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【公演レポート】東京オペラ・プロデュース《シンデレラ》

東京オペラ・プロデュース公演、ヴォルフ=フェラーリ作曲の《シンデレラ》に行って来ました。めずらしいオペラの日本初演に立ち会えた貴重な経験でした!

東京オペラ・プロデュース《シンデレラ》

シンデレラ:鈴木慶江/パッリド王子:三村卓也(2月7日公演)
(C) Naoko Nagasawa

作曲家エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ(1876 – 1948)はドイツ人の父親とイタリア人の母親の間にヴェネツィアに生まれました。彼の作品では《マドンナの宝石》間奏曲が一般にもよく知られています。オペラとしては《四人の頑固者》《スザンナの秘密》《スライ》《抜目のない未亡人》《イル・カンピエッロ》などがあります。

《シンデレラCenerentola》は、ヴォルフ=フェラーリが24才だった1900年にヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場で初演されました。マスネが《サンドリヨン》をパリで初演した翌年です。これはヴォルフ=フェラーリのオペラ・デビュー作品でした。主役のシンデレラ役はヴォルフ=フェラーリの妻でソプラノ歌手のクララが歌いました。

ところが、初演は残念ながら失敗でした。規模が大きくなり過ぎて間際に大きなカットを余儀なくされたため、と推察されています。誇り高きヴォルフ=フェラーリは自分から作品を取り下げてしまい、フェニーチェ歌劇場での上演は一度きりでした。彼はこの曲をドイツ語に作り直して1902年にブレーメンで上演し、その時には成功を収めたということです。今回の上演は1937年に出版された作曲家自身が改訂したドイツ語版に初演時のイタリア語をのせて上演している、という説明がプログラムに記載されていました。

東京オペラ・プロデュース《シンデレラ》

東京オペラ・プロデュース《シンデレラ》第二幕より(2月7日公演)
(C) Naoko Nagasawa

《シンデレラ》の音楽について。洗練された和声の管弦楽とイタリアらしい旋律美が両立しているヴォルフ=フェラーリの特徴はこのオペラにすでに表れています。オーケストラはホルン4、トランペット、トロンボーン各3、チューバ1、それにチェレステ、ピアノなどが加わった大規模なものです。ペッツェ=パスコラートの台本は、ペローの童話が原作となっています。物語の特徴としては、シンデレラの父親が出てこない、亡くなったシンデレラの母親が夢の中で彼女に幸福を予言する、ガラスの靴に足を入れるために継姉二人が足の指を切りおとす場面がある、といった所でしょうか。ヴォルフ=フェラーリのオペラは、生まれ故郷ヴェネツィアの劇作家ゴルドーニを原作にした喜劇と、《スライ》のようなドラマチックな内容の悲劇がありますが、この《シンデレラ》は、お伽噺的な場面やコミカルな場面を含みながらも、中心は第一幕で描かれる虐げられたシンデレラの嘆き、第二幕の王子の憂い、シンデレラとの恋の二重唱、そして第三幕の冒頭にあるシンデレラのアリア「私の甘い夢よ」などシリアスな色合いの濃いものです。そのため、題名から想像するよりも全体的に重い印象を受けますが、ヴォルフ=フェラーリの音楽は十分魅力的なものでした。

太田麻衣子の演出は台本を忠実に表現したもの。舞台装置と衣裳も美しかったです。特に、立体的な回り舞台がシンデレラの家と宮廷の違いを良く表していましたし、大きな満月が時計になる仕掛けも良かったです。歌手ではタイトルロールの鈴木慶江が華のある歌唱で聴かせ、王子役の三村卓也も難しい役を良く歌っていたと思います。宮廷道化師の羽山晃生は演技力抜群、継母と二人の姉も演技、歌ともに良かったです。イゾラモルタ大使を歌った保坂真悟の美声も堪能しました。

東京オペラ・プロデュース《シンデレラ》

シンデレラ:菊地美奈/パッリド王子:星洋二(2月8日公演)
(C) Naoko Nagasawa

飯坂純指揮の東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団も良い演奏でした。第二幕、第三幕で活躍する金管グループも迫力があります。また舞台上や舞台裏からの合唱も効果的だったと思います。小さなバレリーナ達も《シンデレラ》らしいキラキラ・ムードを作り出して大活躍でした。

公演は二日間とも完売だったそうで、こういうオペラ公演に関心が集まるのは素晴らしい事ですね。次回作品は7月のアルファーノ《復活》だそうでこちらも待ち遠しいです!今後も、日本初演作品をどんどん上演していって欲しいと願っております!!!
(所見:2月7日)

reported by Mika Inouchi

《シンデレラ》
全3幕 イタリア語上演 字幕付き
作曲:エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ
原作:シャルル・ペロー / 台本:マリア・ペッツェ=パスコラート

2015年 2 月 7日(土)& 8日(日)
15:00開演
新国立劇場 中劇場
(第一幕約50分 第二幕約55分 第三幕約60分)

指揮:飯坂純
演出:太田麻衣子

シンデレラ: 鈴木慶江(2/7) 菊地美奈 (2/8)
パッリド王子: 三村卓也(2/7) 星洋二 (2/8)
宮廷道化師:羽山晃生(2/7) 村田孝高 (2/8)
王:岸本力(2/7) 鹿野章人 (2/8)
王妃: 勝倉小百合(2/7) 菅有実子(2/8)
継母: 河野めぐみ(2/7) 田辺いづみ(2/8)
ピッツィキーナ:工藤志州(2/7) 岩崎由美恵 (2/8)
ヴァネレッラ:前坂美希(2/7) 小野さおり(2/8)
妖精1: 萩原雅子(2/7) 佐藤りな (2/8)
妖精2:森下奈美(2/7) 溝呂木さをり (2/8)
妖精3:菅原みずほ(2/7)  末広貴美子 (2/8)
イゾラモルタ大使:保坂真悟(2/7) 白井和之 (2/8)
モンテロトンド公爵:清水那由太(2/7) 黒田正雄(2/8)
広報官:和田ひでき(2/7) 笠井仁(2/8)

東京オペラ・プロデュース合唱団
バレエ団芸術座
東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団

美術:土屋茂昭
照明:八木麻紀
衣裳:清水崇子

合唱指揮:中橋健太郎左衛門

字幕:増田恵子

プロデューサー:竹中史子

主催:東京オペラ・プロデュース

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