オペラ・エクスプレス

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【公演レポート】斬新⁉︎まだ何も決まってないコンサート

【公演レポート】斬新⁉︎まだ何も決まってないコンサート

クラシック音楽のコンサートは、基本的に2時間程度の曲目全て、あるいは殆どが事前にアナウンスされていることが一般的だ。その内容や出演者を吟味して我々観客は会場に足を運ぶ。しかしポップスその他のジャンルでは寧ろ、会場に来るまで何が聴けるかわからないことの方が多い。ライヴツアーなどではセットリストを事前に調べず、どんな曲が演奏されるかと期待感を募らせて聴きに行くファンも多いことだろう。今回の「まだ何も決まってないコンサート」は、クラシックでは珍しい「当日のお楽しみ」コンサートだ。何が出るのかワクワクしながら着席。

プログラムもネタ満載で笑わせてくれる
プログラムもネタ満載で笑わせてくれる

芸達者な3人の歌い手と巧みなピアニストは、難しいことは抜きにひたすらに笑えるステージを繰り広げた。こういう肩の力を抜いて楽しめるコンサート、たまにはいい。それに音楽そのものは流石に上質だ。第1部は芸達者な3人によるオペラ名曲選(居ないはずのソプラノの声はどこから・・・?)。ちなみにプログラムにも細かなネタが仕込まれており、プッチーニの名作が「蟻々」に!(元ネタはこちら。おそらくクラシック音楽のツイートネタ史上最も『バズった』ものの一つだろう)

プログラム上は完全に白紙となっている第2部、大量の楽譜を抱えて登場するピアニストにまず客席が沸く。3人の歌手はあれこれと話し合い、笑いを取りつつ、歌曲・オペラ・ミュージカルと何でもござれのステージを作ってゆく。個人的には演歌の一つでも飛び出すかと期待(?!)したが、あくまでクラシック寄りのきっちりしたステージが組まれていた。黒猫のタンゴ→Cats→猫の二重唱という「猫リレー」は痛快だ。そしてアンコールでは隠れゲストとしてソプラノの小川里美(第1部でどこからか聴こえてきた美声は彼女だった)も加わり、華やかにお開きとなった。

地元密着で幅広い世代が楽しめる企画だったようだが、楽しいステージを作りつつも音楽的にはあくまで正攻法。その土台あってこそのプログラムの「遊び」であり、上質なエンターテインメントとして成立したコンサートとなった。

カーテンコールより
カーテンコールより

文:平岡拓也 Reported by Takuya Hiraoka

【公演データ】
2018/11/10
まだ何も決まってないコンサート
@国分寺市立いずみホール

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」より 私は町の何でも屋、それじゃあ、私なのね?
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より ああミミ、君はもう帰らない
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より 彼女の苦しみは慰めようもないけれど
サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より あなたの声に私の心は開く

ガスタルドン:禁じられた音楽
ロッシーニ:老いの過ち第11巻 「声楽の雑集」より 赤ちゃんの歌
ララ:グラナダ
パガーノ:黒猫のタンゴ
A. L. ウェッバー:ミュージカル「キャッツ」より メモリー
伝ロッシーニ:猫の二重唱
サルトーリ:君と旅立とう
〜アンコール〜
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より 花の二重唱
ヴェルディ:歌劇「椿姫」より 乾杯の歌

ソプラノ:小川里美(サプライズゲスト)
メゾ・ソプラノ:鳥木弥生
テノール:馬場崇
バリトン:牧野正人
ピアノ:篠宮久徳

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