
去る2月21日、CITTADINO歌劇団(チッタディーノ歌劇団)の第16期生公演《ロミオとジュリエット》が、文京シビックホールで行なわれました。

(C) Naoko Nagasawa
キャストには、オーディションを勝ち抜いた実力派が揃いました。ロメオ役の又吉秀樹は、リリックな声の持ち味を生かした端正な歌唱で、心に深く響いて来ます。ジュリエットの藤永和望は、1幕の無邪気な歌から幕切れまで、移り変わる心情を大変丁寧に歌っていて素晴らしかったです。ロランス神父を演じた狩野賢一の深い響きも良かったです。ステファノの莟道子の歌唱と舞台姿も良く映えていました。他のソリストも、それぞれの役柄に合っていて、好感が持てました。
演出・衣装・美術を一手に引き受けたのは、原純。数百とも知れない蝋燭のゆらめきと、人々の悲しみの嗚咽。はかなく燃え尽きようとしている恋人たちの運命を暗示して、オペラが始まります。凝った大道具などはなく、キャピュレット家側は黒、モンタギュー家側は白というモノトーンの衣装。青・赤といったはっきりとした照明で変化をつけ、独特の耽美な世界を描き出しました。
そして、オーケストを束ねる指揮の松岡究。そのキャリアと統率力を充分に発揮し、流麗なサウンドを隅々まで響かせていました。
※写真をクリックするとアルバムが開きます※ (C) Naoko Nagasawa
プログラムには「文京区民参加オペラ」とあり、この団体の主旨と前回までの演目が書かれています。
なるほど、1800ある大ホールの客席がほぼ一杯で、この上演にかける市民の皆さんの関心の高さがうかがえます。チケット代も3000円に抑えられていますので、購入し易い価格帯ということも成功する理由の一つになっていると言って良いでしょう。
このように、本格的なオペラ上演の形を取りながらも、市民の皆さんが一丸となって取り組んだ努力の成果を発表する場として、着実に定着して来ている。これは、一オペラファンとしても、大変喜ばしいことだと感じました。オペラの楽しみ方は人それぞれですが、今後は、「舞台に参加してオペラを楽しむ」という方が、もっと増えるかもしれません。そんな期待を抱かせてくれる、頼もしい上演でした。
文京区民参加オペラ CITTADINO歌劇団 第16期生公演
グノー《ロメオとジュリエット》
フランス語上演・字幕付
2016年2月21日(日)14:00開演
文京シビックホール 大ホール
指揮:松岡究
演出・衣装・美術:原純
音楽指導:江澤隆行 蒲谷昌子
合唱指導:齊藤義雄
副指揮:小松拓人
ロメオ・・・・・・・又吉秀樹
ジュリエット・・・・藤永和望
ティバルト・・・・・福井徹
メルキュシオ・・・・相沢創
ステファノ・・・・・莟道子
ロランス神父・・・・狩野賢一
カプレ・・・・・・・白石陽大
大公・・・・・・・・藪内俊弥
ゲルトリュード・・・鹿島千尋
ベンヴォーリオ・・・小田知希
パリス・・・・・・・金子亮平
グレゴリオ・・・・・岡村聡
ジャン修道士・・・・五島泰次郎
CITTADINO歌劇団合唱団
CITTADINO歌劇団オーケストラ
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