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初来日の指揮者ペトレンコも出席。音楽と向き合う上での信条を語る―――バイエルン国立歌劇場2017年日本公演開幕記者会見

東日本大震災の起きた2011年以来、6年ぶりに実現するバイエルン国立歌劇場7回目の来日公演。

今回は、ワグナー作曲『タンホイザー』(指揮:キリル・ペトレンコ、演出:ロメオ・カステルッチ)とモーツァルト作曲『魔笛』(指揮:アッシャー・フィッシュ、演出:アウグスト・エヴァーディング)というミュンヘンとも関わりの深い大作曲家の作品を、充実した陣容で上演するということで、オペラ・ファンの注目を集めている。

中でも、『タンホイザー』公演の指揮者であるペトレンコは、初来日であることに加え、2018年にはベルリン・フィルの首席指揮者に就任する予定でもあり、今やクラシック界における「話題の人」の筆頭に挙げられる音楽家だろう。

9月17日に行われたバイエルン国立歌劇場日本公演の記者会見では、歌劇場のニコラウス・バッハラー総裁と指揮者ペトレンコ、そして『タンホイザー』公演の主要キャストの多くが登壇し、今回の日本公演にかける思いを語ってくれた。

登壇者(写真左より)
クラウス・フロリアン・フォークト(「タンホイザー」タンホイザー役)
アンネッテ・ダッシュ(「タンホイザー」エリーザベト役)
ニコラウス・バッハラー(バイエルン国立歌劇場 総裁)
キリル・ペトレンコ(バイエルン国立歌劇場音楽総監督、「タンホイザー」指揮者)
エレーナ・パンクラトヴァ(「タンホイザー」ヴぇーヌス役)
マティアス・ゲルネ(「タンホイザー」ヴォルフラム役)


会見は、バッハラー総裁からの挨拶によって始まった。
バッハラーは、「バイエルン国立歌劇場は、1974年に招聘されて以来、日本における公演を最も長く続けている歌劇場です。」と自負を語るとともに、「2011年は日本が大変な状況での来日でしたが、皆さんが理性的に我々の音楽に集中してくださったので、音楽のポジティブな力を一緒に体験することができました。」と日本の聴衆への信頼について触れ、数か月前にミュンヘンで大成功を収めたばかりの新しいプロダクションである『タンホイザー』を日本で上演できることの喜びを語ってくれた。

続いてマイクを向けられた指揮者のペトレンコは、初めて訪れた日本の印象を「本当に素晴らしい国ですね、特に食事が最高においしい!!」と笑顔で語ってくれた。さらに、「バイエルン国立歌劇場の来日公演という長い歴史の一部を、音楽総監督という立場で担うことができてとても喜んでいます。」と伝統ある歌劇場を率いることの意気込みを述べ、今回の公演については「モーツァルトとワグナーはバイエルン国立歌劇場の主軸、これを超一流のキャストで聴いていただける機会であり、日本の皆様の期待を裏切ることはないだろうと確信しています。」と力強く約束してくれた。

さらに、クラウス・フロリアン・フォークト(タンホイザー)、アンネッテ・ダッシュ(エリーザベト)、エレーナ・パンクラトヴァ(ヴェーヌス)、マティアス・ゲルネ(ウォルフラム・フォン・エッシェンバッハ)の主要4キャストが来日の喜びと公演に向けた抱負を語ってくれた。
中でも、ワグナー歌手としての評価を既に確立していながら、タンホイザー役については初挑戦となるフォークトは「自身初となるタンホイザー役を、日本の皆さんにぜひ聴いていただきたい。」と熱く呼びかけていた。

会見の後半は、活発な質疑応答の時間となった。ペトレンコはメディアにあまり登場しない指揮者で、バッハラー総裁からも、日本に限らずヨーロッパでも通常はインタビューを受けていないと前置きの説明があった。そのためか、質問の多くはペトレンコに向けられた。

まず音楽と向き合う上での信条を尋ねられると、ペトレンコは「特別なものはありませんが、真摯に音楽に向かい、充分に時間をかけて準備をした上で、充分な時間をかけてリハーサルをするようにしています。リハーサルが一番大切なことかもしれません。」と述べて、リハーサルを特別に重視する姿勢を示した。
ライブ演奏と録音について、どのようにとらえているかという質問には、「その場でしかあり得ない活き活きとした音楽が生み出されるため、録音よりもライブがより重要。」と語り、「確実すぎる状態で演奏するべきではない。」との見解も披露してくれた。
インタビューを受けない理由は?という質問については、「指揮者は、指揮台から音楽を通じて皆様に語るものです。私の仕事には秘密があった方がいいのです。」と述べ、自身の仕事については、言葉で語ることはしない方が良いと思っていると答えた。

そこでキャスト陣にペトレンコの指揮について尋ねると、みな一様に、きわめて入念に準備してくるのでリハーサルに無駄がなく、多くを学ぶことができると絶賛。
中でも、ウォルフラム役として名高いゲルネは「これまでこの役をいろいろなところで何回も歌ってきたが、ペトレンコほど楽譜やテキストを正確に読む指揮者は、他にはいないと思います。『タンホイザー』では合唱とソリストがいっしょに歌うところが多くありますが、そうした箇所で素晴らしいコーディネートをしてくれるんです。」と強い信頼を語ってくれた。

最後に、改めてバッハラーが「オペラはライブに限ります。できるだけたくさんの方に劇場に来ていただきたいと思います。」と日本のオペラ・ファンに呼びかけた。さらに、新演出となる『タンホイザー』については「新演出によって作品を改めて聴衆に問うことができるのです。」と伝統ある歌劇場の新たな挑戦への意気込みを明かしてくれた。

注目の公演は、『タンホイザー』がNHKホールで9月21日・25日・28日の3回、『魔笛』が東京文化会館で9月23日・24日・27日・29日の4回。

取材・文:オペラ・エクスプレス編集部
写真:長澤直子


バイエルン国立歌劇場 2017年 日本公演
『タンホイザー』全3幕
指揮:キリル・ペトレンコ
演出:ロメオ・カステルッチ
9月21日(木)3:00p.m.
9月25日(月)3:00p.m.
9月28日(木)3:00p.m.
NHKホール
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『魔笛』全2幕
指揮:アッシャー・フィッシュ
演出:アウグスト・エヴァーディング
9月23日(土・祝)3:00p.m.
9月24日(日)3:00p.m.
9月27日(水)6:00p.m.
9月29日(金)3:00p.m.
東京文化会館

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