オペラ・エクスプレス

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【インタビュー】野田愛子(シカゴ響・ヴァイオリ二スト)———ヴァイオリンとの出会い・シカゴ響との出会い

Aiko Noda_10 © Naoko Nagasawa (OPERAexpress)

野田愛子さん

今年125年周年シカゴ交響楽団が、去る1月18・19日に、日本公演を行いました。シカゴ響の来日は7年ぶり。今回の公演は、リッカルド・ムーティが音楽監督に就任後の初の来日となりました。

オペラ・エクスプレスでは、シカゴ響に在籍して今年で8年目になるという野田愛子さん(ヴァイオリン)にお話を伺いました。

Q:まずは、シカゴ響の125周年記念、誠におめでとうございます。

A:ありがとうございます。私はシカゴ響には、まだ8年目なのですが・・・。

Q:野田さんは、音楽とどのように出会いましたか?

A:両親2人が音楽家なので、生まれた時には既にピアノとチェロがありました。母がピアニスト、父がチェリストです。父は、九州交響楽団で、チェロを弾いています。お腹の中にいる時から、ずっと音楽の中で育ちました。両親が二人でリサイタルを良くやっておりましたが、その間に、私も本とものさしを持ってヴァイオリンを弾く真似をし出したんです。その頃からヴァイオリンを弾きたかったんです。どうしてかわからないんですけど、ヴァイオリンを弾きたかったんです。3~4歳くらいのときの話ですが、もう、そういう気持ちがありました。それを目にした父に「ヴァイオリンを弾きたいの?」と聞かれて、素直にそのまま・・・という感じでしょうか。

Q:ピアノから習い始めるのではなく、ヴァイオリンから先に始められたのですか?

A:ピアノはあったので遊びには弾いていました。父がよく九州交響楽団の音楽会に連れて行ってくれて、その時にヴァイオリンコンチェルトなどを耳にしていたということもあるかもしれません。理由はわからないけれども、ヴァイオリンを弾きたくて。

Q:ヴァイオリンの音色に惹かれたのでしょうか?

A:多分、ピアノトリオというアンサンブルがあるのを知っていて、親の真似をするよりも、親と一緒に音楽をやりたいと思ったのかもしれません。ヴァイオリンはなかったけれども、本とものさしでヴァイオリンを弾く格好をしていたのでしょう。

Q:その頃から、ヴァイオリニストになることを意識していたのでしょうか?

A:私の場合はそうでしたね。父から「ヴァイオリンを弾きたいの?」と聞かれた時点で、これを生涯やるんだと決めていましたね。今思えば、そんな小さい頃に、どうしてそんな考えを持ったんだろうと。これから人生長いのに!

Q:勉強の過程では、まず音楽教室に行かれたのですか?

A:一般的なメソッドを、私の両親はあまり好まなかったようです。そこで、福岡で個人の先生に習っていました。父が一番厳しい「指導者」でしたが・・・。9歳のときに父の考えで、スイスで勉強することになりました。なるべく良い先生に付いて勉強して欲しいという希望です。両親ともに日本の大学を卒業した後、ドイツで勉強していて、そこで出会っているんです。クラシック音楽は元はヨーロッパのものなので、その環境の中で育ったらいいなあという考えがあったようです。
それで89年からスイスに住んで、ハンガリー人の先生に付きました。妹と母と私の3人はスイスに、父だけが日本に帰って、九州交響楽団でチェロを弾いていたのです。可能な時には、父がスイスを訪れるという暮らしでした。

Q:日本の大学を経ての留学というパターンではないのですね。

A:有名な音楽大学は世界中の色々なところにあります。私にとって一番大切だったのは学校ではなくて先生でした。学校を選んだわけではなく、先生を選んだのです。そして、その先生が教えている学校に行きました。その時私が一番必要としている物を与えてくれる先生。人間的にも音楽的にも相性の良い先生を見つけることが重要です。

Q:シカゴ響との出会いはどのように?

野田愛子

野田愛子さん

A:大学がシカゴの近くでした。その後、ヴァージニア州に仕事が入ったので移ったのですが、またシカゴに戻って来ていたときに、たまたま運よくシカゴ交響楽団にエキストラのオーディションがあったのです。オーディションに受かり、一年間エキストラで弾いて、一年後に団員のポジションが空いた。そこでまたオーディションです。それもパスしたので、2008年から正式メンバーとして迎えられました。

Q:ヨーロッパからアメリカのオケに入る時に違和感はなかったですか?

A:アメリカは私に合ってますね。ヨーロッパで育ったのでヨーロッパも凄く自分に近いですが、アメリカも凄く合うところがある。エキストラで弾いた時から、「このオーケストラ良いな」「凄く弾き易いな」と思っていたので、すんなり入って行けました。

Q:シカゴ響の特徴はどんなところですか?

A:このオーケストラは、メンバーの一人ひとりが、それぞれに卓越した技術を持っています。今回の公演(※)のプログラムも大変良く出来ていると思います。マーラーは、我々が最も得意とするレパートリーの一つです。そして、プロコフィエフとチャイコフスキーは、指揮者のムーティさんの得意な曲です。仲でもプロコフィエフは、難度の高い曲ですが、それぞれのヴィルトゥオーゾたちの特性を存分に生かせます。
リッカルド・ムーティ指揮 シカゴ交響楽団

Q:ムーティさんの印象は?

A:凄く楽しい方です。笑い話とか・・・お話が凄く面白いんです。リハでもいつも笑いが絶えません。オーケストラもみな弾けてますし、ムーティさんとの経験も豊富です。あまりしつこく練習するというよりも、肝心なところをさっと突いてくれて、それで全体がまとまって、後は楽しんで!という流れです。ムーティさんが来て下さると、私たち本当にハッピーです。そこがお客さまにも楽しんでもらえる理由だと思います。

Q:お客さま、特に若者の反応は如何ですか?

A:若い方でクラシック音楽の環境に育っていないと、行きにくいところがあるのではないかと感じることはあります。年齢的には、上の世代の方がいらっしゃることが多いです。でも、好きな人は年齢に関わらずいらして下さいます。音楽は言葉が不要で直接心に語りかけて来るものです。その点、ムーティさんは音楽でお客さまとコミュニケーションを取って良い関係を作ってくれる。素晴らしい指揮者です。

取材・文・写真:長澤直子

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