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【新作オペラ3作品一挙配信】間もなく設立10周年を迎えるCamerataProjectが永井秀和&角直之による新作日本語オペラ3作品の初演映像を無料公開

【新作オペラ3作品一挙配信】間もなく設立10周年を迎えるCamerataProjectが永井秀和&角直之による新作日本語オペラ3作品の初演映像を無料公開

来年度で設立10周年を迎えるCamerataProject(カメラータ・プロジェクト)が、周年を記念して過去に上演した永井秀和作曲&角直之台本/演出による新作日本語オペラ3作品をYouTubeにて6月11日より無期限で公開。和楽器のサウンドを用いつつ、歌舞伎を創始した出雲阿国の伝承をもとに「藝に生きる者」の強さを描いた小劇場オペラ《出雲阿国》(2017)、コロナ禍における閉塞感に端を発し古今東西の箱にまつわる物語を掛け合わせた、オーケストレーション豊かなオペラ《箱》(2021)、人形譚として歌手と奏者が互いに掛け合う実験的かつ幻想的なモノオペラ《いちとしけるもの》(2022)、それぞれ若手実力派の出演者及びスタッフの手によって上演され、3作品とも別ベクトルながら日本語オペラの可能性を感じさせる秀作として初演にて盛況を博した。
今回、この3作品の初演映像を無料かつ無期限で公開することで、日本語オペラの世界を何度も心ゆくまで堪能していただきたいという思いに加え、意欲的な新作の日本語オペラが各地でうまれる中、日本語オペラのさらなる発展に寄与したいと考える。

○「オペラをひらく。オペラでひらく。」CamerataProject(カメラータ・プロジェクト)

Camerata Project は、ブーレーズ「Derive2」の日本初演を行ったアンサンブル・ネージュや、ペルゴレージ《聖母マリアの祈り》全曲演奏会などの企画を行ってきた空間創造 Oto 主催による本格的なオペラプロジェクト。「オペラの可能性を広く追求していく」ことを目的として、「カメラータ」の名のもとにプロジェクトという体裁をとることで、都内を中心とした様々なアーティストや舞台関係者が参加している。これまで、2017 年フルオーケストラによる《ラ・ボエーム》全幕上演を皮切りに、オペラを題材にした室内楽作品の公演や永井秀和作曲・角直之台本による新作日本語オペラの上演、舞台美術ワークショップ&声楽アウトリーチ、WMF での舞台美術展示など多彩なプログラムを実施。日本でオペラをやる意義、そして日本らしいオペラの在り方について、さらにアクチュアルな形で取り組みたいという思いから新制作のオペラ及び若手の起用に力を入れている。2026年度で設立から10周年、「オペラをひらく。オペラでひらく。」をテーマに記念企画を実施していく。

○試行錯誤のうえで辿り着いたオペラ《出雲阿国》

さいたま芸術劇場にて旗揚げ公演《ラ・ボエーム》全幕上演を終え、さらに「オペラの可能性を追求する」ことを目指し、プロジェクトは2017年に日本語オペラの制作にとりかかる。別企画で島根を訪れた永井秀和と島根出身の角直之が、歌舞伎の創始者である「出雲阿国」の伝承にインスピレーションを得て、オペラ化することを決めた。⽇本語独⾃の響きに着目し、その美しさを⽣かした「⽇本ならでは」の表現を目指すと共に、尺八・ヴィオラ・ファゴット・ピアノという洋楽器と和楽器を組み合わせた特異な編成ながら聴き馴染みの良さを実現した。プロジェクトとして初めての新作オペラは、出雲芸術財団助成事業として島根で初演を迎え、その後も東京や千葉、福岡、福井など全国各地で上演を行い、好評を博した。

「どうかあなたの血が私の中にも流れますように」
京都へ出向いた出雲阿国と付人の加賀菊は、傾奇者として知られる名古屋山三郎と出会う。山三郎に恋慕の情を抱いた菊は、惹かれ合う阿国と山三郎を見て苦しむが……。
空間創造Oto主催 出雲芸術財団助成事業
CamerataProject小劇場オペラ《出雲阿国》初演
2017年11月3日 ビッグハート出雲 白のホール
作曲/指揮:永井秀和
台本/演出:角直之
出雲阿国:杉田彩織・名古屋山三郎:堀越俊成・加賀菊:日高千聡
尺八:瀧北榮山・ヴィオラ:長田健士・ファゴット:浦田拳一・ピアノ:有岡奈保
美術:星野善晴・制作:田村真歩・美術補佐:中野拓郎・宣材モデル:林瑠衣・宣材メイク:飯塚恭子・宣材撮影:長澤直子・後援:東京藝術大学同声会、出雲市教育委員会

