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佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》が兵庫県立芸術文化センターで、7月20日(金)より8公演行われます

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》が兵庫県立芸術文化センターで、7月20日(金)より8公演行われます

兵庫県立芸術文化センターで、7月20日(金)より上演される、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》の記者会見から、佐渡裕芸術監督、エンヒェン役の小林沙羅さん、装置・衣裳デザイナーのフリードリヒ・デパルムさんが語った、公演の魅力やそれぞれの思いをまとめました。


まず会見の冒頭に、この記者会見のためだけに来日、登壇予定だったトルステン・ケールさんが、インフルエンザにより欠席というお知らせがありました。ケールさんからのメッセージは、後ほどビデオで紹介されました。

次に、制作の古屋氏より。

「10周年を超えたところから、これまでの名作だけでなく、より挑戦的な演目にも取り組んで行きたいという主旨のもと、2016年には、ブリテンの《夏の夜の夢》を上演しました。今回の《魔弾の射手》は、これまで上演機会の少なかった演目に挑戦ということになります。

歌手には、ヘルデンテノールとして名をはせるトルステン・ケールさん、バイロイトやウィーンの国立歌劇場をはじめとして、世界の名だたる劇場で ひっぱりだこのクリストファー・ヴェントリスさん、長年ドイツで活躍し宮廷歌手の称号を得た、小森輝彦さん・髙田智宏さん他、ドイツ物のスペシャリストを揃えることができました。これまでの国内上演にはない、かなりクオリティの高いものを実現できるのではないかと 楽しみにしております。」

演出面では、オーソドックスな正攻法からのアプローチになるということ、前衛的な読み替え演出とは違い、 作品そのものに立脚した正面から取り組む設定は、三十年戦争を踏まえた解釈になるそうです。


佐渡裕芸術監督コメント

この作品を取り上げた理由として、10周年を超え、より挑戦的な作品に取り組みたいという思いがあったといいます。この先は、ウェーバーの影響を受けて登場したワーグナー作品の上演までを見据えているということをはっきりと示してくれました。

非常に深い人間の根源的な問題にまで踏み込んでいる作品ではないかと語った後、演出面での難しさをどのように克服して行くかが上演の鍵となると続けました。そんな時に演出家のミヒャエル・テンメさんを知る機会があったそうです。

「テンメさんはオペラの現場を熟知していて、正統派で、作品の本質を伝えてくれる人です。」

と、テンメさんについて語り、その数々の言葉の端からも、彼にいかに信頼を寄せているかがわかります。

「今の複雑な時代の中で、正しい道とは何なのか、人として失ってはいけないものは何なのかを訴えかけるような作品ではないかという気がしています。」

この作品をとりあげた本心を淡々と、しかし熱く語られました。

「去年オーケストラの野外コンサートで演奏会形式の《魔弾の射手》 演奏しました。その経験を踏まえての今回の兵庫の舞台となります。僕自身がとても ワクワク楽しみにしています。」


エンヒェン役・小林沙羅さんのコメント

『魔弾の射手』に向かい合う気持ち、エンヒェンという存在を演じることに対する喜びを、飾らない言葉でストレートに表現してくれました。

「『魔弾の射手』との出会いは、小学校3年生の時に音楽の授業で歌った「狩人の合唱」でした。当時はオペラの中の曲ということは知らず、みんなでハモッて歌った、大好きな曲だったのです。」

オペラとの出会いとなった縁のある作品に出演することへのストレートな喜びが伝わってきます。
フィナーレでの救いはありますが重たいテーマの作品の中で、底抜けに明るく、どんな状況でも前向きで、運命に翻弄されるアガーテを支える存在であるエンヒェンを、「このオペラにおける清涼剤」となるように演じたいと語ります。
人が大きな不安を抱え、先行きの見えない出来事がおこっても、変わらないエンヒェンの明るくポジティブな考え方や行動が、この作品の中で重要な意味を持っていることを、あらためて認識できた内容でした。
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラでは2011年の「こうもり」に続いて二回目の出演となる小林沙羅さん。人生も重ね合わせ今回の公演で7年間の成長を感じ、お客様と一緒にこの作品を楽しみたいという言葉で締めくくりました。小林沙羅さんはオペラ歌手としてのキャリアを確実に積んでこられています。オペラとの出会いとなった『魔弾の射手』でまた進化した歌唱、演技、作品への理解を披露していただける、期待感が高まります。


装置・衣裳デザイン フリードリヒ・デパルムさんのコメント

初めて日本でのプロダクションに参加することの喜びを表現された後、この作品に対する強い思いを語られました。

「『魔弾の射手』は戦争による被害、さらには自然災害や飢餓から、 何百万人もの人の命が失われた30年戦争後が舞台とされています。作品は、1821年にベルリンで初演され、ドイツの国民的オペラと評されるほどの人気作となりました。しかし、その後のドイツの歴史の中で政治的に悪用されたり、誤った理解のもとで上演されて来たという背景があります。私どもの解釈はそういうものとは全く違い、この作品を本当にピュアに純粋に取り上げたいと思っております。」
と、この作品の本質に迫る強い意志を示されました。

「今回の装置では戦争で焼け焦げた跡などを当時の状況を取り入れました。多くの人がイメージするであろうドイツのロマンチックで美しい森ではなく、30年戦争後の、焼け焦がれてしまったような木々や廃墟と化したようなもの、壊れた壁などです。いわゆるメルヘンチックな明るい森ではなく、迷信や悪魔・魔法といったものを、この舞台装置で表現したいと思っております。」
作品の背景にあるものをそのまま表現をしたいと語りました。なお、衣裳にについては、特別に歴史を強調したものではないということでした。

更に登場人物について、カスパールにも言及されました。
「カスパーをこのオペラの中心人物と捉えています。彼は元々悪人だったわけではなく、戦争によって人生を狂わされ、結果的に悪人になってしまったのです。」

左より:フリードリヒ・デパルムさん/小林沙羅さん/佐渡裕さん
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018
魔弾の射手
2018年7月20日(金)/21日(土)/22日(日)/24日(火)/25日(水)/27日(金)/28日(土)/29日(日)
各日14時開演
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

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