オペラ・エクスプレス

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《ポッペアの戴冠》を体感するチャンスは2回!!!11月23日(東京オペラシティ)、25日(神奈川県立音楽堂)で

今年生誕450年を迎える作曲家、クラウディオ・モンテヴェルディ。彼の晩年の傑作、オペラ《ポッペアの戴冠》が、11月23日に東京オペラシティコンサートホールで、25日には神奈川県立音楽堂で演奏会形式で上演されます。

公演の指揮者・鈴木優人と出演歌手らが登壇して行われた記者会見から、それぞれのコメントを抜粋してお届け致します。

後列左より:藤木大地(アルナルタ・乳母)/櫻田亮(ルカーノ)/鈴木優人(指揮)/田尾下哲(舞台構成)
小林沙羅(アモーレ)/波多野睦美(オッターヴィア)/森麻季(ポッペア)/森谷真理(ドゥルジッラ)

ポッペアの戴冠 特設サイト

鈴木優人(指揮)

今年はモンテヴェルディ生誕450年ということで、各地で公演が行われておりますが、私たちも負けじと「ポッペアの戴冠」を上演させて頂くことになりました。
まず最初に皆さまにモンテヴェルディという作曲家について、少しばかりご紹介したいと思います。
モンテヴェルディとは、日本語では「緑の山」という意味です。生まれは1567年5月15日で、クレモナで生まれました。そしてヴェネツィアで1643年に亡くなっています。
モンテヴェルディと同い年の人物に、伊達政宗がいます。2人とも時代を切り拓いた人物ということが共通点です。
クレモナ生まれのモンテヴェルディですが、その後マントヴァに移り、ゴンザーガ家のマントヴァ公に仕えます。この方が大変芸術に寛容な君主だったために、モンテヴェルディの才能が大きく開花しました。
さて、モーツァルトにとってのサリエリのような存在の人物として、モンテヴェルディにはアルトゥージいう作曲家がいました。アルトゥージは、非常に頭でっかちの古めかしい様式を良しとする人物でした。それに対してモンテヴェルディは、第5巻のマドリガル集の中で、「第二作法というのを我々はこれからやろうじゃないか」という風に言います。その第二作法の昇華したものが、まさに皆さんに聞いて頂く《ポッペアの戴冠》です。
モンテヴェルディはヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の音楽監督をしており、そのことに大変な誇りを持っていました。ヴェネツィアの作曲家として《ポッペアの戴冠》を書いたのです。
《ポッペアの戴冠》のポッペアは、実在した、サビーナ・ポッペアという人物です。紀元30年生まれ65年没で、まさにオペラに出てくるオットーネと結婚してその後ネローネと結婚という風に、非常に当時としても波乱な人生を送りました。彼女の人生そのものが、オペラよりもふしだらで、怪奇に満ちたものでした。ポッペアという人物は、そこにいるだけで、回り中に人殺しの策略が起こり、妬みが渦巻いています。しかし、彼女自身は天真爛漫に、そこで輝き続けていました。そのあたりが、非常に面白いところだと思います。
このオペラには25以上の役があります。一人二役あるいは三役もしかしたら四役という方も必要になってくるかもしれません。
今回のプロジェクトは、作曲家の450年にふさわしいものになると自負しております。是非皆さまには応援して頂きたく、宜しくお願い致します。


森麻季(ポッペア)


この度ポッペアという大役を頂きまして、頑張りたいと思っています。2009年に、鈴木雅明さんの指揮で、ポッペア役を歌わせて頂きました。
ポッペアは悪女と言われていますが、本当に悪い女だったのかしらと、昨日あたりから楽譜を見直したりしています。ポッペアは、自分の愛を遂げるために誰かを殺そうとしたり、策略にはめて自分の欲望を貫こうとは、リブレット上では、決してしていないのです。自分の命を顧みず、愛だけを選んでいる。表面的には不倫という、ポッペアとネローネの愛は、決して許されるものではないかもしれない。でも、二人の愛は真実だったのではないかしらと思っています。


波多野睦美(オッタ―ヴィア)

