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オペラで愛まSHOW!■番外編その10■~未来へつなぐ『集』コンサート2016 出演レポート(5月8日ザ・シンフォニーホール)~

オペラで愛まSHOW!■番外編その10■~未来へつなぐ『集』コンサート2016 出演レポート(5月8日ザ・シンフォニーホール)~

連載の他に「オペラ観劇して感激した!」といった話を不定期につぶやきます。題して「香盛(こうもり)修平のたわけた一日」

~未来へつなぐ『集』コンサート2016 出演レポート(5月8日ザ・シンフォニーホール)~
今回は「チャリティコンサートに出演して感激した!」レポートをお届けします。

未来へつなぐ『集』コンサート2016
未来へつなぐ『集』コンサート2016
写真撮影 Hiromasa Akaishi

これほど心の奥から熱いものがこみあげるコンサートは経験ありません。ザ・シンフォニーホールに未来に向けて力強い「音のちから」が響きわたりました。その音の響きのなかでひときわ輝きを放ったのは石巻からやってきた中学生たちの伸びやかな演奏でした。客席の笑顔を、そして涙を誘っていました。涙は決して冷たい涙ではなく、キラキラとした温かい涙でした。

オペラ、ミュージカルの指揮者としても活躍する指揮者の井村誠貴氏が発起人となり、関西の音楽人が東日本大震災復興支援のために集い、2011年よりチャリティコンサート活動を継続してきました。井村誠貴氏は自らを「石巻人」と称するほど、石巻という土地、人に惚れ込み全身全霊をかけて支援活動を行ってきました。その想いに賛同し集まった音楽人たちによるコンサートは「奇跡のコンサート」とも呼ばれ、2011~2015年に開催された五回のコンサート活動での義援金総額は3,300万円を超え、昨年には石巻公演も実施されました。

オーケストラはプロアマの垣根を越えたメンバーによる特別編成。関西のオペラシーンに欠かせないプリマ、プリモがずらりと並び、アマチュアの有志も加わった豪華な合唱団。スタッフも含めてメンバーが全員自ら義援金を持ち寄り、チケットを販売してコンサートを支えています。

今年からは金銭的な支援だけでなく、井村誠貴氏の意向から未来へ向けて『人と人の繋がり』をテーマとしてコンサートが開催されることとなりました。趣旨に賛同された石巻出身の指揮者佐々木克仁氏も参加。ラジオ石巻の後藤恭子さんが今年も司会者として来阪し現地の状況も伝えてくださいました。

未来へつなぐ『集』コンサート2016 写真撮影 Hiromasa Akaishi
写真撮影 Hiromasa Akaishi

さらに嬉しいことに、井村誠貴氏が昨年より指導も手掛けている石巻市立桃生中学校総合文化部のメンバーが関西にやってきて一緒に演奏してくれました。「電車に乗るのは初めて、まして飛行機には」という微笑ましいメンバーもいましたが、どうしてどうして!ザ・シンフォニーホールという大きな舞台で持てる力を発揮して難曲を堂々と演奏し、未来につながる経験をお土産に、胸をはって帰路につきました。ともに演奏した復興支援『集』オーケストラ、復興支援『集』合唱団、大阪市立喜連中学校吹奏楽部、大阪市立真住中学校吹奏楽部のメンバーも、一人一人の心の中に「未来へつながる何か」が刻み込まれたことと思います。

プログラムはモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、フォーレの「ラシーヌ讃歌」と静かな祈りの曲からスタートでしたが、続いて石巻と大阪の中学生による合同演奏「ラッキー・ドラゴン~第五福竜丸の記憶」、さらにオーケストラも加わった「アルメニアン・ダンスパート1」が演奏されると会場中は一気に盛り上がりヒートアップ。客席に陣取った石巻から駆け付けた応援団による懸命のエールも力となり、素晴らしい演奏となりました。オルガン席で聴いていた私も全身が音のちからに熱くなる瞬間がありました。

今年は吹奏楽の中学生メンバーが加わったこともあり、ワーグナーの「エルザの行進」やホルスト「惑星」など吹奏楽でも演奏されるクラシックの名曲が井村誠貴氏の意向で選曲され、演奏されました。

アンコールでは石巻出身、現在は関西でご活躍の泉耕二氏作曲の「石巻・わがふる里」が演奏されました。昨年訪れた被災地で見た厳しい現状と、私には想像で思い巡らすしかない、津波で削り取られた自然や平穏な暮らしが脳裏に浮かび歌いながら涙があふれました。アンコールの最後は出演メンバー400人全員による力強い「大地讃頌」でコンサートが締めくくられました。

未来へつなぐ『集』コンサート2016 写真撮影 Hiromasa Akaishi
写真撮影 Hiromasa Akaishi

さあ未来へ!

石巻には本格的なコンサートホールがありません。ホールというハード作ることだけでは復興はかないませんが、石巻からやってきた未来を背負った子供たちの姿を見て、彼ら彼女らが思い切って演奏する場所が必要だと心から思いました。ホール建設の動きもあると聞きました。指揮者井村誠貴氏はホールが完成し『集いホール』と名付けられ、関西音楽人のちから『集』のメンバーと石巻市民管弦楽団、石巻の子供たちとそこで演奏をしたいと夢を語っておられました。必ず夢を現実にしてしまうマエストロですので実現するのでは思っています。

ホールが完成した際には、私も関西音楽人のちから『集』のメンバーとともに石巻でまた演奏し、酒を酌み交わしたいと切望しています。精一杯演奏することはもちろんですが、美食、酒好きの私としては石巻の美味しい海の幸と日本酒も堪能しに行きたいと思います。女川丼もまだ現地で食べていませんし・・・・・・。

オペラ・エクスプレスファンの皆様も是非関西の音楽人のちから『集』の活動、石巻でのホール建設にご支援いただければと願っております。

最後になりましたが、今回のコンサートが近づく4月に熊本を中心とした大地震が発生しました。まだまだ私自身が体験した阪神淡路大震災の記憶も鮮明に残っており、東日本、熊本と相次ぐ自然災害に心がしめつけられる思いです。亡くなられた方に哀悼の意を表すると共に、被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
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