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【公演情報】芥川龍之介の小説がベースの新作オペラ『note to a friend』が東京文化会館で日本初演

【公演情報】芥川龍之介の小説がベースの新作オペラ『note to a friend』が東京文化会館で日本初演

現代アメリカを代表する作曲家、デヴィッド・ラング作曲のオペラが、2月に東京文化会館で開催される。

「note to a friend」と題された本作は、芥川龍之介の小説『或旧友へ送る手記』と『点鬼簿』をベースとしている。
台本と作曲はデヴィッド・ラング。オペラを始めとする声楽作品、オーケストラや室内楽などの器楽作品、ソロ向けの小品から映画音楽まで手掛け、ピューリツァー賞やグラミー賞などの受賞歴もある現代米国を代表する作曲家だ。「『羅生門』を読んで以来芥川作品のファンである」と語るラング自身が、本プロジェクトで芥川作品を題材とすることを提案したという。本作で「私が考える死との対話を描きたい」と語る彼は、芥川の言葉からどのような物語を紡ぎ出すのだろうか。

演出を手掛けるのは、パリを拠点にヨーロッパの名だたる劇場で新演出を務めた笈田ヨシ。近年は東京・新国立劇場にも登場するなど、活動の場を広げている。本作を演出するにあたり、「人間の美しさ、悲しさ、寂しさ、面白さ、人間であることのドラマを音楽を通じて表現したい」と語る。恋愛ものなどシンプルな物語の多いオペラ作品が多い中で、死生観を表現するような作品は非常に珍しい。笈田もその点を指摘し、「この台本には深い味がある」と語るなど、強い意欲を見せている。

本作は“オペラ”として制作された作品だが、様々な点で所謂“オペラ”と異なる。通常のオペラ上演では、オペラの発声と芝居の訓練を受けたオペラ歌手が演奏し、オーケストラの伴奏で上演される。本公演においては歌手としてキャスティングされているのはジャズシンガーのセオ・ブレックマンただひとり。ブレックマンは過去にもラングが作曲チームとして参加した合作オペラに出演している。60分にも及ぶ本作をどのように歌い演じるのか注目だ。
また、ブレックマンの相手役として、ただ一人黙役が与えられている。サイラス・モシュレフィによる歌わず喋らないこの役が、“死との対話”を描く本作の中でどのような役割を果たすのか。

そして伴奏は弦楽四重奏。それも、成田達輝を始め、国内外で活躍する東京音楽コンクール上位入賞メンバーを選りすぐった豪華なアンサンブルだ。オペラの伴奏としては非常に小規模な編成だが、彼らの手に掛かれば、フルオーケストラ並みの多彩な音色で物語にさらなる深みをもたらすことだろう。

公演日は2023年2月4日、5日。会場となる東京文化会館小ホールは、このような小規模な作品を上演するにはぴったりだろう。オペラか、現代音楽か、演劇作品か、室内楽作品か。ぜひご自身の目と耳で感じてもらいたい。

1月12日にニューヨークで迎えた世界初演は完売で、公演終了後は拍手が鳴り止まなかったという。なお、公演の舞台写真や関連情報は、東京文化会館公式Twitterで見ることが出来るので要チェックだ。

舞台芸術創造事業 ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク)との国際共同委嘱による新作オペラ
『note to a friend』 (原語(英語)上演 ・日本語字幕付)

2023年2月4日(土)開演:15:00
2023年2月5日(日)​開演:15:00
東京・上野 東京文化会館 小ホール

原作:芥川龍之介「或旧友へ送る手記」「点鬼簿」

作曲・台本:デヴィッド・ラング
演出:笈田ヨシ

出演:セオ・ブレックマン(ヴォーカル)/サイラス・モシュレフィ(アクター)/成田達輝、関朋岳(ヴァイオリン)/田原綾子(ヴィオラ)/上村文乃(チェロ)

ステージ・デザイン(美術・衣裳・照明・絵画):トム・シェンク

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