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香盛修平の「こうもり」なお話 その③

香盛修平の「こうもり」なお話 その③

  サラリーマン、オペラ歌手?小説家?の香盛(こうもり)修平です。

  会社を一歩出ると、あるときは天井に逆さまにぶら下がりサラリーマン社会を俯瞰し、あるときはヨハン・シュトラウス「こうもり」ファルケよろしく、「オペラ」の楽しさを伝える仕掛人、案内役としてへたな文章を書いております。

  大晦日のフォルクスオーパー「こうもり」を堪能した私は、今回の旅の主目的であるウィーン国立歌劇場へ。カルロス・クライバー指揮、オットー・シェンク演出の「こうもり」のビデオ映像(バイエルン歌劇場での公演)に惹きこまれた瞬間が、私の「こうもり」スタート地点。カルロス・クライバーの、シャンパンが泡立つような軽快な指揮を観ることはかないませんが、一生に一度はオットー・シェンク演出の「こうもり」を本場ウィーンで観てみたい。その夢がついに実現!さて、香盛修平の国立歌劇場「こうもり」の感想はいかに?

  焦らない!焦らない!

  賢明なるオペラ・エクスプレスの読者の皆様は、粋な復讐劇を楽しむためには、予習と復習(復讐ではありません)が大切であることをご存じのはずです。
  今回は国立歌劇場での「こうもり」観劇の前に、ウィーンでお試しいただきたい予習メニューをご紹介しましょう。

こうもりなお話3
予習その1 ウィーン会議の雰囲気を味わう

  まずは、ホーフブルグ宮殿とシェーンブルン宮殿に行ってみましょう。
  「こうもり」は、友人アイゼンシュタインの悪ふざけによって恥をかかされたファルケによる、粋で愉快な復讐劇です。「フィガロの結婚」に通じる喜劇としての基本がしっかり入っていてストーリーとしても楽しめますが、オペレッタとしての魅力をさらに引き立たせているのは、ロシアの大富豪オルロフスキーの豪華なパーティーで復讐劇が進行されることです。
  オットー・シェンク演出の2幕舞台セットは、招待客を迎えるエントランスが下手奥にあり、舞台前面には宴会場へと通じる広間、そして奥には会食用の長大な晩餐会用のテーブルのある豪華なパーティースペースが大きな窓のある壁越しに見える立体的な舞台です。クライバー指揮のビデオを最初に観たとき、残念ながら私のような小市民的な宴会しか経験のない庶民にはピンときませんでした。
  毎日公使館で晩餐会をされている方には不要ですが、私のような庶民生活をされている方は、是非ともホーフブルグ宮殿とシェーンブルン宮殿まで足をのばして、ウィーンの歴史的建造物を体感して欲しいと思います。宮殿の室内は部屋が連続しており、壁を一つ隔てればまた別世界の空間が広がります。多国籍の来客が集まり、華やかな時代が存在したことを感じさせてくれます。前回ご紹介した映画「ウィーン會議」の中でも壁を隔てて盗み聞きをし、鍵穴から様子をうかがう政治家達の駆け引きがあったことが、連続性のある建物の構造を知れば納得できます。
  さらに美術史美術館まで足を運んでいただければ、ウィーン文化を肌で感じることができますので「こうもり」第2幕への助走は完璧です。

予習その2  劇場を知る

  劇場ツアーに出かけてみましょう。ウィーン国立歌劇場の中をガイドしてくれるツアーがあります。ちゃんと日本語を流暢にしゃべるガイドさんもいるので安心です。
  オルベルリンクから見て劇場の左側コーナーを曲がったところにガイドツアーの案内板があります。ここで日本語ツアーのスタート時間を確認。当日スタート時間の少し前に行けば簡単にチケットは買えます。時間が来ればガイドさんについて建物内探訪のスタート。劇場の歴史もわかりますし、ロイヤルボックスから天井桟敷の立見席まで劇場内をくまなく見学することができます。
  最高に楽しいのが舞台袖。こうもり当日、前日のツアーに行けばこうもり1幕のセットを間近に見ることができます。私はボチボチと舞台にも出ておりますので、舞台セットの裏側がどのような構造かは知っています。しかしこのセットを前にすると特別な感慨が湧き上がります。ウィーン国立歌劇場に出演する一流の歌い手達が、セットの裏側でどのような気持ちで舞台に出ていくのかを想像するのは楽しい瞬間でした。
  初めてウィーン国立歌劇場でオペラ、オペレッタを観られる方は、劇場ツアーに行く時間を是非確保してみてください。


  欲張りな香盛修平は、さらにヒーツィングのヨハン・シュトラウスⅡが愛した店や、ウィーンの音楽家が集まる店を、ウィーン在住の美人ソプラノさんと美人ピアニストさんに紹介してもらい、ウィーン料理、地ビール、白ワインを堪能。ウィーン市庁舎前では特設の大画面に映し出されたニューイヤーコンサートの映像を観ながら、屋台で買ったグリューワインで身体と心を温めるなど熱心に予習に励みました。

  さあ「こうもり」へ!
  次回こそは脱線せずに「こうもり」を観劇して感激したレポートをお届けします。

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