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【公演レポート】ポッペーアの戴冠

【公演レポート】ポッペーアの戴冠

東京オペラシティ・コンサートホールでラ・ヴェネクシアーナ演奏の素晴らしい「ポッペーアの戴冠」(モンテヴェルディ)を聴いてきました!

「ポッペーアの戴冠」はモンテヴェルディの最後のオペラです。今回の「ポッペーア」はコンサート形式で、舞台奥の高い位置に字幕が投影されます。楽器奏者が8名、歌手12名の編成なのでこのホールは少し大きすぎるかと思いますが、演奏に迫力があるので引き込まれて聴き入りました。

このオペラの楽器編成は小さく、残された手稿譜も、歌のラインに加えて、現代の音楽で言うところのコード進行にあたる《通奏低音》が書き込まれただけのものだそうです。今回のラ・ヴェネクシアーナはイタリアのグループですが、音楽総監督のクラウディオ・カヴィーナが弾くチェンバロと、アーチリュートのガブリエレ・パロンバの伴奏が変幻自在というか、とにかく心の琴線に触れる音楽で感動しました。コントラバスやチェロ(日本人の懸田貴嗣)も絶妙のリズム感のある演奏でした。

今回の公演の目玉は何といっても優艶な美女ポッペーア役を歌ったソプラノのロベルタ・マメリでしょう。すらっと背が高く若い頃のジュリア・ロバーツを思わせる美貌の歌手ですが、ちょっと類を見ない艶のある声が特徴で、しかもその声を自由自在に操ります。最初の一声から空気を変える程の存在感でしたが、終曲ネローネとの二重唱、「Pur ti miro(ずっとあなたを見つめ)」ではピアニッシモも信じられない美しさで、聴いていると自然と涙が頬を伝いました。会場も水を打ったような静けさで集中力が凄かったです。

他の歌手達も充実しており、ポッペーアの乳母役を歌ったテノールのアルベルト・アレグレッツァは声も良くまた演技力がずば抜けていました。ネローネ役のマルゲリータ・ロトンディも良かったです。オットーネ役のラファエレ・ピは繊細な表現、オッターヴィアのセニア・マイヤーは最後のアリア「さらばローマ」における激情の表現が際立っていました。哲学者セーネカのサルヴォ・ヴィターレも美声。

全曲が終わると、万雷の拍手に加えブラヴォーの声が響きます。私も手を叩きすぎて手が痛かったです。演奏中ずっとぶっきらぼうな表情のままに見えたカヴィーナ(多分、そういうお顔なのかと…笑)がカーテンコールを重ねるうちにニコニコ顔になり、あまりに拍手が鳴り止まないのでついに、「Pur ti miro」を短くした曲をアンコールに演奏。私は性懲りも無くまたホロリときてしまい、やっと涙が乾いた頬がまた濡れて困りました。最高に美しい音楽を聴けて本当に良かったです。17世紀の音楽にこんなに感動出来るとは、オペラってやっぱり凄い芸術ですね!!!

reported by Mika Inouchi

モンテヴェルディ作曲 歌劇「ポッペーアの戴冠」
[コンサート・スタイル、原語(イタリア語)上演、日本語字幕付]

日時 2014年 10月15日(水) 午後 6時30分開演
公演時間 約2時間40分(休憩1回を含む)

会場
東京オペラシティ コンサートホール

モンテヴェルディ: 歌劇「ポッペーアの戴冠」 プロローグと3幕
ナポリ稿 全曲からカヴィーナ監修により、一部カットします。

出演 : ラ・ヴェネクシアーナ

指揮・音楽監督: クラウディオ・カヴィーナ
≪キャスト≫
ポッペーア: ロベルタ・マメリ (ソプラノ)
ネローネ(ローマ皇帝ネロ): マルゲリータ・ロトンディ (メゾ・ソプラノ)
オットーネ: ラファエレ・ピ (カウンターテナー)
オッターヴィア: セニア・マイヤー (メゾ・ソプラノ)
セーネカ: サルヴォ・ヴィターレ (バス)
アルナルタ: アルベルト・アレグレッツァ (テノール)
乳母/兵士/執政官: アルベルト・アレグレッツァ (テノール)
ドルシッラ/美徳: フランチェスカ・カッシナーリ (ソプラノ)
ヴァレット/運命/ヴェネレ/パッラーデ: アレッサンドラ・ガルディーニ (ソプラノ)
愛/待女: フランチェスカ・ボンコンパーニ (ソプラノ)
兵士/ルカーノ/自由奴隷: ラファエレ・ジョルダーニ (テノール)
メルクーリオ/警史/執政官: マウロ・ボルジョーニ (バリトン)

≪器楽≫
エフィックス・プレオ <ヴァイオリン>
ダニエラ・ゴディオ <ヴァイオリン>
ルカ・モレッティ <ヴィオラ>
懸田 貴嗣 <バッソ・ディ・ヴィオリーノ>
アルベルト・ロ・ガット <ヴィオローネ>
ガブリエレ・パロンバ <アーチリュート>
キアラ・グラナータ <ハープ>
クラウディオ・カヴィーナ <チェンバロ>

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