オペラ・エクスプレス

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【記者会見レポート】東京二期会《トリスタンとイゾルデ》を初めて上演! 2016/2017 のシーズンラインアップ—『継続と新たな出会い』がテーマ

7月16日(木)、《魔笛》の初日公演が控える東京文化会館で、二期会の2016/2017年のシーズンラインアップを説明する記者会見が開かれました。

登壇者は、公益財団法人東京二期会 理事長 中山欽吾、ソプラノ歌手の木下美穂子(二期会会員)、バリトン 成田博之(二期会会員)、そして公益財団法人東京二期会 事務局長兼企画制作部長 山口毅の各氏です。

東京二期会 2016/2017 ラインアップ記者会見

東京二期会 2016/2017 ラインアップ記者会見
左より 山口毅/中山欽吾/木下美穂子/成田博之

まずは理事長の中山欽吾氏から挨拶がありました。「おかげさまで二期会は1952年の創立以来成長を続け、現在会員数は2600人を超える世界でも類を見ない声楽家団体に成長しました」。「現段階では、日生劇場、神奈川県民ホール、びわ湖ホール、大分いいちこ総合文化センター等と複数の共同制作ネットワークを作り、財政的にも、集客的にも、世界に誇れるオペラ共同体とも言える枠組みを作りつつあります。今後、オペラハウス設立計画がある他の自治体とも連携を深めて、共同制作に参画してもらう事でさらに観客動員を増やしていくと共に、二期会歌手を含む多くの日本人オペラ歌手の活躍の場を広げてまいる所存でございます」。

続いて事務局長兼制作部長の山口毅氏からの説明です。「2016/17年のシーズンラインアップは、『継続と新たな出会い』が基本的テーマと考えております。柱の一つはアーティスト、歌劇場との継続的なコラボレーションをより深めていく。本日の《魔笛》の演出家 宮本亜門さんも、ダ・ポンテ・シリーズ、《ラ・トラヴィアータ》と協力を重ね、今回の《魔笛》が5回目のコラボレーションになります」。「基本的にはアーティストや劇場とこれまで作って来た関係をより深める、提携を持続的に進めて行きたい」。

「また新たなアーティストとしては、《フィガロの結婚》を指揮するサッシャ・ゲッツェル、ヘスス・ロペス=コボス、シモーネ・ヤングなどの指揮者、そして《イル・トロヴァトーレ》を演出するロレンツォ・マリアーニがいます」。「二期会としては初めて出会うアーティストの皆さんと仕事をしていくことも柱になっています」。「また二期会はドイツ・オペラも伝統になっていますので、リヒャルト・シュトラウスのオペラを三年シリーズで取り上げます。この10月に日本舞台初演される《ダナエの愛》、来年の《ナクソス島のアリアドネ》、そして再来年の《ばらの騎士》です。これも柱の一つとなります」。

具体的な来シーズンの演目は以下の通りです。当日配布されたプリントのpdfはこちらからご覧頂けます。


ヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》新制作

2016年2月17日(水)、18日(木)、20日(土)、21日(日)
〜パルマ王立歌劇場、ヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場との提携公演〜
指揮:アンドレア・バッティストーニ
演出:ロレンツォ・マリアーニ
管弦楽:東京都交響楽団
会場:東京文化会館大ホール
レオノーラ:並河寿美、石原妙子
マンリーコ:エクトール・サンドバル、小原啓楼
ルーナ伯爵:上江隼人、成田博之
アズチェーナ:清水華澄、中島郁子
《ナブッコ》《リゴレット》に続き、バッティストーニとの三度目のヴェルディ。マリアーニ演出のプロダクションは2010年にパルマのヴェルディ音楽祭で初演され、その後フェニーチェ歌劇場でも進化したヴェネツィア版が上演された。今回はマリアーニ自身が来日して東京版をクリエイトする。初日のマンリーコを歌うサンドバルはバッティストーニ推薦の歌手とのこと。

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モーツァルト《フィガロの結婚》再演

2016年7月15日(金)、16日(土)、17日(日)、18日(月・祝)
指揮:サッシャ・ゲッツェル
演出:宮本亜門
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
会場:東京文化会館大ホール
〜二期会名作オペラ祭〜として、昨年上演された《蝶々夫人》と同じように最高額が10,000円と、名作を求めやすい価格で提供するシリーズ。宮本亜門の演出は2002年に初演されて今回の再演は4度目となる人気作品。指揮は初登場のゲッツェルで、ウィーン国立歌劇場の元ヴァイオリン奏者というキャリアを持つ。ゲッツェルは神奈川フィルの首席客演指揮者でもある。今年、ウィーン国立歌劇場で《フィガロの結婚》を指揮して大成功を収めたばかり。

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ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》新制作

2016年9月10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)
〜ライプツィヒ歌劇場との提携公演〜
指揮:ヘスス・ロペス=コボス
演出:ウィリー・デッカー
管弦楽:読売日本交響楽団
会場:東京文化会館大ホール
二期会がその長い歴史の中で初めて取り組む《トリスタンとイゾルデ》。コンヴィチュニー演出の《マクベス》でも提携したライプツィヒ歌劇場との提携公演。デッカーが初めて《トリスタン》を演出したのはライプツィヒ歌劇場だった。ロペス=コボスは1987年にベルリン・ドイツ・オペラ公演で日本で初めて《ニーベルングの指環》全曲連続上演を指揮した大ベテラン。《トリスタン》は彼の得意なオペラの一つで、マドリッドのレアル歌劇場等でも指揮している。二期会の主旨に賛同して、日本にじっくり滞在してこのオペラの制作に取り組む。

