「大田区から世界へ向けて舞台芸術を発信する」──そんな理念を掲げるMIYAKOJI OPERA。大田区のホールを拠点に、オーケストラや合唱団、演劇など地域で活動するさまざまな舞台芸術団体が連携し、区民と芸術家がともに舞台を創り上げることを目指している。
2026年公演として選ばれたのは、エメリッヒ・カールマン作曲のオペレッタ《チャールダーシュの女王》。1915年の初演以来、世界中で愛され続けてきた名作である。本稿では、本番前に行われたゲネプロの模様を紹介する。
演出を手掛けた太田麻衣子は、大掛かりな舞台装置に頼らず、背景映像を効果的に用いて作品世界を描き出した。レビュー劇場や宮殿の大広間、華やかな舞踏会など、場面ごとに異なる映像を映し出し、シンプルな舞台に奥行きと華やかさを醸し出す。
物語は、歌姫シルヴァと貴族の青年エドウィンとの身分違いの恋を軸に展開する。
シルヴァ役の鷺尾麻衣は、幕開けから堂々とした存在感を示し、スター歌手として喝采を浴びる姿を鮮やかに描き出した。背後には、きらびやかな衣裳に身を包んだ出演者たちが舞台を埋め尽くし、レビュー劇場ならではの華やかな雰囲気が広がる。
合唱を担うのは、オペラフェスティーヴァ東京大田。2022年4月に発足した大田区を拠点とする合唱団で、大田区文化振興協会主催のオペラプロジェクトの参加メンバーを中心に結成された。冒頭のレビューシーンをはじめ、多くの場面で舞台に登場し、地域に根差した活動の成果を感じさせた。
エドウィン役の澤崎一了、シュタージ役の宮地江奈、ボニ役の西山詩苑は、それぞれの個性を生かした演技で物語をテンポよく展開。二組の恋模様が複雑に絡み合うなか、フェリ・バーチ役の大沼徹、レオポルド役の山下浩司、アンヒルテ役の加賀ひとみといったベテラン勢の確かな演技が、作品に厚みを与えた。
指揮を務めた澤村杏太朗は、MAGアンサンブルをまとめ、カールマンならではの華やかなワルツや情熱的なチャールダーシュ、軽快なアンサンブルを生き生きと響かせる。オペレッタならではの明るく躍動感あふれる音楽が舞台全体を包み込んでいた。
地域で育まれた芸術活動を舞台という形で結実させ、そこからさらに広く発信していく──MIYAKOJI OPERAが掲げる理念は、この《チャールダーシュの女王》にも色濃く表れていた。出演者、オーケストラ、合唱、スタッフが一体となって創り上げた舞台は、オペレッタの楽しさを改めて伝える公演となった。
取材・文:オペラ・エクスプレス編集部/写真:長澤直子

























MIYAKOJI OPERA
E.カールマン 『チャールダーシュの女王』
公演日:2026年5月9日(土)(ゲネプロ取材:5月8日)
会場:大田区民プラザ 大ホール
指揮:澤村杏太朗
演出:太田麻衣子
公演プロデューサー:吉田貴至
【キャスト】
シルヴァ/鷲尾麻衣
エドウィン/澤﨑一了
シュタージ/宮地江奈
ボニ/西山詩苑
フェリ・バーチ/大沼 徹
レオポルド/山下浩司
アンヒルテ/加賀ひとみ
合唱/オペラフェスティーヴァ東京大田
アンサンブル/MAGアンサンブル
衣裳:AYANO
照明:渡邉雄太(A.S.G)
映像:荒井雄貴(アライ音楽企画)
ヘアメイク:吉池アサノ




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