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【公演レポート】藤原歌劇団創立80周年記念公演《ラ・ボエーム》

【公演レポート】
藤原歌劇団創立80周年記念公演、プッチーニ《ラ・ボエーム》を観ました!

1934年(昭和9年)6月に往年の名テノール歌手、藤原義江が中心となり東京の日比谷公会堂でプッチーニ《ラ・ボエーム》を上演しました。これが藤原歌劇団の旗揚げ公演です。そして80年後の今年、藤原歌劇団は記念シリーズの一環として《ラ・ボエーム》を上演しました。特別ゲストには世界で活躍するイタリア人歌手二人、ソプラノのバルバラ・フリットリ、テノールのジュゼッペ・フィリアノーティを迎え、豪華なキャストによる公演が実現しました。

会場は今年がオープニングから25周年となる渋谷のBunkamuraオーチャードホールです。三回公演のうち、初日と三日目がフリットリ、フィリアノーティを加えた組、真ん中の日がオール日本人キャスト組でした。

今回の注目はもう一つ、びわ湖ホールの芸術監督、そしてドイツ・リューベック歌劇場の音楽総監督を務める沼尻竜典が藤原歌劇団で初めて指揮をした事です。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。沼尻氏は、今年一月に自身が作曲したオペラ《竹取物語》を初演するなどオペラに意欲的です。また今年10月にはびわ湖ホールで《リゴレット》を指揮し、来年春には《オテロ》を演奏する予定と、最近はイタリア・オペラを振る事も多くなっています。

演出は岩田達宗。2007年に初演された舞台です。幕があがると佐伯祐三の絵を基にしたという、油絵で描いたような屋根裏部屋が現れます。衣裳も物語の時代を示す伝統的なスタイルです。オーケストラもこの絵画的な舞台に呼応したかのような重厚な音色で、プッチーニの音楽をシンフォニックに描き出していました。


 

フリットリのミミは音楽的に大変優れた品格のある歌唱でした。ピアニッシモが素晴らしかったのが耳に残っています。フィリアノーティのロドルフォは第一声から彼の特徴であるイタリア人らしい美声を堪能しました。マルチェッロの堀内康雄はさすがの風格、ショナールの森口賢二、コッリーネの久保田真澄も良かったです。そしてムゼッタの小川里美は舞台姿が華やかであるだけでなく声にも魅力があり適役でした。

opera gallery(11月1・3日組)

一方、オール日本人キャストで際立っていたのはロドルフォ役の村上敏明です。発声が完璧で高音が輝かしいことに加えスタイルのある歌唱で、まさに日本のトップ・テナーとして大変聴き応えのある歌でした。ミミ役の砂川涼子も定評通りの出来映え。そしてマルチェッロの須藤慎吾、ショナールの柴山昌宣、コッリーネの伊藤貴之の芸術家(ボヘミアン)達のアンサンブルがとても良く、演技も楽しめました。こちらのムゼッタ役 伊藤晴も良かったです。ベノア、アルチンドロ、パピニョール等の出演者達も好演でした。


opera gallery(11月2日組)

藤原歌劇団のイタリア・オペラを聴く時の魅力の一つは合唱ではないでしょうか。丸みのある音色で演技もこなれているので、第二幕カルチェ・ラタンの場面が引き立ちます。そして「ラ・ボエーム」といえばやはり子供達のコーラスが注目ポイントですが、多摩ファミリーシンガーズの皆さんはとても上手で大活躍でした。舞台下手側のオーケストラピットの上を登場人物が通れるようになっているのも効果的だったと思います。

藤原歌劇団の次の公演はヴェルディ《ファルスタッフ》。アルベルト・ゼッダ指揮、粟國淳演出のニュープロダクションです。1月24(土)25(日)各日15:00開演、東京文化会館大ホールです。ヴェルディが人生の最後に書いた喜劇が名匠ゼッダの指揮で聴けるとあって今から楽しみです!

reported by Mika Inouchi / photo: Naoko Nagasawa

【公演データ】
藤原歌劇団創立80周年記念公演
ジャコモ・プッチーニ作曲 オペラ全4幕 原語上演
《ラ・ボエーム》

2014年11月1日(土)/2日(日)/3日(月・祝)15:00
Bunkamura オーチャードホール

指揮:沼尻竜典 演出:岩田達宗
ミミ:バルバラ・フリットリ/砂川涼子(11/2)
ロドルフォ:ジュゼッペ・フィリアノーティ/村上敏明(11/2)
ムゼッタ:小川里美/伊藤晴(11/2)
マルチェッロ:堀内康雄/須藤慎吾(11/2)
ショナール:森口賢二/柴山昌宣(11/2)
コッリーネ:久保田真澄/伊藤貴之(11/2)
ベノア:折江忠道
アルチンドロ:柿沼伸美
パルピニョール:岡坂弘毅

合唱:藤原歌劇団合唱部
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

合唱指揮:須藤桂司
美術:増田寿子
衣裳:前田文子
照明:沢田祐二

主催/公益財団法人日本オペラ振興会 Bunkamura

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