オペラ・エクスプレス

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3月20日上演の白河版オペラ《魔笛》杉山洋一氏(音楽監督・編曲・指揮)へのメール・インタビュー/ストーリーを日本に移し、地元のアーティスト、子供たちなども参加する、白河文化交流館コミネス開館記念事業

3月20日上演の白河版オペラ《魔笛》杉山洋一氏(音楽監督・編曲・指揮)へのメール・インタビュー/ストーリーを日本に移し、地元のアーティスト、子供たちなども参加する、白河文化交流館コミネス開館記念事業

古代と現代が織りなす和洋融合の本格グランド・オペラ。福島県白河市に昨年11月にオープンした白河文化交流館コミネスで開館記念事業としてモーツァルト作曲《魔笛》が上演されます。《魔笛》のストーリーを日本に移した FUKUSHIMA 白河版オペラ《魔笛》。台本はアニメ「ドラゴンボール」脚本家小山高生が手がけ、セリフは日本語、歌詞はドイツ語の歌唱。また合唱団、役者の一部、子役などへの市民参加によって地域版のオペラ作品として作り上げられており、白河市ならではの公演に期待がふくらみます。

音楽監督・編曲・指揮:杉山洋一
音楽監督・編曲・指揮:杉山洋一

今回、この《魔笛》を指揮する杉山洋一氏にメール・インタビューをしました。杉山氏はミラノ在住の現代作曲家、指揮者で、《魔笛》公演では編曲と指揮を手がけています。杉山氏は昨年3月に宮城県多賀城市で初演された、今回の白河版《魔笛》の元となった《魔法の笛(魔笛)》公演でも編曲、指揮を担当していました。

 

 


Q:この《魔笛》公演を指揮する事になったきっかけは? ミラノにお住まいの杉山さんがこのプロジェクトに参加なさったのはどのような理由ですか?

A:オペラや劇場ものは、イタリアを中心にやらせて頂いていて、去年もレッジョ・エミーリアでヴィットーリオ・モンターリ(Vittorio Montalti)作曲の《上司に昇給を願い出るための芸術的な方法(L’arte e la maniera di affrontare il proprio capo per chiedergli un aumento)》や、ボローニャ歌劇場でエマヌエーレ・カサーレ(Emanuele Casale)作曲の《チョムスキーとの対話(Conversazioni con Chomsky)》をやりましたし、2017年2月から3月にかけては、ボルツァーノで細川俊夫さんの《大鴉》を上演させていただくのですが、新作オペラや、いずれにしても現代オペラが中心になっています。

日頃そういう活動をしている私の、暫く前に四国二期会でやった《ファルスタッフ》もご存知だったプロデューサーの平井洋さんが『せんくら(仙台クラシックフェスティバル)』にも随分関わられた関係で、前回の《多賀城版魔笛》の企画にも携わっていらして、ちょうど編曲も必要で指揮も出来るから、作曲と指揮を私にやらせてみたら面白いだろうと考えて下さったのですね。その意見に演出を手掛けられた志賀野桂一さんが賛同して、わたくしが関らせていただけたのです。

Q:今回の《魔笛》は昨年、多賀城市で上演された《魔法の笛》をふまえたプロダクションだということですが、前回の成果について、そして今回の公演はどのような点が新しくなっているか教えていただけますか?

A:多賀城市での公演は、期待を遥かに上回る充実した内容が実現し、関係者の予想を凌ぐ大きな反響を呼びました。オペラに特別に慣れていなくても、大人でも子供でも、熱狂的な反応が得られることがわかったのです。それに我々演奏者、関係者一同大変感銘を受けました。素晴らしい音楽は、何時であっても、どこでも誰にでも、感激を伝えられるものだと確信したのです。この結果が、白河での公演の大きな自信につながっています。

