オペラ・エクスプレス

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【METライブビューイング・レポート】ホフマン物語

METライブビューイング《ホフマン物語》に行ってきました!オッフェンバックのオペラを豪華な舞台で、そして主役のホフマン役を、全盛期を迎えているテノール、ヴィットーリオ・グリゴーロで上演したものです。

この《ホフマン物語》はMETで2009年に新制作された舞台です。その時はレヴァインが指揮をしました。様々な上演版があることで知られているオペラですが、METの上演は基本的にはエーザー版と言われる一般的に広く知られた楽譜が採用されています。冒頭にはミューズが登場し、ホフマンが女性に恋をする順番はオランピア、アントーニア、ジュリエッタです。今年の指揮はイーヴ・アヴェル。オーケストラをコントロールする能力に長けていて、音も十分麗しかったと思います。

演出はバートレット・シャー。豪華で幻想的な舞台です。冒頭から黒い下着姿の女性たちが舞台に大勢登場して妖しい色気を振りまきます。最初と最後に出てくるホフマンの書きもの机には黒いタイプライターが。オランピアの場面では彼女と同じ格好をしたダンサーが何人も出て来て踊り、カラフルで奥行きのあるネオンサイン、ジュリエッタの場面の寝台やゴンドラなど…様々な場面の残像が目に残ります。

METライブビューイング《ホフマン物語》

METライブビューイング《ホフマン物語》
(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

ホフマン役のグリゴーロはテンションの高い演技とムラのない声で熱演。名物の幕間のインタビューでも熱いラテン男のままで、インタビュアーを務めたデボラ・ヴォイトさんも何となくタジタジでした。リンドルフ、コッペリウス、ミラクル博士、ダッペルトゥットの4役を演じたトーマス・ハンプソンはこの人ならではの独特の存在感です。「輝けダイヤモンドよ」も入魂の歌唱でした。女性で魅力的だったのがまずミューズとニクラウスを演じたケイト・リンジー。美青年にも見える中性的な美貌と温かみのある声で、この演出ではホフマンのもう一つのエゴ的な演技で重要な役柄となっており素晴らしかったです。機械仕掛けのオランピアを歌うエリン・モーリーはチャーミングな歌手で、今回オランピアのアリアは特別に最後を高いラ♭にまで上げて(幕間インタビューでもその話題に)一瞬、超音波かと…(笑)。そして最初に真紅のドレスでステラ役も演じるアントニアのヒブラ・ゲルツマーヴァ。豊満な美女でリリックな声も良かったです。当初は彼女が4役を歌う予定だったそうですが、聴く方にとってはそれぞれ別の歌手が演じてくれた方が多彩な魅力が楽しめます。ジュリエッタはクリスティン・ライス。歌も良くロココ調衣裳が綺麗でした。METの合唱はこういう演目では特に演技の上手さが際立ちます。

それにしても一番はやはりオッフェンバックの音楽ではないでしょうか。クラインザックの奇妙な歌。オランピアのアリアのあのメロディー。そしてアントニアの幕が始まる時のオーケストラの厚みのある音。舟歌、そして第3幕の7重唱。ある種鬼気迫る音楽は、女性との愛に破れて芸術家になっていく男の魅力と凄みを余すところなく描いていました。

〈上演情報〉
今回《ホフマン物語》の通常上演は3月13日(金)までですが、東京ではTOHOシネマズ六本木ヒルズのみ日程が異なり、3月21日(土)〜3月27日(金)の上演です。

〈次回作品〉
幕間のインタビューにアンナ・ネトレプコ(紫色の毛皮風帽子が可愛かったです)とピョートル・ベチャワがインタビューに現れました。次の演目《イオランタ》がリハーサル真っ最中とのことで、その映像も一部紹介されていました。目が見えない事を知らないで育った王女イオランタの物語は、チャイコフスキーのオペラの中でもピュアな美しさを持つ一幕ものオペラ。これがハンガリー語の《青ひげ公の城》と同時上演されるので楽しみです。上演は3月28日(土)〜4月3日(金)とのこと。

reported by Mika Inouchi

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