。胸をパーンと張って歌い出すと別人のような輝きを放ち、その声量は予想の10倍くらいだった。カラオケでマイク片手にB’zの曲を自信無さげにぼそぼそ歌っていたサラリーマンは度胆を抜かれた。歌を歌う奴など軟弱だと思い込んでいた体育会系男子の端くれが抱いていたイメージはどこかへ飛んでいった。トレーニングされた声楽家の声の魅力に一気に惹きこまれた。それから本番まで時間が飛ぶように過ぎ、夢のような刺激的な体験が続いた。人の声、演技、舞台美術、衣裳、一つの舞台を作る仲間たち。

 これが「オペラ」なのか……。本番後の打ち上げは大いに盛り上がり、メンバーは再会を誓い合ってそれぞれ家路についていった。営業マンとしての務めは果たした。だが帰り道を一人家に向かって歩きながら勝手に涙があふれてきた。二か月間頭の中は「カルメン」だらけだった。そこで出会った人たちは大事な仲間たちだった。しかしもうその輪に入ることは無いだろう。私の「接待オペラ」は幕を閉じたはずだった。いい経験をすることができた。それだけで満足すべきだ。

 以前と変わらぬサラリーマンの生活がまた始まった。しかし私の心では何かがうごめいていた。ある日得意先まわりをしていて朝日新聞ビルを訪問した。なにげなくロビー階の壁に張り出されていた朝日カルチャセンターの講座に目をやった。

 「オペラを歌おう」その講座名を見た瞬間に頭の中にあのメロディが鳴り出した。

 タンタ~カタンタン タカタカタ~ン

とりあえずおしまい

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