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指揮者リッカルド・ムーティもリモート参加―「東京・春・音楽祭 2021」記者会見レポート

指揮者リッカルド・ムーティもリモート参加―「東京・春・音楽祭 2021」記者会見レポート

春の訪れとともに開催され、約1ヵ月間にわたり国内外の一線で活躍する音楽家たちの演奏が堪能できる「東京・春・音楽祭」。
2020年の同音楽祭では、新型コロナウイルスの影響で、大半のコンサートが中止を余儀なくされた。2021年の開催では全プログラムでライブ・ストリーミング配信を行い、未だ安定しない状況下でもできる限りコンサートを実現しようと力が尽くされている。

4月8日に東京文化会館で行われた記者会見には、同音楽祭実行委員長の鈴木幸一氏、事務局長の芦田尚子氏、そして同月2日に来日し隔離待機期間中の巨匠リッカルド・ムーティ氏がリモートで加わり、9日から始まる「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京vol.2」についても言及した。
ムーティ氏による指揮者マスタークラスと、演奏会形式のオペラ上演が行われる「イタリア・オペラ・アカデミー」は、ヴェルディ作品を中心としたイタリア・オペラの根幹について学ぶことができる。
日本での初開催となった2019年には、仏・ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した沖澤のどかも参加していた。昨年は残念ながら中止となったが、今年はヴェルディのオペラ『マクベス』を取り上げる予定だ。

また、ムーティ氏側たっての提案で、東京春祭オーケストラとのモーツァルト・プログラムのコンサートを開催することも報告された。

ライブ・ストリーミング配信への新たな取り組み

会見で事務局長の芦田氏は、まず同音楽祭の約1/3の公演が中止になっている状況について報告。今回意欲的に実施しているライブ・ストリーミング配信の今後取り組みや、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を始めとする海外団体との提携の可能性についても触れた。

すでに試行は始まっており、入国制限により上演が叶わなかったベルリン・フィルメンバーによるコンサートのストリーミング配信の決定や、コロナ禍で中止となったベルリン・フィルとの共同プロジェクト「東京・春・音楽祭特別公演 ベルリン・フィル in Tokyo 2020」 に代わり、現地時間で4月17日に行われるコンサートも同音楽祭の公式サイト上での特別配信が発表され、厳しい状況に屈せず、音楽の場を作り続けようとする運営委員会の努力の一端がうかがえた。

リッカルド・ムーティーによる「イタリア・オペラ・アカデミー」の開催

続いて述べられたのは「イタリア・オペラ・アカデミー」の開催の概要について。コロナ禍でさまざまな制限が生じている中で、イタリア側と協議を重ね、ムーティー氏の来日が実現した。4月16日まで行われるアカデミー講義は、ライブ配信で無料公開されている。尚、指揮受講生の成果発表の場となる演奏会は、4月20日にミューザ川崎で開催予定。

リモートで会見に参加したリッカルド・ムーティー氏は、まず実行委員長の鈴木氏への感謝を述べ、「私たち音楽家はただの職業ではなく、一つのミッションを背負っている」と、若い世代を育てる音楽の重要性について言及。1975年のウィーン・フィルとの初公演以降、日本では約200回にわたり演奏を行っていることにも触れ、昨今の状況下での同音楽祭の積極的な姿勢に賞賛の言葉を贈った。

「ヴェルディに対する裏切り」の演奏方法に異を唱え続けて来たというムーティ氏。このアカデミーが『マクベス』というオペラの真髄、作曲家ヴェルディについて深く追求する機会になることを願うと述べた。

先の読めない状況に苦労しながらも、新しい方法を積極的に試行する運営を通して、演奏家たちの熱意が感じられる会見となった。「東京・春・音楽祭」は4月23日まで開催中。

最新情報は「東京・春・音楽祭」の公式サイトでご確認ください。
https://www.tokyo-harusai.com/

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