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ローマ歌劇場が2014年以来4年ぶりに来日 9月9日の東京文化会館『椿姫』から上演がスタート。『マノン・レスコー』は神奈川県民ホールでの上演も。

ローマ歌劇場が2014年以来4年ぶりに来日 9月9日の東京文化会館『椿姫』から上演がスタート。『マノン・レスコー』は神奈川県民ホールでの上演も。

9月5日東京文化会館にて、来日プロダクションについての記者会見が実施されました。公演の指揮者、演出家と出演歌手らが登壇して行われた記者会見から、それぞれのコメントを抜粋してお届け致します。

ローマ歌劇場2018年日本公演記者会見より
左より:アントニオ・ポーリ/ヤデル・ビニャミーニ/フランチェスカ・ドット/ロベルト・ガッビア―二/アレッシオ・ウラッド/ドナート・レンツェッティ/クリスティーネ・オポライス/キアラ・ムーティ
〈登壇者〉
アレッシオ・ウラッド(ローマ歌劇場芸術監督)
ドナート・レンツェッティ(「マノン・レスコー」指揮者)
ヤデル・ビニャミーニ(「椿姫」指揮者)
キアラ・ムーティ(「マノン・レスコー」演出)
クリスティーネ・オポライス(「マノン・レスコー」マノン役)
フランチェスカ・ドット(「椿姫」ヴィオレッタ役)
アントニオ・ポーリ(「椿姫」アルフレード役)

アレッシオ・ウラッド(ローマ歌劇場芸術監督)

アレッシオ・ウラッド(ローマ歌劇場芸術監督)前回2014年の劇場の歴史に残る公演以来、ローマ歌劇場が再び日本公演を行えることとても嬉しく思います。
今回は『椿姫』『マノン・レスコー』という2本のオペラを用意しています。
この2つのオペラはイタリアオペラの大きな柱ともなる大事な作品で、私たちの劇場で大成功を収めた公演です。
今回、2つのオペラは、イタリアの伝統文化を受け継ぐ素晴らしい2名の指揮者やイタリアにゆかりのある(血を引く)現在とても活躍されている2名の演出家、素晴らしい歌手のみなさんを迎え、イタリアを代表する素晴らしい作品に仕上げることができたと感じています。
私たちは、オペラという伝統を新しい形でありながら、よりより形で伝えていく責任を持って臨みたいと思っています。今回、ローマ歌劇場が再び日本に来ることができたこと、そしてイタリアの伝統文化であるオペラをこのような形で日本のみなさまにお伝えできる機会を得られたこと、イタリア人としてとても嬉しく思います。我々ローマ歌劇場のスタッフ、オーケストラ、合唱団共々最善の公演が出来るようにしたいと思います。

ドナート・レンツェッティ(「マノン・レスコー」指揮者)

ドナート・レンツェッティ(「マノン・レスコー」指揮者)プッチー二の有名な作品というと『トスカ』ですが、実は『マノン・レスコー』は、プッチーニ中で最初に成功した作品です。作曲された当時は、ヴェルディーが活躍していた時代でした。『マノン・レスコー』は作曲された当時としては新しいモダンなオペラとして、現実に近い、愛の物語としてとても注目されました。
プッチーニのオペラ作品を見ていると、『蝶々夫人』や『トスカ』のように女性が悲劇的な運命をたどる作品が見受けられます。プッチーニのオペラは、女性の悲劇性を音楽によって表現しているのです。この『マノン・レスコー』もその一つと言えるでしょう。音楽で表現される女性の悲劇的な運命の物語に注目していただければ幸いです。

キアラ・ムーティ(「マノン・レスコー」演出)

キアラ・ムーティ(「マノン・レスコー」演出)今回、こうして日本に来られたこと、そして日本の国民の皆さんがイタリアの文化であるオペラに興味をもっていただけていることを知ることができてとても嬉しいです。
『マノン・レスコー』の原作は、フランスの文学作品です。プッチーニは、この作品を主人公マノンの悲劇的な運命を強調した形でオペラ作品にしました。主人公のマノンは、ひたすら幸せになることを願い、まっすぐに愛を求めて生きていくものの、自らの人生が悲劇に向かう運命であることを悟っています。ただ幸せを求めていた彼女ですが、宿命により、最終的には「死」に至るのです。
イタリアの音楽家が作ったオペラは、イタリアの芸術文化の歴史の中で大きな地位を持っており、音楽をはじめ、様々な芸術に大きな影響を与えます。プッチーニのオペラ『マノン・レスコー』もイタリアの重要な芸術作品の一つです。
最後になりましたが、来日したメンバーだけでなく、日本側の方々ともプッチーニの世界を作り上げるこを難しいとは思いながら、とても嬉しく思います。皆さん真面目に取り組んでくださってとても感動しております。
また、今回マノンを演じるクリスティーネ・オポライスさんはアーティストとしてはもちろんですが、第一に女優としてとても素晴らしい方です。是非注目して頂きたいです。また、オポライスさんだけでなく、歌手のみなさんは全て素晴らしい演技をしてくださるので、楽しんでいただけましたら幸いです。

クリスティーネ・オポライス(「マノン・レスコー」マノン役)

