オペラ・エクスプレス

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【公演レポート】東京シティオペラ《外套》《修道女アンジェリカ》

東京シティオペラ協会公演の《外套》《修道女アンジェリカ》に行ってきました!土日公演ですが、私が観たのは日曜日です。東京シティオペラ協会は、1994年に《蝶々夫人》で旗揚して以来、自主自立でオペラの上演を続けて来た団体だそうです。今回はプッチーニの晩年のオペラで(未完の遺作《トゥーランドット》の一つ前の作品として)1918年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演された三部作から《ジャンニ・スキッキ》を除く二作品を上演しました。演奏が難しい後期のプッチーニですが、大健闘した良い公演だったと思います。一日の上演で三作とも観るのは結構しんどいので、二作品だけの上演は時間的にもちょうど良かったです。

会場は渋谷区分か総合センター大和田・さくらホール。舞台下手側の客席の高さにエレクトーンとクラビノーバがスタンバイしています。この公演ではピアノの音色に、エレクトーンがオーケストラの音色を担当するのです。


 

東京シティオペラ《外套》より

東京シティオペラ《外套》より
(C) Naoko Nagasawa

前半は《外套》です。この公演は字幕が無いこともあり、まずナレーションで物語を紹介します。矢島正明のナレーションは暖かみのある声で鮮やかな口跡でした。幕があがると舞台の下手側にはかなり高さのある白いカーテンで仕切られた空間があり、ミケーレとジョルジェッタの船室となっています。舞台の中央と上手側は舟の甲板という設定です。船員達が荷物を運んでいます。全体のデザインと色彩が照明によって引き立ち、美しい舞台でした。非常に深刻なストーリーとそれに相応しい重い音楽ですが、プッチーニらしい旋律と20世紀的な響きが魅力です。歌手は東京シティオペラ協会の創立者にして総監督の川村がルイージ、国際的なキャリアを持つ丸山がジョルジェッタ、タイトルロールに相応しい存在感の秋山のミケーレなどベテランが中心になって舞台を牽引、特に丸山は音楽性と、まだまだ輝きのある高音で貫禄の舞台でした。フルーゴラの田中、タルパの太田代、ティンカの朝倉、小唄売りの加藤なども頑張って良い歌を聴かせていました。男声合唱も力強かったです。


 

東京シティオペラ《修道女アンジェリカ》より

東京シティオペラ《修道女アンジェリカ》より
(C) Naoko Nagasawa

休憩を挟んで後半は《修道女アンジェリカ》です。父親のいない子供を産んだため修道院に入れられた貴族の娘アンジェリカ。深刻なストーリーながら、音楽は女声のみの華やかさと神秘的な美しさに満ちている作品です。修道女達を演じる合唱と修道女長やジェノヴィエッファ、ドルチーナ等の役を歌った歌手達が美しいアンサンブルを聴かせ、苦しみの中でも愛を失わないアンジェリカを歌った檜垣と残酷な公爵夫人役の平舘の対決をしっかり引き立てました。

舞台美術は基礎は同じですが、《修道女アンジェリカ》では美しい聖母マリアの像が上手側に飾られ、照明がそれぞれのドラマを描きます。演出の原は、《外套》ではルイージの遺骸を男達に運び出させるエンディング、《修道女アンジェリカ》では舞台で悲しみのポーズを取る修道女の群像などで演出のオリジナリティーを出していました。

指揮の草川、エレクトーン(編曲も)の赤塚、クラビノーバの金子による演奏はテンポが的確でプッチーニの音楽をしっかり聴かせてくれました。エレクトーンとクラビノーバの演奏はピアノだけよりも表現の幅が大きく広がりますし、二人の奏者の演奏が上手なので音楽的に充分楽しめる公演となりました。
(所見:12月7日)

reported by Mika Inouchi / photo: Naoko Nagasawa


東京シティオペラ協会公演 ナレーション付き言語上演
《外套》《修道女アンジェリカ》

作曲:ジャコモ・プッチーニ
台本:《外套》ジュゼペ・アダミ 《修道女アンジェリカ》ジョヴァッキーノ・フォルツァーノ

【日時】2014年12月6日(土)17:30開演/12月7日(日)14:00開演
【会場】 渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール

【総監督】川村敬一

【指揮】草川正憲
【演出】原純

【ナレーション】矢島正明

《外套》
【ミケーレ】大石洋史(12/6)/秋山隆典(12/7)
【ジョルジェッタ】上木由里江(12/6)/丸山恵美子(12/7)
【ルイージ】及川尚志(12/6)/川村敬一(12/7)
【タルパ】神田宇士(12/6)/太田代将孝(12/7)
【フルーゴラ】飯島由利江(12/6)/田中牧子(12/7)
【ティンカ】石川隆彦(12/6)/朝倉佑太(12/7)
【唄うたい】中川誠宏(12/6)/加藤昌生(12/7)

《修道女アンジェリカ》
【アンジェリカ】藤永和望(12/6)/檜垣佐夜子(12/7)
【公爵夫人】飯島由利江(12/6)/平舘直子(12/7)
【修道院長】久利生悦子(12/6)/日向里香(12/7)
【修道女長】加藤麻子(12/6)/山口泰佳(12/7)
【修練長】水野裕子(12/6)/大津佐知子(12/7)
【ジェノヴィエッファ】市村賴子(12/6)/橋本沙奈絵(12/7)
【ドルチーナ】辻岡美沙子
【オスミーナ】安達祐子
【托鉢修道女1】平野真理子(12/6)/田中彰子(12/7)
【托鉢修道女2】岩本久美(12/6)/出口けい子(12/7)
【看護修道女&助修女1】青木希衣子(12/6)/Graziani 奈苗(12/7)
【助修女2】竹内冴
【修練女】二本松由美

【合唱】東京シティオペラ協会合唱団
【エレクトーン】赤塚博美
【クラビノーバ】金子渚
【合唱指揮/副指揮】澤村杏太郎/松川智哉/横山奏

主催:東京シティオペラ協会
後援:ヤマハエレクトーンシティ渋谷/KEI音楽学院
制作:ケイ企画

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