オペラ・エクスプレス

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香盛修平の「こうもり」なお話 その①

  サラリーマン、オペラ歌手?小説家?の香盛(こうもり)修平です。

  会社を一歩出ると、あるときは天井に逆さまにぶら下がりサラリーマン社会を俯瞰し、あるときはヨハン・シュトラウス「こうもり」ファルケよろしく、「オペラ」の楽しさを伝える仕掛人、案内役としてへたな文章を書いております。 昨年「オペラde愛まSHOW!~接待オペラ?~」、「公演レポート」をお読みいただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。

  1月からは、私のペンネームにちなんでヨハン・シュトラウスのオペレッタ「こうもり」を中心に、オペレッタの話をお届けしたいと思います。年末年始に幸せなことにウィーンで「こうもり」を観劇することができましたのでそのレポート、そして相も変らぬ妄想話として「こうもり」と「フィガロの結婚」の深いい関係について書いていきたいと思います。大いに脱線しながらの投稿になると思いますがご容赦を!
こうもりなお話

  
     私の人生の時間の多くを費やすサラリーマン社会では「会議は2時間まで」ということがよく言われます。
  「長々とした会議など全く意味がない、企業は売上を拡大し、収益をあげなければならない。競争社会を勝ち抜くのは大変なことなのだ!」
  そんな話はオペラ・エクスプレスファンのみなさんにはどうでもいい。訳の分からないことを言っていないで、さあ早く「こうもり」の話を!でも少し我慢してお付き合い下さい。

  もし「会議」が延々続いたらどんなことになるでしょうか。それも9ケ月も。サラリーマン社会ではあり得ないことですが、これが国と国の話になるとあり得るのです。賢明な皆様はもうお気づきでしょう。そう!世界三大会議の一つ「ウィーン会議」です。ナポレオン以降のヨーロッパの秩序を回復させるために1814年9月に始まり、終了したのはなんと翌年の6月という考えられないほど長い会議です。

  私は喜歌劇楽友協会というオペレッタ専門団体を中心に、オペレッタに何度か出演してきました。「こうもり」ファルケ、フランク「メリー・ウィドウ」ツェータ―、サンブリオッシュ「ウィーン気質」ギンデルバッハ首相「マリツァ伯爵夫人」ジュバン、「ジプシー男爵」ホモナイと、サラリーマン歌手としては幸せなことに多くのオペレッタ舞台を経験することができました。しかし、典型的な四拍子民族の私としては、ワルツを中心としたオペレッタの世界に入り込みきれず、どのように役を演じればいいのか悩みながらこれまで歌ってきました。
  そんなある日、少し糸口を見つけることができたのが一本のDVDでした。そう!エリック=シャレル監督の映画「會議は踊る」です。サラリーマン社会の洗脳を受けている私は、最初この題名に混乱しましたが、観てみると古臭さなどみじんも感じない、なんともいきいきとした映画で、オペレッタの舞台に立っているような気持ちになりました。「会議は踊る。されど進まず」という言葉は知っていましたが、この映画を観てようやく、サラリーマンの思い描く「会議」と全く異質なものが世の中に存在したのだと理解できました。

  お偉い方々が集まり、それぞれの国の思惑をかかえながら駆け引きします。当然駆け引きの場はテーブルの上だけではありません。舞踏会が毎夜開催されますがもちろんその場でも駆け引きがあります。舞踏会で競い合う武器は剣ではなく、それぞれの国の文化。母国の音楽、舞踏、衣裳、料理、お酒を競い合うことになります。そして、それぞれの国がそれぞれの国の魅力や国民性に対して理解を深めていきます。肝心の会議は堂々巡り、今日明日で結論が出ないことは誰もが認識しています。それならば今日という一日を楽しもう。
  「さあシャンパンを!」
  気がつけば、目の前には美味しい酒に、豪華な食事。そして魅力的な女性達。こうなれば楽しまなきゃ損。祖国にはいなかった魅力的な男性もいますから女性達も目が輝きます。会議に出席しているお偉い方だけの世界ではありません。続々と各国首脳が小さなウィーンの街に集まってくるわけですから、ウィーンの一般庶民にとっても各国のお偉い方が身近な存在になっていきます。様々な文化がウィーンの街に溢れていきます。

  しかし、楽しさばかりではないことをこの映画は「花束」という象徴を使ってメッセージを送ってきます。手袋屋の娘クリステルは「ウィーンで最高の手袋は羊飼いの娘のマークの当店で!」と書かれた花束を、ウィーンに続々と集まってくる各国の首脳たちに投げます。ロシア皇帝に命中し、爆弾騒ぎとなります。まさに一触即発の政情と、庶民と権力者たちとの関係を象徴した場面です。華やかに見えるその後のシーンにも政治が見え隠れします。そして・・・・・・。

  この続きのストーリーはDVDを購入してお楽しみください。名作ビデオをかなりお安く手に入れることができるようになっています。オペレッタをより楽しみたいという方は、是非この映画を一度ご覧いただければと思います。


  次回は年末・年始に行ってまいりました初ウィーン旅行のお話。大晦日のフォルクスオーパー、元旦の国立歌劇場と二夜にわたって「こうもり」を観劇して感激しましたので、そのあたりの話を中心にお届けする予定ですのでよろしくお願いいたします。

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