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リヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》新制作

2016年11月23日(水)、24日(木)、26日(土)、27日(日)
指揮:シモーネ・ヤング
演出:カロリーネ・グルーバー
管弦楽:東京交響楽団
会場:日生劇場(ニッセイ文化振興財団【日生劇場】との共催)
こちらもライプツィヒ歌劇場との提携公演。ヤングは日本でのオペラの指揮は初めてとなる。グルーバーはすでに二期会の《フィレンツェの悲劇》《ジャンニ・スキッキ》のダブルビルと《ドン・ジョヴァンニ》を演出している。指揮・演出、共に女性というのは二期会でも初めてだと思うが、実はヨーロッパでは知られた組み合わせ。2005年にホセ・クーラ主演の《妖精ヴィッリ》をウィーン国立劇場でやったのが初めてで意気投合。2012年にはハンブルク歌劇場でライマンの《リア》、今年同じくハンブルクで《死の都》をクラウス・フローリアン・フォークト主演で上演した。女性というくくりでは語れない一流の活躍をしている二人が日本でタッグを組む。

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プッチーニ《トスカ》新制作

2017年2月15日(水)、16日(木)、18日(土)、19日(日)
指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ
演出:調整中
管弦楽:東京都交響楽団
昨年《蝶々夫人》で来日したルスティオーニで《トスカ》を上演する。木下美穂子が主演。ルスティオーニは大野和士の後、2017年9月からリヨン歌劇場のシェフになることが発表されており、2017年はロンドンで指揮をしてから日本で《トスカ》、そして9月にはリヨンに就任することになる。演出はまだ調整中。

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リヒャルト・シュトラウス《ばらの騎士》新制作

2017年7月26日(水)、27日(木)、29日(土)、30日(日)
シュトラウスの三年間連続上演の最後の演目。二期会は2003年にケルン市立歌劇場との共同で50周年記念で《ばらの騎士》を上演しており、今回はそれ以来となる。指揮、演出は未定。ヨーロッパの歌劇場との提携となる予定。


最後に、二期会を代表する二人の歌手から一言ずつ挨拶がありました。

「木下美穂子です。私は2017年2月に《トスカ》のタイトル・ロールで出演させて頂きます。私のキャリアの中でトスカを歌う事が出来るチャンスに巡り会えるという事が本当に嬉しくて、このお話をいただいたときに、何をおいても歌いたいと思ってお引き受け致しました。とても楽しみにしております。指揮のダニエーレですが、去年の《蝶々夫人》に続いて再び共演出来るという事でとても楽しみにしております。イケメンのカッコいい若い指揮者、なかなかチャーミングで逸話は色々あるんですが、ここではちょっと控えさせて頂きます(笑)。とても音楽に熱心で、オーケストラとも上手く行っている指揮者だと思います。やはりイタリア人ですのでイタリア語を完璧に分かっていらっしゃる、言葉のニュアンスから来るオーケストラの音色を引き出す力とか、私たちに指導する力があり嬉しく思っていたので、《トスカ》での共演をとても楽しみにしております」。「また私事ですが、11月の下旬に初のCDアルバムをオクタヴィア・レコードから発売させて頂く予定で、その中にもトスカを収録しておりますので、もしチャンスがありましたらぜひそちらのほうもお聴き下さい」。

「バリトンの成田博之です。今回《イル・トロヴァトーレ》でルーナ伯爵役を歌わせてもらう事になりました。僕は昨年の2月《ドン・カルロ》のロドリーゴを歌わせて頂き、そして今年《リゴレット》のタイトル・ロールを、そして来年《イル・トロヴァトーレ》のルーナ伯爵、とバリトンにとって歌ってみたいステージに立つ事が出来て本当に幸せだと思っています」。「今回初めてルーナ伯爵ということで、指揮者アンドレア・バッティストーニとまた一緒に出来るのを幸せに思っています。彼が素晴らしいのは《ナブッコ》を指揮した時に噂で聞いていたのですが、今年27歳の彼が、何がそんなに素晴らしいんだろう?と、歌い手としてとても興味があったんです。それで《リゴレット》で共演した時に、あ、これか、と思ったものがありました」。「彼は演奏しながら常に歌い手を見ているんですね。さあ、この後、君はどんなテンポで行くんだい?というやりとりが、目配せの中で感じられるんです。それは聴いてる方には完成形の音楽としてしか感じる事は出来ないかも知れませんが、オーケストラが間にあって、歌い手がステージで演技をしながら歌って、そういう中でもアンドレアは常に歌い手の目を見ていて、それで、さあ、ここまで伸ばしたから次へ行くぞ!というタイミングも一緒になって演奏している。その結果、聴いている方にとっても心地よい音楽になっている。我々にしてもそれがとてもナチュラルなタイミングなので、彼に任せて演奏する事が出来るという安心感があるのです」。「今回の《イル・トロヴァトーレ》は本当に名作ですけれども、二期会では20年程前に上演されて以来だそうです」。「今回、このパルマ、そしてフェニーチェ歌劇場と提携の舞台、多分《リゴレット》のようにオーソドックスな演出かもしれません。そういう中で、作品の素晴らしさを伝える事が出来ればいいな、と思っております。どうぞお楽しみに」。


2016/2017年のシーズンも意欲的なラインアップの二期会。素晴らしい舞台をたくさん届けてくれますように!

文・井内美香 reported by Mika Inouchi / photogragh by Naoko Nagasawa

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