オペラ・エクスプレス

The opera of today from Tokyo, the hottest opera city in the world

充実感!いいオペラいっぱいの2018年。2019年も素敵な音楽にたくさん出会えるといいですね。

充実感!いいオペラいっぱいの2018年。2019年も素敵な音楽にたくさん出会えるといいですね。

あけましておめでとうございます。2019年の幕開けです。が、ジルベスターコンサート、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート、そしてNHKニューイヤーコンサートと、クラシック音楽に囲まれたお正月を過ごしております。

ニューイヤーコンサートはすごくマニアックなウィンナーワルツの数々。しかしティーレマンのタクトは退屈にさせませんね。オペラコンサート、「ロマンチストの豚」まではいいとして、あの後のイル・デーヴの他の歌とかはオペラでも何でもないので、ああいうの「マイ・ウェイ」なんかに至っては紅白歌合戦にでもコーナーを作ってやればいいのに・・・そもそも、なんだかいろいろ難しいものという前提のプログラム構成が写楽さいし、などなど、思うところもないではありませんでした。が、音楽とお雑煮に包まれて過ごすお正月というのもいいものですね。

それはそうと、2018年、昨年はオペラにも時々出かけることができました。そういう意味でいい一年だったなあと振り返るわけです。2019年スタートを切る前に、そんなのを少し書きとどめておきたいと思います。

まず、9月に観たプッチーニの三部作。「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」なかなか見応えのある公演でした。「コンテナ」をトリガーにした舞台構成は、一見近代的な演出のようでもありつつ、むしろ時代の感覚が希薄になるような部分もありました。そして、それぞれ連作やオムニバスといったことはないようですが、過去と未来、夢と現実、悲劇と喜劇、男女といった様々なアンチテーゼが同時多発的にちりばめられているようで面白い舞台だったように感じました。そして何曲か有名な曲もあって、コンサートではよく聴くアリアなどもありましたが、そういうものもやはりコンサートで聴くのとは違う説得力、愉しみがあるもの。実際にあのくらいの人気、集客能力の演目であれだけのキャストをそろえねばならない作品、なかなか制作視点ではなかなか勇気のいる決断ではなかったでしょうか。そういう「珍しいものをありがたく見せていただいた」感じ以上の満足感がありました。ああいうものは、やった時に観ないとなかなか観れません。あれが観れただけでめっけもんですが、ああいう公演に巡り合えたことはファンとしては素直に喜びたいものです。

出色の好演。二期会の「三部作」を見て。


それと、アイーダ。札幌文化芸術劇場hitaru、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、iichiko総合文化センター、東京二期会、札幌交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団 共同制作での公演でした。やはりいいものですねアイーダ。大分まで観に行きました。珠玉のグランドオペラを観に行くなら、壮大なグランドツーリングがてら。そう思い、クルマで1200キロドライブして観に行ったのでした。アイーダも好きな演目ですが、それを地方公演で観る。それがまた格別なことです。バレエもなかなか上手く、合唱も上手かった。ジルベスターでも「件の凱旋」振ったバッティストーニさんが指揮。彼は好みが分かれるようで、彼の指揮はだめという人が私の周りにいることも確か。しかし私個人的にはペース配分にまで意識して、緩急を綿密に御そうとしている彼の指揮、あの煩さはオペラ的に正義なのではないかと思っています。確かに私の手元にある音源、いわゆる名演奏と言われるものと異質な部分もあります。ムーティやカラヤンなんか、静々としています。日本人の指揮であっても、菊池彦典さんのイタリアオペラなんかなかなか素晴らしいものがあると思います。それからすると、そういった音楽にはないものがバッティストーニの指揮にはあります。それは確かに余分かもしれない、くどいのかもしれない。しかし、私には、彼の場合のその部分、若人の輝き、黎明のほとばしりの範疇のような気がするのです。彼のそんな音楽性自体も、回を重ねるごとに、年を追うごとに、練れてきている気がしています。あのまま、場数をこなしてさらに、ある種の成熟が包み込んでいったときのタクトが、妙に愉しみに思えるのです。

正直、わかりません。私の基準が。もしかしたら間違っているかもしれない。そしてずれているのかもしれない。こう思うのは私の不見識が故かもしれない。けれども、アレーナ・ディ・ヴェローナのそばで生まれ育ち、オペラが好きで研鑽を積み、オペラに向かったバッティさん。そんな彼のインスピレーションに、作り上げたい音楽に、描写したいことにある種の期待感を覚えるのであります!!そういう意味では、私の中で、彼にはある種の「役得」があるのかもしれません。

という、そんな「アイーダ」を大満足の1200キロのグランドツーリングの果てに聞いた。ホールを出たら、海の幸、山の幸、うまいものだらけ。いい湯の沸く街。焼酎も旨い。そんな魅力を秘めた大分の魅力で、前夜から腹を満たした一座が、そのエネルギーを、その街でその街の人にパフォーマンスとしてアウトプット、発散するわけです。これこそが文化交流ではないでしょうか!!壮大なアイーダトランペットの音色だって、その高らかな響きは、大分で飯を食ったからに違いないのです。そんな公演を観に、ホールには、市内は勿論、九州のいたるところから楽しみにして会場に足を運んでいたことでしょう。そんな、ホール内での音響にとどまらず、街ぐるみで響きあうオペラを観たことで、「文化」とはこういうものだという実感をかみしめることもできました。

ということで、2018年、こんなオペラに出会えたこと自体、収穫だったなと振り返ったりしております。2019年はまたいい音楽に出会えるといいなと思います。ベルリオーズの没後150年、リヒャルトシュトラウスの没後70年、あたりの周年企画なんか個人的には楽しみですね。皆さんも素敵な音楽にたくさん出会えるといいですね。

文:中込健太郎(自動車ライター)

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

CAPTCHA


COMMENT ON FACEBOOK

Return Top