多賀城公演『魔法の笛』より
多賀城公演『魔法の笛』より

前回は、特に新しい観客を多賀城にもたらすためにどうしたらよいか、どうアプローチする必要があるか、どの切り口で見せたらよいか、とアイデアを皆が出し合ったことに意味がありました。
今回は、前回の成功を踏まえ、もう一歩も二歩も意欲的に踏込んでいます。
福島はご存知の通り、合唱の盛んな土地柄で、その地方に、白河文化交流館コミネスという、素晴らしい音楽ホールが出来て、その開館も記念して《魔笛》を催すことになりました。

ですから、既存の合唱団をどこからか借りてくるのではなく、思い切って、地元に新しい合唱団コミネス混声合唱団を一から作ってみることにしたのです。もちろん、今回の《魔笛》が一つの契機ではありますが、そこでの出会いがこれから白河の文化を力強く築き上げていってほしい、という皆の願いの表れでもあります。
それは、童子役を白河市立白河中央中学校の生徒さんにお願いしたことからもわかりますし、もちろん地元の浅川なおみ先生、ドイツでのコレペティ経験などもある堀内由紀子さんらのお陰でもあります。
この企画に、新しく福島に誕生したプロオーケストラ“ふくしま震災復興祈念オーケストラ”をお願いしたのも、福島そして白河という土地に全幅の信頼をおいて、白河がこれからより一層文化都市として発展してゆくきっかけとなることを信じているからです。

多賀城公演『魔法の笛』より
多賀城公演『魔法の笛』より

Q:白河市で《魔笛》を上演する意義について、またどのような公演にしたいかの抱負を教えて下さい。

A:「白河の関」で有名な白河は、東北と関東の二つの世界の境界です。
言うまでもなく《魔笛》も、二つの世界を舞台にした真実の愛の物語。境界の街で《魔笛》を上演することに、胸を躍らせています。何しろ白河といえば、名君松平定信が身分を超えて庶民が憩う「士民享楽」を唱えて、伝統的に芸術をめでた土地です。街並みも凛として格調高い佇まいに包まれていて、街そのものが《魔笛》の舞台に相応しく感じます。そうした白河の空気がそのまま自然に《魔笛》に溶け込んでゆくような、そんな公演にしたいと願っています。

白河版オペラ《魔笛》素晴らしい公演になりそうですね!詳細は以下の通りです。


コミネス開館記念事業
《魔笛》
FUKUSHIMA 白河版オペラ 全2幕
歌 原語上演【字幕付】
〜異なる愛の闘いと人間の葛藤、
そして魔法、試練を乗り越える若者、
その勇気と愛と和解の物語〜
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/1791年
原台本:ヨハン・エマヌエル・シカネーダー
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3月20日(月・祝)
開場13:30 開演14:30 (終演17:00)
白河文化交流館コミネス 大ホール
〒961-0075 福島県白河市会津町1-17

音楽監督・編曲・指揮:杉山洋一
脚本(翻案&脚色):小山高生
構成・演出:志賀野桂一

 =配役=
夜の女王:早坂知子
背登修(セトス):山中迓晶(観世流能楽師)
民の王子(タミーノ):新海康仁(二期会)
小峰姫(コミーナ):文屋小百合(二期会)
沙羅修登呂(ザラストロ):倉本晋児(二期会)
鳥男(パパゲーノ):高橋正典
鳥女(パパゲーナ):齋藤翠
魔女①:申寿美
魔女②:三野宮まさみ
魔女③:在原泉
異人と呼ばれる男(モノスタトス):樋渡宏嗣
鎧の男:和知健明
神官:牧田純一、道又郁子ほか8名(8名は合唱団)
モノスタトスの手下:小河原夢那、小浜美空ほか3名
童子3名:白河市立白河中央中学校生徒
蛇隊2名:白河東北中学生徒(手下に3名)
獅子踊り4名:仙台育英高校獅子舞部
合唱団(60名):コミネス混声合唱団

演奏:ふくしま震災復興祈念オーケストラ

【チケット料金】
・SS席6,500円
・S席5,000円
・A席4,000円
・B席3,000円
チケット取扱い:白河文化交流館コミネス
TEL.0248-23-5300(火休)

主催:白河市、白河文化交流館コミネス、福島中央テレビ

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