オペラ・エクスプレス

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怪奇と幻想の世界。1980年より続く人気プロダクション鑑賞のラストチャンス!———英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17《ホフマン物語》

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17の4本目の上映作品となる《ホフマン物語》が、1月27日から、全国の10の映画館で公開されています。
■上映劇場■

オッフェンバックの没後100年記念の1980年に、ドミンゴを題名役に迎えてプレミエが行われた、ジョン・シュレシンジャー演出のプロダクションです。シュレシンジャーと言えば、映画「真夜中のカーボーイ」で、アカデミー監督賞を受賞したことで知られています。
セットや衣装も含め、ゴージャスな本プロダクションは、《ホフマン物語》の荒唐無稽な展開にもよくマッチしていました。とくにジュリエッタの幕でのヴェネツィアの娼館の場面の豪華さには、心を奪われます。薄暗い雰囲気の中に、燦然と煌めく宝石の光。人はこうして悪事へと誘惑されてしまうのですね・・・。この辺りでも、映画監督シュレシンジャーの視点が発揮されているのかもしれません。
オランピアの幕は、ちょっとブラックな笑い。こちらでの衣装も美しく、贅沢な気分に浸れます。アントニアの幕は、終始暗く陰気な部屋の中ですが、女性芸術家としての苦悩が丁寧に表現されていて、大変味わい深かったです。

そして、本作でもう一つ嬉しいのは、幕の順番です。どの版かの説明は見つけられませんでしたが、オランピア、ジュリエッタ、アントニアの順で上演されていました。作品完成前に作曲者のオッフェンバックが死去してしまったため、このオペラは不遇の道をたどり、これといった決定版がないのです。ただ、このオペラを、3つの恋愛を経て成長して行く青年の物語としてみれば、やはりこの順序の方が、私にはしっくり来ます。

また、上映では、作品についての解説も大変充実しています。関係者へのインタビューは、その場で行うものと事前に収録し編集されていたものとがあり、時間にしても結構な分量です。指揮者がピアノを弾きながらの作品解説や、歌手の役柄に対する取り組みなども詳しく聞けて、鑑賞の助けになります。

歌手もそれぞれ皆役柄に合う人材が選出されていて、はずれがなかったです。
特に、アントニア役のソーニャ・ヨンチェーヴァの声の響きが、強く印象に残りました。

プレミエから36年、絶大な人気を誇る歴史的ともいえるこちらのプロダクション。今回の上演が最終となるそうで、こんなゴージャスな《ホフマン物語》に出会えるのも、これがラストチャンスかもしれませんね。可能ならもう一度見たいものです。上映は2月2日(一部は3日)まで。


英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17
《ホフマン物語》

  • 【作曲】ジャック・オッフェンバック
  • 【演出】ジョン・シュレシンジャー
  • 【指揮】エヴェリーノ・ピド
  • 【出演】ホフマン:ヴィットリオ・グリゴーロ
    4人の悪党:トーマス・ハンプソン
    オランピア:ソフィア・フォミーナ
    ジュリエッタ:クリスティン・ライス
    アントニア:ソーニャ・ヨンチェヴァ
  • 【上演時間】4時間16分(休憩時間約30分)
  • 【タイムスケジュール】詳細はこちら

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