○コロナ禍での逆境を糧に心震わすオペラ《箱》

新型コロナウイルス感染拡大に伴い自粛を余儀なくされた中、部屋の中という「箱」に閉じ込められたような閉塞感をもとにして、古今東西の「箱」にまつわる物語を掛け合わせたオペラ作品を創作。実力派キャスト陣による鬼気迫る歌唱と多彩なオーケストレーションにより独自の世界観をうみだした。

「箱を開けたのは、だれ?」
箱の中。過保護な兄と盲目の姉によって育てられた妹は、箱の外に出たことがない。彼女にとっては箱の中がすべてだが、読み聞かせる代わりに姉がこっそり与える本が唯一の娯楽。そんな生活の中、外の世界への憧れを増してゆく彼女は、あるとき外から呼びかける、知らない男の声を耳にする—。
空間創造Oto主催 文化庁「ARTS for the future!」支援事業
CamerataProjectオペラ⦅箱⦆初演
2021年12月9日 サンパール荒川 大ホール
作曲:永井秀和
台本/演出:角直之
指揮:湯川紘恵
藍:渡辺智美・優:福間章子・九:堀越俊成・啓:高田智士
1stVn:山田香子、池田聖香・2ndVn:菊池武文、若杉知怜・Va:小室明佳里、角田峻史・  Vc:田辺純一、原宗史・Cb:小幡明日香・Fl:池田佳月・Ob:裵紗蘭・Cl:安藤友香理・Fg:坪谷陸・Hr:阿部華苗・Pec:竹内美乃莉
美術:星野善晴・舞台監督:小田原築(アートクリエイション)・照明:青山航大・副指揮者:村上史昴・稽古ピアノ:有岡奈保、永井みなみ・制作代表:福島達朗・制作副代表:小幡明日香・制作:小口梨菜、小野寺彩音、田村真歩・広報物デザイン:嘉春佳

○歌手とコントラバス奏者1対1のモノオペラ《いちとしいけるもの》

伴奏としてではなく舞台上に存在する「身体」としての奏者を捉えなおし、物語の中で歌手と共にそこに生きるコントラバス奏者が登場する実験的なオペラ作品。美しく幻想的な世界観と共に、「人」と「人ではないもの」の哲学的な交錯が描かれる。息を呑むラストシーンは必見。

「きゅるう きゅるう 音を立てて 彷徨うのは わたし」
人と人ではないものの狭間と交錯。「あの人」の言葉を求めてどこまでも彷徨う歌手と、「あの人」の言いつけ通りいつまでも弾き続ける奏者。2人(あるいは2つ)が出会うとき、止まることのない時計の針が揺らぎ、異なるもの同士の境界線が淡く瓦解する。
空間創造Oto主催 文化庁「ARTS for the future!2」支援事業
CamerataProjectモノオペラ《いちとしいけるもの》初演
2022年12月10日 千葉県文化会館 小ホール
作曲:永井秀和
台本/演出:角直之
キャスト:嘉目真木子(マチネ・ソワレ)・コントラバス:小幡明日香(マチネ)/本山耀佑(ソワレ)
美術:星野善晴・舞台監督:三宅周(アートクリエイション)・照明:青山航大・ヘアメイク:徳田智美・宣材油画:マスコマユ・広報物デザイン:栗原侑莉・収録:大塚暁人(VioleRecord)・制作:福島達朗、田村真歩・後援:公益財団法人千葉県文化振興財団

○「日本語オペラをひらく。日本語オペラでひらく。

新作オペラ制作に意欲的に取り組むCamerataProject。数々のコンクール受賞歴を持つ作曲の永井秀和は多彩な作品を手掛ける一方で、バンド「ゆうらん船」のメンバーとしても注目を集める。その音楽は物語の世界観を深く追求するとともに、言葉に寄り添う美しい旋律が印象的。台本の角直之は都内を中心に数々のオペラプロダクションに演出として参加するとともに小学校校歌や日本語歌曲の作詞を手掛け、幻想的で美しい世界観や深く構成された韻文の巧みさに定評がある。今回配信される3作品の舞台美術を手掛けたのは、パフォーマンス作品との協働を得意とする星野善晴。「空間」を多層的に捉え、「地域」や「環境」に対する感覚的な考察を舞台に昇華する。3作品ともに注目の若手歌手やオペラ界を牽引するアーティスト、オペラに精通したスタッフが、日本語オペラの可能性への凄まじい熱量をもって取り組んだ世界初演の数々。さらなる注目が集まるCamerataProjectの意欲作を、何度でも繰り返しご堪能いただきたい。

CamerataProject YouTubeチャンネル
http://www.youtube.com/@camerataproject4334

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