クリスティーネ・オポライス(「マノン・レスコー」マノン役)初めての日本です。私はイタリア人ではありませんが、ローマ歌劇場の皆さんとこうしてプッチーニの作品を日本の方々に披露することができてとても光栄に思います。
 私の演じるマノンは、難しい役どころですが、すでにこれまで良い評価を頂いているので、日本の皆さんにも楽しんでもらえると思います。
 『マノン・レスコー』は、音楽的な面においても、ストーリーの面においてもとてもすばらしい作品です。愛と富の両方手に入れたいという女性の欲望の物語です。ぜひ見に来て、楽しんでいただければと思います。
 最後に、私にとって演出家キアラ・ムーティさんと一緒に仕事ができたことは、とても貴重な経験となっています。その素晴らしさに彼女に恋をするほど。ムーティさんは、ステージの一つ一つの瞬間を丁寧に作っていらしていて、いつも新しい発見をすることができます。
 今回のプロダクションで、伝統的な作品をローマ歌劇場の一員として演じられること、とても光栄に思います。ローマ歌劇場と一緒にできること本当に感謝申し上げたいと思います。 

ヤデル・ビニャミーニ(「椿姫」指揮者)

今年に入って3度目の来日ですが、こうして日本にまた帰ってくることができて嬉しく思います。と言いますのは、これまでは交響曲の演奏で来ましたが、今回はオペラの指揮で、そして伝統的なつながりのあるローマ歌劇場とともに、日本を訪ねることができたのですから。
 ローマ歌劇場のオーケストラ、合唱団はとてもすばらしい。演奏に誇りを持っていて、柔軟な演奏をされる人たちです。素晴らしい演奏者と作り上げた本プロダクションをここで再現できることは本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。私は、このプロダクションで初演も指揮をしましたが、とてもフレッシュで新しい感覚の作品となっています。日本の皆さんに気に入って、喜んでもらえることを心から願っています。
 今回、私にこのような素晴らしい役目をくださった芸術監督、総裁に感謝するとともに、素晴らしいキャストの方々と共演することができることとても嬉しく思います。

フランチェスカ・ドット(「椿姫」ヴィオレッタ役)

フランチェスカ・ドット(「椿姫」ヴィオレッタ役)この度、イタリアを代表して日本で演奏できること光栄に思います。私にとって、『椿姫』のヴィオレッタという役は、私の歌手として人生において、私に幸運を与えてくれた役です。
マエストロが仰った通り、全体を通して、富と愛と情熱、悲劇的な運命というものが2つのオペラに共通していることです。『椿姫』では、豊かな人生を望んでいる女性、ヴィオレッタはアレフレードという男性に出会うことで、突然真実の愛に目覚め、愛に生きる決意をします。そにより、これまでの大事にしてきた全てをあきらめてしまいます。結局、愛が故に恋人まで諦め、最終的に悲しみの中、死に向かうことになります。このような、女性が主役の悲劇の物語はイタリアオペラのひとつのテーマとして、ヴェルディからプッチーニに受け継がれていきました。
今回このようなイタリアを代表するオペラを、アントニオをはじめ、マエストロやこのプロダクションをよく知る仲間たちと一緒に作り上げて行くことを、とても幸せに感じています。

アントニオ・ポーリ(「椿姫」アルフレード役)

アントニオ・ポーリ(「椿姫」アルフレード役)私は、日本には以前にもアレフレードとして来日しています。今回のプロダクションでもアレフレードとして来日できてとても嬉しく思っています。
実は、アレフレードという役を初めてやらせていただいたのは、ローマ歌劇場のプロダクションでした。その後、アレフレードの役をたくさんもらうことができたので、この役は私にとってとても重要な役なのです。私は、アレフレードとともに、年齢を重ね、一緒に成長してきました。この役は、若い人が演じることもたくさんありますが、役柄を理解して演じることは簡単ではありません。むしろとても難しい。私はアレフレードを演じる経験を重ねるたびに、アレフレードという役柄を理解することができてきました。
アレフレードは、ヴィオレッタに出会い、愛に目覚めます。そして、彼女の生きている社会を考えると彼女を手にいれることは難しいと理解していながらも、なんとかヴィオレッタを手に入れたいと強く思うのです。その強い愛情で、彼女の運命を変えてしまいます。
しかし、彼の愛は、自分のための愛という意味が大きく、物語が進むにつれて、家族である父によって邪魔されたことをきっかけに、自分がヴィオレッタに捨てられてしまったと誤解をしてしまいます。真実を知って本当の愛に行き着く頃にはもう遅く、彼女は死んでしまうことになるのです。
今回のプロダクションは、ライブ・ビューイング等でご覧になっていて、素晴らしい作品であることをすでにご存知かと思いますが、是非生の舞台で見ていただきたいと思います。皆様のお越しをお待ちしています。

取材・構成:オペラ・エクスプレス編集部 / 写真:長澤直子

ローマ歌劇場 2018年日本公演
《椿姫》
9月9(日)・12(水)・15(土)・17日(月・祝)東京文化会館

《マノン・レスコー》
9月16(日)神奈川県民ホール
20(木)・22日(土)東京文化会館

※上演は全て15時から

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