2025年11月15日(土)16日(日)、日生劇場において、NISSAY OPERA《サンドリヨン》の公演があった。
《サンドリヨン》は、ペローの童話「シンデレラ」をもとにした、ジュール・マスネ作曲のオペラだ。魔法や変身(?)といったファンタジックな要素を持ちながらも、音楽はとても繊細で抒情的。サンドリヨンの憧れや戸惑い、胸の奥にある寂しさまでが、楽曲に華麗に散りばめられている。
以下、11月16日組のゲネプロ取材から、舞台写真とともに見ていく。
この日の配役は、題名役のサンドリヨンに金子紗弓、シャルマン王子に山下裕賀、妖精には横山和美。ド・ラ・アルティエール夫人には星由佳子、パンドルフに河野鉄平、ノエミを別府美沙子、ドロテは北薗彩佳というチーム。
指揮の柴田真郁、演出・振付の広崎うらんのもと、中山晃子によるアライブペインティングが、音楽に呼吸を合わせるように冒頭から舞台に溶け込む。


中央に置かれた大きな舞台装置は、劇場の空間とどこか響き合うようにデザインされている。この装置の一面は、一幕ではド・ラ・アルティエール夫人の邸宅の壁となる。青銅色にシルバーの大きな曲線の装飾が重なるアール・ヌーヴォー風だ。装置が回転すると裏から大階段が現れ、2幕の王宮や3幕2場の森のシーンに使われる。


衣装は近未来的な質感とアール・ヌーヴォーの装飾性が同時に存在する、不思議な世界観だ。アンバランスでアシンメトリーな造形が随所に用いられている。パンドルフの衣装の胸元を横切る黄色のベルトは、“拘束”や“制限”を思わせる。

ド・ラ・アルティエール夫人と妖精は、同じ紫の色調を使用しながらも、女性像の違いを対比して見せた。一方は力強く、他方は優しい夜の光を思わせる。ノエミとドロテ、姉妹の舞踏会でのドレスの色はシルバーで揃えられているが、表面のリボンや装飾の配置はアシンメトリー。



ダンサーたちは自然界を思わせる強い色彩で、舞台に生命の気配を吹き込むような存在だ。一人一人が異なる色使いで、植物や海の生物、昆虫といった自然のモチーフを表現しているのだろうか。一方、妖精を囲む精霊たちは、同じ紫の色調だ。

サンドリヨンと王子はどちらもまばゆい白。アクセントとして配されたピーコックグリーンが、二人を静かに結びつけるための“印”のように見える。

舞踏会に集う貴族たちの衣装は、シルバーが基調で、こちらも左右非対称のシルエット。片側だけ誇張された襟元や袖など、どの人物もアシンメトリーだ。

プロダクションのクライマックスは、3幕2場の森のシーンだ。シンデレラのおとぎ話にはない森の場面が、オペラでは山場となる。アールヌーヴォー風の曲線の樹木は炎のようにも見え、照明,映像,アライブペインテイングによって、あたかも魔法が目の前で起きているかのように感じさせる。

本公演は11月15日,16日の一般公演に加え、中学・高校生を対象とした「日生劇場オペラ教室2025」としても4公演上演され、多くの若い観客がこの舞台に触れた。アライブペインティングを加えた多層的な視覚表現は、大人にも子どもにも、それぞれに異なるオペラへの入口となったことだろう。
取材・文:オペラ・エクスプレス編集部/写真:長澤直子
NISSAY OPERA 2025
マスネ《サンドリヨン》新制作
(全4幕、原語[フランス語]上演・日本語字幕付)
2025/11/16(日)(ゲネプロにて取材)
指揮:柴田真郁
演出・振付:広崎うらん
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
出演:
サンドリヨン(リュセット):金子紗弓
シャルマン王子:山下裕賀
妖精:横山和美
ド・ラ・アルティエール夫人:星由佳子
パンドルフ:河野鉄平
ノエミ:別府美沙子
ドロテ:北薗彩佳
王:龍進一郎
大学長:照屋篤紀
儀典長:湯浅貴斗
総理大臣:的場正剛
精霊:
相原 里美
工藤 麻祐子
日下 萌音
斉戸 英美子
畠中 海央
馬場 菜穂子
ダンサー:
川竹麻耶
木原萌花
鈴木孝太
中込萌
長澤風海
松本ユキ子
スタッフ:
アライブペインティング:中山晃子
美術:松生紘子
衣裳:武田久美子
照明:中川隆一
ヘアメイク:橘房図
映像:森規幸






























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