皇帝ネローネのお妃であるオッターヴィアという役をやらせて頂きます、メゾソプラノの波多野睦美です。宜しくお願い致します。麻季さんと同じように、2009年の際にこの役を初めて歌わせて頂きました。
最初のアリアが絶望のアリアで、最後に歌うのは、さらばローマといいまして、今から死の地に向かっていくという、ローマに別れを告げるアリアです。どちらも全く救いようのない悲痛な内容で、一言一言が心臓と体に来る。それを最初と最後に歌わなければならないので、体力がないと歌えない役です。
でも、オペラの作曲家の中で、モンテヴェルディが一番好きですし、オッターヴィアという人物は、ある意味で、晩年のモンテヴェルディの化身のような音楽を歌う役ではないかなと思っています。皆さんとご一緒できることが本当にうれしいので、元気に健やかに演じ終えることが出来るよう祈っております。


櫻田亮(ルカーノ)

テノールの櫻田です。この度のプロダクションでネローネの友人であり家臣の一人であるルカーノの役を歌わせて頂きます。人物像についての説明をとのことですが、歴史上の人物ではないので、演出のやり方で色々と変わってくるとは思います。友人であり政治的な内容も含めて、ネローネの腹心というか、常に色々な場面で共に行動して、彼をサポートをするような役回りだと思っています。
幸いなことに、僕は色々なところで、ポッペアを見ることが出来ましたが、単なるお友達ではないというパターンもあります。ネローネが好きなのは、ポッペアだけではないという・・・そういう演出もあったりして、なかなかハードな役だなルカーノはと、思うこともあります。役田尾下さんが一体どんな風に料理をするつもりなのか、ちょっと楽しみなところでもあります。
私事ですが、イタリアの方に少し長くおりまして、モンテヴェルディの現存する3つのオペラ、この《ポッペアの戴冠》それからその前の《ウリッセの帰還》そして最初の《オルフェオ》と、全てのオペラで様々な役を歌わせて頂く機会に恵まれました。僕の演奏家としてのキャリアの中で、もちろんバッハの作品も沢山歌って来ましたが、同時にモンテヴェルディの作品も、ヨーロッパで数多く演奏して参りました。
彼の作品の持つエネルギーですとか力ですとか、現代にも通じるようなドラマを内包している音楽は、演奏するたびに、音楽家としてとても豊かな時間を過ごすことが出来ます。僕の演奏家人生の中でも、非常に重要な位置を占める作曲家の一人が、モンテヴェルディです。その彼が作曲をしたこの《ポッペアの戴冠》というオペラを、このように日本で、充実した形で演奏する機会というのは、今後またいつ訪れるかわからないです。そのプロダクションに参加できて、本当に心から嬉しく思います。微力ですが、公演が素晴らしいものになるように、全力で努めさせて頂きたいと思います。宜しくお願い致します。


藤木大地(アルナルタ/乳母)

カウンターテナーの藤木大地です。
優人さんと僕とは同世代で、共演の機会も多く頂いていて、僕がカウンターテナーになったのは2011年なんですが、そのきっかけの時期に、彼のお宅で彼のチェンバロで裏声で歌う機会がありました。それが後押しになって、声種を変更するという機会につながりました。先ほども彼と、「死ぬまで共演しよう」という話をしていました。その死ぬまでの共演の第一歩となる《ポッペアの戴冠》が、今ようやく始まろうとしています。
作品に関してはカウンターテナーなので、オットーネをよく知っていて、頂いたお話では、アルナルタ/乳母と書いてあって、乳母は良いとして、アルナルタは何だろうなと・・・。そうしたら、やっぱり乳母だったわけです。ポッペアとオッターヴィアはそれぞれ一人ずつなのに、僕は一つの体で、二人の乳母が出来るのかしらと。それを想像して優人さんにそれを言ったら大笑いされたという経緯がありました。《ポッペアの戴冠》の全曲は初めてなのですが、実際、楽譜を勉強してると、アルナルタの出番が終わって、めくったらもう乳母が出てくる。哲さんこれどうするんだろ・・・わくわくするというか、どんなアイデアが飛び出すのだろうかという風に思っています。
2011年にカウンターテナーに転向したころに、カウンターテナーだったらバロックですよねレパートリーは、と言われていたにも関わらず、結局バロックオペラの機会がこれまでほとんどなくて。一回イタリアでグルックを歌いましたが、それ以来ほとんど初めてのことが、日本で実現します。当時結構近くにいて、色々アドバイスに乗って頂いた方々がここに何人もいて心強いです。


森谷真理(フォルトゥナ/ドゥルジッラ)

