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あの“それいけ!クラシック”がオペラに挑戦!『ラ・ボエーム』稽古場レポート

あの“それいけ!クラシック”がオペラに挑戦!『ラ・ボエーム』稽古場レポート

「それいけ!クラシックが贈る青春アルティメット プロダクション《ラ・ボエーム》」公演のリハーサルを見学してきました!

YouTube配信で広く知られ、最近は三人揃ってコンサートやオペラに出演することも多いトリオ「それいけ!クラシック」。その彼らがつくるオペラ公演です。

3月8日(日)浜離宮朝日ホール、16時開演。

プッチーニ『ラ・ボエーム』の、合唱部分を除いた全曲がピアノ演奏で上演されます。コンサートホールでのオペラ公演ということで、プロジェクションマッピングで映像を投影し、オリジナルの衣裳と装置を使用するそう。

公演も近づき、連日リハーサルが重ねられているところにお邪魔してきました。演出は、それいけ!クラシックが全幅の信頼を寄せているという塙翔平さん。演出コンセプトを伺ったところ、今回は少し冒険があるようです。

「やっぱり『ボエーム』はすごく完璧な作品で、プッチーニ自身が譜面やト書きをたくさん書いているので、そのままやるのが一番素敵だと思うんです」「ただ、今回は劇場ではなくホールでの上演ですし、合唱がいなかったり、大規模なセットが組めなかったりする制約があるため、その部分を別の要素で補いたいと思っています。それいけ!クラシックの三人の雰囲気と、『ラ・ボエーム』第一幕の芸術家たちのわちゃわちゃした感じがちょっと似ているなと思ったので、今回はオペラ本編の冒頭部分と中に日本語のお芝居をプラスして、楽しい感じ、男たちのいちゃいちゃする感じがお客さんに伝わったらいいなと思い、その台本を僕が書かせて頂きました」

見学した日は、第三幕から第四幕の、ミミとロドルフォが中心の演出稽古でした。鈴木玲奈さんは近年、リリックな役柄も歌えるようになってきたのでミミに初挑戦、とのことですが、表現はまさに正統派、かつ情緒に溢れた素晴らしさ。ピュアなお声はミミの若さが引きたつ感じで、舞台で聴くのが本当に楽しみです。

そしてロドルフォの吉田連さん!心優しい思いやりのあるロドルフォで大変魅力的。通常のオペラ公演ですと、歌手はどうしても声を張り上げてオーケストラと張り合うようになってしまいますが、小さめなホールでピアノ伴奏とあって、歌のニュアンスが伝わりやすい。第三幕でマルチェッロがロドルフォを責めて、彼の本音を引き出すところなど、本当に自然です。そしてこれはその翌日の、浜離宮朝日ホールでの場当たりリハーサルにしつこくお邪魔した時に聴きましたが、第一幕のミミとロドルフォの出会いも、心が震える場面になっていました。

ちなみに、それいけ!クラシックは三人とも、先頃の東京二期会の『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』公演で、実に素晴らしい歌と演技を披露してくれましたが、中でも両方の演目に主演した大川博さんはまさに大活躍でした。今回は又吉秀樹さんがマルチェッロ、大川さんがショナールを演じます。

又吉さんのマルチェッロはリハーサルで見る限り、血気盛んな「全身アーティスト!」、という感じでしょうか。七澤結さんのムゼッタが小悪魔的といいますか、何とも魅力的で声も情熱的なので相性バッチリ。でもそれだけに、喧嘩をするときも激しい二人、という感じがよく出ていました。

大川さんは音楽家ショナール。この役はちょっとプッチーニ自身も反映しているかのような、飄々としていて、オシャレで、友人たちの事件の傍観者になってしまう、という役柄。大川さんの温かいお人柄がこの役に良い印象を付け加えているようでした。ちなみに、それいけ!クラシックがリクエストを募り、今回オペラのどこかで、大川さんが一曲歌うスペシャル・コーナーがあるそうです(曲目は不明です)。

松中哲平さんのコッリーネ。松中さんはこの役をすでに何度も演じられており、落ち着いた立ち居振る舞い。演出の塙さんと松中さんの話し合いを聞いていたら、コッリーネの演技やアリアなどに、哲学者として彼が信じてきたものが、この悲劇に直面してどう変化するのか、などが表現されることになるようで興味深かったです。

同じくバスの三戸大久さんは、すでに数多くのオペラで活躍しているベテランですが、今回はベノア/アルチンドロ役に“ごちそう出演”されます。昨年末の又吉秀樹さんプロデュースの福生市『こもうり』にも刑務所長フランク役で出演されていたので、それいけ!との共演が多いのかもしれません。フランクも傑作でしたが、今回のベノア/アルチンドロも秀逸。特に小柄な七澤ムゼッタに翻弄されるアルチンドロからは目を離せませんでした!

音楽面の話をしますと、今回の公演には指揮者がいません。でもそこは、オペラの化身のような河原忠之さんのピアノが全てをリードしていきます。自然なテンポで歌手たちにぴったりと寄り添い、導き、一瞬たりとも弛緩することはありませんが、何よりもそのピアノの音色に『ラ・ボエーム』の詩情がただよっていて、最後の一音まで聴き惚れてしまう素晴らしさなのです。稽古中、ムゼッタのワルツの後奏を聴いていたら、あまりにも『ラ・ボエーム』な音に、目には自然に涙が…。その一方では、オーケストラ顔負けの迫力あるサウンドはオペラ・ファンの方ならよくご存知の通りです。

大規模な装置がないといっても、ホールに合わせたプロジェクションマッピング、アーティストに合わせてデザイン・製作されるシルク・ニットの衣裳、国産ヒノキの家具ブランドWOKAを使った装置など、注目ポイントがたくさんのプロダクション。芸術家たちの情熱が集結した公演を、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか?

取材・文:井内美香 / 写真:長澤直子


公演情報
それいけクラシック!が贈る
青春アルティメットプロダクション
オペラ「ラ・ボエーム」

出演:
それいけ!クラシック:大川博、又吉秀樹(バリトン)、吉田連(テノール)
鈴木玲奈、七澤結(ソプラノ)
松中哲平、三戸大久(バス)
河原忠之(ピアノ)
塙翔平(演出)

チケット

ローソンチケット(Lコード:34810)
https://l-tike.com/la-boheme-soreike/
チケットぴあ(Pコード:314-590)https://w.pia.jp/t/la-boheme-soreike/

公演に関するお問い合わせ

ローソンチケット
https://form.run/@ent-lawson-la-boheme

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