オペラ・エクスプレス

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ミューザ川崎シンフォニーホール、「キープディスタンスコンサート」で再始動

Covid-19の流行のため様々な活動が制限されてしまい、期待されていたお祭り騒ぎの2020年は残念ながら訪れなかった。未知の見えざるウイルスと地味に静かに戦う半年の間、本当に多くの社会的活動が停止を余儀なくされた。キャンプ入り直前のプロ野球、すでに開幕していたJリーグ、シーズン終盤だったBリーグ、…など等列挙したらきりがない。ご存知のようにコンサートもオペラも実演としては完全に止まってしまった、なにせ人が移動する、不特定多数が集まることこそが避けられなければならない状況だったのだ。各種イヴェントは止まり、最低限必要とみなされた活動以外は行えない。希望とは違って、現実の2020年の前半は、そんなふうに過ぎていこうとしている。
だがようやく国による緊急事態宣言も解除され、いよいよ日本各地で様々なジャンルが活動再開に向けた準備や試みを進めている。ニュースが報じるように各種プロスポーツも動き出した、そんな中で川崎市が誇るミューザ川崎シンフォニーホールも演奏会の再開に向けて、6月16日に大きな一歩を踏み出した。本来はこの日、「ランチタイムコンサート」として開催を予定されていた中川英二郎 TRAD JAZZ COMPANY “TRIO”による演奏会を「公演再開に向けた キープディスタンスコンサート」として関係者を招いて開催したのだ。もっとも、これはあくまでも関係者向けの試演会だが、それでも2月以来本当に久しぶりにミューザ川崎シンフォニーホールを音楽が満たした。

前述のとおり、このコンサートは「演奏会場を感染拡大の起点としないための配慮を可能な限り行っての運用実験」ではあるのだが、スライド・モンスターズなどのアンサンブルでミューザに何度も登場している中川英二郎のトリオによるパフォーマンスはあまりに楽しく、トロンボーンとピアノによる「モーニン」で始まった一時間弱のコンサートはあっという間に終演した。管楽器がリーダー、そこにピアノとバンジョーを加えたトリオ編成はジャズのオリジンにまで遡るもの、そこにこの三人が自らのセンスでモダンなテイストに磨き上げるのだから、その音楽が楽しくないわけがない。トリオでの演奏に加えて、青木によるバンジョー一本での「ラプソディ・イン・ブルー」や、トロンボーンとピアノによるモンティの「チャールダーシュ」までも披露されて(トロンボーンでやる曲ではない!)、私も本当に久しぶりに演奏に応えて拍手を贈ることができた。
舞台上の演奏者の配置はソーシャル・ディスタンシングを意識したものだったし、コンサート中のMCでも中川からの話題はCovid−19関連のものとなってしまう、まだかつてのように振る舞えているわけではない。それでも演奏会が開けたこと、MCの内容が演奏会の再開を踏まえた前向きなものであることは、この日来場した私達に力強く響いた。音楽活動を再開するために試演や実験を行ってくれているすべての方々に、あらためて感謝したい。

コンサートの後には、来場者の多くがそのまま居残る形で意見交換会が行われた。各地のホールや演奏団体からの参加も多かったことには、音楽を渇望しているのは我々聴き手だけではない、送る側もその時を心待ちにしているのだと強く感じさせられる。ミューザ川崎シンフォニーホールが来場者を迎え入れるのは、28日の東京交響楽団の川崎定期演奏会だ。その実施までにも、本日得られた知見が検討されて、より安全にコンサートが行えるようにと最善を尽くしてくれることだろう。

そして意見交換会の最後には、ミューザ川崎シンフォニーホールを愛するすべての人が注目していた「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2020」の開催についてのアナウンスがあった。数を制限するものの来場者を受け入れ、さらに映像配信も行う”ハイブリッド開催”としてミューザの夏祭りは行われることとなる。いくつかの公演は中止され、また内容変更を余儀なくされた公演もあるけれど、あの世界的大会は開かれない厳しい2020年であっても、なんとかしてフェスタサマーミューザKAWASAKIを開催しようというホールの熱意に、私たちのほうが力づけられたようにさえ感じた。こんな年だけれど、今年もミューザの夏は熱くなる。

フェスタサマーミューザKAWASAKI 2020 公式サイトへ

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