オペラ・エクスプレス

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待望の音楽監督に上岡敏之氏を迎え、ロゴと演奏会構成を一新—新日本フィルハーモニー交響楽団 2016/2017シーズン

2月12日(金)に新日本フィルハーモニー交響楽団の2016/2017シーズンプログラムが発表され、楽団のロゴと演奏会構成のリニューアルもあわせて発表となりました。すみだトリフォニーホールで行われた記者会見の模様をお伝えします。
新日シーズン発表
登壇者(敬称略)

横山利夫(新日本フィル 専務理事)
崔文洙(新日本フィル ソロ・コンサートマスター)
宮内義彦(新日本フィル理事長)
上岡敏之(新日本フィル 次期音楽監督)
山本亨(墨田区区長)
久保孝之(墨田区文化振興財団理事長)
加治原郁(墨田区文化振興財団事務局次長)


宮内義彦(新日本フィル理事長)まず、宮内義彦理事長が冒頭に「クリスティアン・アルミンク氏以来空席となっていた音楽監督の任に、日本楽壇を離れドイツで地道な活躍をしている上岡敏之さんを迎えることができた。新日本フィルはこれから大きな変化を遂げていくと思う。創立来44年になる楽団だが、新たに進んでいくシーズンになる」と期待の大きさを述べました。


山本亨(墨田区区長)
続いて山本亨墨田区長は、「上岡敏之次期音楽監督を、墨田区民を代表して歓迎したい。墨田区は文化の向上・地域の活性化を目的に、1988年(昭和63年)『墨田音楽都市構想』を掲げて音楽都市づくりを進めており、同年には新日本フィルとのフランチャイズ契約をわが国で初めて結んだ。地域との繫がりを大切にされている上岡さんを迎えられることは大きな喜び。トリフォニーホールには墨田区内外から年間25万人のお客様を迎えているが、上岡次期音楽監督のもと新日本フィルの音楽が更に多くの人々に響き渡ることを期待している」と述べました。


久保孝之(墨田区文化振興財団理事長)
フランチャイズ契約を結んでいるすみだトリフォニーホールの久保孝之理事長からも挨拶が述べられました。「来年で20周年の節目を迎えるすみだトリフォニーホールだが、そこを拠点にする新日本フィルが上岡敏之氏を迎えることを大変嬉しく思う。新日本フィルはホールの主催公演、区内へのアウトリーチなど様々な事業でご協力を頂いている。2017年3月11日には毎年行っている平和祈念コンサートがあるが、上岡音楽監督のもと新日本フィルがマーラーの交響曲第6番を演奏する。3月11日は当然東日本大震災が起こった日だが、前日の10日は東京大空襲があった重要な日であり、音楽監督指揮で演奏会が出来るのを嬉しく思う」


ソロ・コンサートマスターの崔文洙氏は「やっとこの日が来たというのが正直な思い」と心境を吐露。「3年間にわたって音楽監督が不在という、オーケストラにとって不健康な状態が続いた。昨年4月より上岡さんにはアーティスティック・アドバイザーに就いて頂いており、3月の定期演奏会から既にスタートだと認識している。相当に険しい道のりになると思うが、一つ一つの演奏会で良いものを作るために邁進していきたい」と意気込みを語りました。
崔文洙(新日本フィル ソロ・コンサートマスター)


009 © Naoko Nagasawa (OPERAexpress)DSC_6956上岡敏之次期音楽監督は「いつもはドイツ語でやっている記者会見を、日本でこういった形で出来るとは思っていなかった。こんなに幸せなスタートを切れるのは嬉しく、期待に応えたい。1984年からドイツにいるが、ドイツの良さとしてオーケストラと地域の人々との結びつきを強く感じる。こういった関係が日本でどれくらいできるだろうか、と思っていた時たまたま新日本フィルからお話をいただいた。東京に沢山オーケストラがあるが、新日本フィルは地域密着型という特徴がある。世界中にうまいオーケストラは沢山あり、それほど技術的な差もなくなってきた。自分は楽員一人ひとりの個性を引き出し、メンバーが音楽を職業に選んだ初心を忘れず音にして、感動を届けられるようにしたい」と抱負を述べました。2016/2017シーズンプログラムの内容については「色々と考えた末、ドイツのように過激なことはせず、集客率などを考えて既知の名曲と挑戦的なものを併せて組んだ。新作初演はないが、今後様子をみながら入れていきたい。これまでの3シリーズを整理し、名曲シリーズの垣根をなくした。どのプログラムをとっても軽いものはなく、オーケストラにとっては負担になるものばかり。客演指揮者には楽団の発展を考えてトレーナー的な方もいる。曲目としては、なるべく近年演奏していないものを選び、集客率やオーケストラの方向性などを考慮して選んでいる。ベートーヴェン「運命」のようなものもあるが、全体的にはやや難しすぎたかも、とも思っている」と述べられました。
上岡敏之(新日本フィル 次期音楽監督)