ソプラノの森谷真理です。宜しくお願い致します。バロックオペラの全幕公演に出演させて頂くのは、これが初めてです。BCJさんともこれが初めてのお仕事で、とても嬉しく思っています。
この《ポッペアの戴冠》というのは、私にとって思い出深い作品で、ニューヨークに留学した直後、学校でアンサンブルのレパートリーとして初めて頂いたのが、このポッペアの中の女神の三重唱でした。その時、音楽・内容ともに、大変興味を惹かれました。何に一番興味を惹かれたかというと、バロックの音楽というのは、時にロマン派のオペラよりも生々しく、人間の感情や人間模様が表現されているのではないかなという点です。中々血なまぐさい感じのお話ですが、長年楽しみにしていて、いつ歌える日が来るんだろうと思っていました。
まず自分の第一声からオペラが始まるということは、そこでオペラ公演の雰囲気が決まってしまうということもありますので、微力ながら私が出来る限りベストのパフォーマンスを果たせるよう頑張っていきたいと思います。宜しくお願い致します。


小林沙羅(アモーレ)

ソプラノの小林沙羅です。モンテヴェルディは初めてですし、バロックオペラも初めて歌わせて頂きます。バロックはあなたの声に合っているから勉強しなさいと、色々な方から言われていて、個人的に勉強はしていましたが、演奏する機会は少なかったです。自分のリサイタルにアリアをちょっと入れるとかその程度でした。それが帰国してわりとすぐに、優人さんから声を聞かせてほしいと言って頂きまして、先日は櫻田さんと一緒に、バッハのコーヒーカンタータを演奏させて頂きました。バロックって私の思ってたイメージよりももっと生き生きして人間らしくて面白いなと、その時改めて感じました。
今回、アモーレ・愛の神ということで、ローマやギリシャの神話に出てくる、いわゆるキューピッドの役です。色々調べていましたら、元々は髭の生えた青年だったという感じで書いてあって、今では少年で羽が生えた天使だったりという風に書かれることが多いと出ていました。ちょっと気まぐれで、悪戯で愛の矢を放ったりして、色々な人間のドラマが起きてしまう。アモーレ自体悪気なくやっていることが、もめ事を引き起こす。でもポッペアはアモーレが助けなければ死んでしまっていたので、アモーレがいなければ、多分ポッペアはネローネの愛を得ることは出来なかったでしょう。アモーレはどんな気持ちでポッペアを助けたのかしら、本当に気まぐれだったのか、それとも、もっと何か他の思惑があったのか・・・。色々なことを考えていますが、どんな演出になるのかも楽しみです。


田尾下哲(舞台構成)

バロックオペラは私は初めてです。いつもスコアを読み込んで、そこに動きや解釈を加えるということをしています。バロックオペラの場合、楽譜に書かれていない部分が多く、頭を抱えてしまいました。それを師匠(ミヒャエル・ハンペ氏)に相談すると、「とにかく良い指揮者とのコラボレーションだ」とアドバイスを頂きました。何時間も何日もディスカッションして、音楽のカットや構成を決めた時点で、演出の八割がたが決まっていると、そう仰いました。指揮者がどういう考えなのか聞いて、それをドラマに生かすようにと言われたんです。
ですので、今回何か特別な過激な演出をしたり、読み替えをするということはなく、本当にストレートにやりたい。ストレートフォーワードでやりたいと思ってます。表現としてはシンプルかもしれないですが、真実のドラマを求めたいなと思っています。愛の形や倫理観も色々ですが、やはり音楽に寄り添っていたい。オペラのフィナーレをどんな風に届けたいかということを考えて、逆算して作っていきたいと思います。変な演出にはならないので皆さんご安心ください。

取材・写真:オペラ・エクスプレス編集部



モンテヴェルディ生誕450年記念
歌劇≪ポッペアの戴冠≫ (演奏会形式)
2017年11月23日(木・祝) 16:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
2017年11月25日(土) 16:00開演
神奈川県立音楽堂
⇒ 公演詳細はこちらから

(アラン・カーティス版/全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付)

指揮:鈴木優人
ポッペア:森麻季
ネローネ:レイチェル・ニコルズ
オットーネ:クリント・ファン・デア・リンデ
オッターヴィア:波多野睦美
フォルトゥナ/ドゥルジッラ:森谷真理
ヴィルトゥ:澤江衣里
アモーレ:小林沙羅
アルナルタ/乳母:藤木大地
ルカーノ:櫻田亮
セネカ:ディングル・ヤンデル
メルクーリオ:加耒徹
ダミジェッラ:松井亜希
パッラーデ:清水梢
兵士Ⅱ:谷口洋介

管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
舞台構成:田尾下哲

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