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地域と世界が同じ舞台に—AWAJI OPERA「カルメン」ハイライト

地域と世界が同じ舞台に—AWAJI OPERA「カルメン」ハイライト

9月14日、旧アソンブレホールにて、Pasona AWAJI OPERA COMPANY と Pasona Awaji World Ballet による「カルメン」のハイライト公演が開催された。全四幕のオペラを約90分にまとめた、エレクトーンでの演奏。演出に唐谷裕子。

主要キャストは藤井泰子(カルメン)、藤崎優二(ドン・ホセ)、吉田早穂(ミカエラ)、成田博之(エスカミーリョ)。
合唱は、淡路島在住の一般参加者を含む、淡路オペラ合唱団。
バレエはボリショイ劇場等で研鑽を積んだ針山愛美、倉智太朗、コンスタンティン・ツァプリカ。

会場となった淡路島の旧アソンブレホールは、瓦屋根が島の空に映え、他に類を見ない印象を醸し出す。2階の窓からは海が一望できるという素晴らしいロケーションだ。
ロビーに掲示された座席表によると、座席は350席。小ホールならではの、舞台と客席の一体感が体験できる距離感が嬉しい。客席の年齢層は幅広い。上演前のざわめきは穏やかだが熱量は高め——“地域の日常に、舞台芸術がそのまま置かれている”ような空気を感じる。

舞台には、テーブル、椅子などのシンプルな舞台装置と山台。背景に映し出される映像と照明(仙田美波)とが相まって、印象的な舞台を作り上げる。

題名役の藤井泰子は輝きのあるソプラノで、本来はメゾ・ソプラノの役どころを闊達自在に歌い演じ、全く違和感がない。藤崎優二のリリシズムを貫くようなドン・ホセ、「闘牛士の歌」で客席の喝采をさらった成田博之のエスカミーリョも良かった。また、嵐の中の灯のようなミカエラの吉田早穂も心に残る。

第2幕の五重唱は、フラスキータ(立塚夢子)、メルセデス(庄司優歌)、ダンカイロ(西村明浩)、レメンダード(冨田裕貴)にカルメンが加わる。作品屈指の聴きどころの一つを、軽妙なアンサンブルで最も“楽しい”場面として聴かせてくれた。

更に前奏曲・間奏曲で、バレエが挿入されているのも贅沢だ。3幕への間奏曲での針山愛美と倉智太朗のパ・ド・ドゥには、花道からのフルート(小島梨世)も加わり、間奏曲を可視化。4幕への間奏曲には、コンスタンティン・ツァプリカも加わりパ・ド・トロワに。

また、本公演でオーケストラの役割を一台で支えるエレクトーン(清水のりこ)の存在も忘れてはならない。第一人者ならではの到達点と言うべきか。

オペラ「カルメン」では合唱が極めて重要な役割を持つ。本公演で合唱を担う淡路オペラ合唱団には、淡路島の一般市民を中心に、各地域から参加者が集まった。5月からの練習期間を経て、本番では国際的に活躍するプロと同じ舞台に立つ。まさに「地域と世界が同じ舞台に」を体現する機会であり、AWAJI OPERA COMPANYが 掲げる「世界に開かれたカンパニーを目指す」という理念に通じるものを感じる。

90分という短い上演時間にもかかわらず、総じて満足度の高い公演であった。
今後の AWAJI OPERA COMPANY の活動に、大いに期待したい。

取材・写真:長澤 直子
構成:オペラエクスプレス編集部

Pasona AWAJI OPERA COMPANY
ビゼー作曲 オペラ「カルメン」ハイライト公演(Pasona Awaji World Ballet共同公演)
2025/9/14(日) 開場: 14:30 / 開始: 15:30 / 終了: 17:00
旧アソンブレホール

カルメン:藤井泰子
ドンホセ:藤崎優二
エスカミーリョ:成田博之
ミカエラ:吉田早穂
ダンカイロ:西村明浩
レメンダード:冨田裕貴
フラスキータ:立塚夢子
メルセデス:庄司優歌
バレエ: 針山愛美 / 倉智太朗 / コンスタンティン・ツァプリカ
合唱:淡路オペラ合唱団
エレクトーン:清水のりこ
フルート:小島梨世

Pasona AWAJI OPERA COMPANY
イタリア発の文化遺産であるオペラの魅力を多くの人へ届けることを掲げ、全国から集まった声楽家が淡路島を拠点に活動。発声・演技・語学の研鑽を重ねながら、初心者から愛好家まで楽しめる公演を展開。大阪・関西万博のイタリア館/オーストリア館での演奏など国際的な実績を重ね、世界に開かれたカンパニーを目指す。

Pasona Awaji World Ballet
「バレエ・芸術文化を通して世界中の“夢の架け橋”に」を掲げ、本格性と開かれたプラットフォームを両立。淡路島を拠点に公演/コンクール/アカデミー/交流会を開催し、国内外でも公演を行っている。

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