会見終了後は質疑応答となりました。
Q. 9月の就任披露となる定期演奏会のプログラムについて
A. サントリー定期では新日本フィルとの初顔合わせでも取り上げたリヒャルト・シュトラウスの2作品。トリフォニー定期ではモーツァルトとシェーンベルク編曲によるブラームスを対照として並べた。任期の初めという意気込みはなく、3月の定期(シューベルトとマーラーの1番)と7月のサマーコンサート(フランス作品)を経てのプログラム(上岡氏)

Q. 東京のオケを複数振った上で、最終的に新日本フィルのオファーを受けた理由は?
A. いつか仕事が出来るうちに母国のオーケストラでも仕事がしたいと思っていたが、タイミングよくオファーを頂いたこと。また団員との人間関係、地域に根ざしたオーケストラとしての新日本フィルに魅力を感じた。3年ほど前から交渉を続けて、最終的に今年の9月からということに落ち着いた。(上岡氏)
3年間音楽監督がいないという状況は、オーケストラの演奏における責任の所在がないということで、組織として不健康な状態。上岡さんを迎えて、新たな出発点としたい。(崔氏)

Q. ルビー・シリーズ(現「新・クラシックの扉」)の開演時間の一新について
A. 試行錯誤の末、上岡次期監督の「3シリーズの垣根を取り払う」という意向を取り入れ、一律14時開演とした。お客様には混乱を与えて申し訳ない。(専務理事・横山氏)

Q. 新設するNJPオーケストラ・アカデミーについて
A. 学校を作るのではなく、音楽を学ぶ若い方とプロの団員の架け橋としたい。規模や内容は未定で、アカデミー生次第で毎年変わる。スポンサーなどを探すことになるかもしれない。(上岡氏)

Q. 現在アーティスティック・アドバイザーとして、またソロ・コンサートマスターとして楽団の現状をどう把握しているか。
A. オーケストラの経済規模などを見てみると、オーケストラの団員として生きていくのは日本では厳しいこと。また、音楽社会全体が自分がヨーロッパで学ぶために日本を出たときと比べてあまり変わっておらず閉鎖的だと感じる。韓国や中国の学生を見ていると、よりのびのびと学んでいるように思える。どちらが良いという話ではないが、そういったチャンスがあるオーケストラがあっても良いのではないか。また、運営面でより確かな基盤がほしい。(上岡氏)
日本でクラシック音楽をやるという意味をもう一度考え直す必要がある。東洋人が西洋音楽をやるにあたって、その普遍性を自分たちで理解して、それを西洋の人々にも理解してもらわなければならない。練習において(パート毎の)分奏などを行って細かい点を磨き、東京のオーケストラの中で差別化を図りたい。こじんまりまとまるのではなく、ダイナミックに変革していきたい。(崔氏)


このほか、昨年募集したインテンダントは既に選考終了済みで4月から着任されること、音楽業界外の方であることも明らかになりました。また上岡氏と新日本フィルの今後の演奏は、オクタヴィア・レコードにより録音され、CD化などの計画もあるそうです。

上岡敏之次期音楽監督×新日本フィルハーモニー交響楽団のこれからに期待したいと思います。
新日シーズン発表
シーズンパンフレット前半 シーズンパンフレット後半

文・平岡拓也 Reported by Takuya Hiraoka / photo: Naoko Nagasawa

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