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新国立劇場—2016/17シーズンラインアップ説明会—

新国立劇場の2016/17シーズンラインアップ説明会に行ってきました!
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東京初台の新国立劇場で1月15日(金)に2016/17年シーズンについての記者発表がありました。オペラ、バレエ、演劇の三つの分野の合同記者発表会で、オペラについてはオペラ芸術監督の飯守泰次郎氏が説明をしました。

会場は劇場内の地下にある大きなリハーサル室。合同での発表なので、広いリハーサル室に報道関係者がぎっしりでした。同じ劇場で上演されるオペラ、バレエ(&ダンス)、そして演劇の発表が一緒におこなわれるのは劇場芸術の別ジャンルの様子が分かってなかなか興味深かったです。芸術監督三人のうちお二人までが女性なのも素晴らしい事だと思いました。


まず最初にオペラについての発表です。芸術監督として現在は第二期目を務め、次なるシーズンは就任3年目となる指揮者の飯守泰次郎氏です。

DSC_0504 © Naoko Nagasawa (OPERAexpress)

飯守泰次郎氏

「私にとって昨シーズンは、オペラ芸術監督として最初のシーズンでございました。皆様の力強いバックアップのおかげで無事終える事が出来ました。そして現在、第二シーズンが進行中です。今日こうして私の第三シーズンのラインアップを皆さんにお届けする事となります。時の経つのは本当に早いものです。」

「振り返ってみますと、私の第一シーズンはオーソドックスなレパートリーで固めました。そして今 進行中の第二シーズンはバラエティに富むといいますか、ヤナーチェク《イェヌーファ》やマスネの《ウェルテル》ですとか、普段あまり演奏されない、しかし演奏して欲しい、という強い声のあったものをラインアップに取り上げております。そしてこれから申し上げる第三シーズンのラインアップは、ワーグナーの重厚な、長い楽劇を二曲用意致します。それは《ワルキューレ》と《ジークフリート》です。ドイツの哲学的な、重い物を二曲と申しましょうか。それに対比させるのには、ベル・カントのイタリア・オペラを用意致しまして、このコントラストを強調する、というスタイルのレパートリーとなっていると思います。」

そして飯守氏から新制作三演目、《ワルキューレ》《ジークフリート》、そしてドニゼッティの《ルチア》についての説明がありました。

以下のご紹介は飯森氏のご説明に、配布資料等からの情報を加えた内容です。

開幕公演は2016年10月のワーグナー《ワルキューレ》。今シーズンの《ラインの黄金》に続いて楽劇『ニーベングの指環』の第2作目にあたるオペラです。ワーグナー演出の一時代を築いたゲッツ・フリードリヒ(1930 – 2000)が晩年にフィンランド国立歌劇場で上演したプロダクションを日本で初演します。歌手は《ラインの黄金》でローゲを歌ったステファン・グールドがジークムント、ブリュンヒルデは新国立劇場で《トゥーランドット》と、《ジークフリート》《神々の黄昏》のブリュンヒルデを歌い絶賛されたイレーネ・テオリン。ヴォータンは今年3月に《サロメ》のヨハナーンで新国立劇場初登場となるアメリカ出身のバス・バリトン、グリア・グリムスレイ。フリッカは新国立劇場ではおなじみのエレナ・ツィトコーワ。そしてジークリンデはビルギッテ・ニルソンの再来と言われている若手ドイツ人ソプラノのジョゼフィーネ・ウェーバー(新国立劇場初登場)が歌います。フンディングはアルベルト・ペーゼンドルファー。管弦楽団は東京フィルハーモニー交響楽団です。

ちなみに、2017年6月の上演となるワーグナー《ジークフリート》は東京交響楽団がピットに入る事になるそうです。これは《リング》の公演ごとに個性を出したい、という飯守氏の意向だそうで、これまで新国立劇場では《さまよえるオランダ人》と《タンホイザー》を演奏している東京交響楽団に後期ワーグナーの作品も演奏してもらいたい、ということだそうです。そして次の2017/18シーズンに上演予定の《神々の黄昏》では、オーケストラは読売日本交響楽団になる予定とのこと。読売日響は、新国立劇場初登場になります。

《ジークフリート》は、タイトルロールがステファン・グールド。グールドは《リング》4作品全てに出演する予定だそうです。ブリュンヒルデは新国立で《タンホイザー》エリーザベト、《ローエングリン》エルザ、そして《さまよえるオランダ人》のゼンタを歌ったリカルダ・メルベートです。さすらい人は《ワルキューレ》と同じグリムスレイ。その他の役は今シーズンの《ラインの黄金》に出演した歌手達です。

もう一つの新演出はドニゼッティ《ルチア》です。こちらはモンテカルロ歌劇場との共同制作ですが2017年3月に新国立劇場で初演し、その後モンテカルロで上演されることになるそうです。指揮は新国立劇場初登場となるジャンパオロ・ビザンティ、演出はモンテカルロ歌劇場の総監督でもあるジャン=ルイ・グリンダ。タイトルロールのルチアを歌うのはオルガ・ペレチャッコ。ペレチャッコはペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでブレイクした後、ドニゼッティ《愛の妙薬》、ベッリーニ《清教徒》、ヴェルディ《リゴレット》《椿姫》などで現在世界中の歌劇場を席巻している若きコロラトゥーラ・ソプラノで、今回が新国立劇場初登場となります。エドガルドのイスマエル・ジョルディ、エンリーコのアルトゥール・ルチンスキーも新国立劇場初登場というプロダクションです。

飯守氏は以下のような言葉で説明を締めくくりました。

「今シーズンは、これまでと同じように国際的に活躍中の新鮮なスターや、もっとも信頼のおけるベテランを盛り込んだキャスティングが実現致しました。そして新国立劇場は、世界の主要歌劇場としての水準を保つ、ということを謳っておりますが、それにふさわしい高いクオリティーをお楽しみ頂けると思います。そして特にその中で、優秀な日本人歌手を今まで以上に重要なキャストに登用することが叶ったのは大変嬉しく思っています。」


この後では、バレエのシーズン説明が舞踊芸術監督の大原永子氏より、また演劇のシーズン説明が演劇芸術監督の宮田慶子氏よりありました。バレエとダンスに関しては、英国の舞台で長年活躍した大原氏らしく、ケネス・マクミランの《ロメオとジュリエット》を2016年10月末の開幕演目に選び、これにはドラマティック・バレエを通して日本人のバレエ・ダンサーの表現力と芸術性をさらに高めたい、という願いが込められているそうです。また、コンテンポラリー・ダンスでは中村恩恵が新国立劇場バレエ団のために振り付ける委嘱新作バレエ《ベートーヴェン・ソナタ》(2017年3月首藤康之出演)という作品が面白そうです。

演劇はアメリカ現代戯曲アニー・ベイカーの《フリック》で開幕し、シェイクスピアと、三島由紀夫の《白蟻の巣》を始めとする昭和30年代に初演された日本戯曲3作などが上演されます。


その後は、各ジャンルに分かれての芸術監督との懇親会がありました。すでに故人となった巨匠ゲッツ・フリードリヒの名舞台《ワルキューレ》と《ジークフリート》をいかに生きた上演にするか、そして日本人アーティストの様々な分野における起用についてなど、新国立劇場の前向きな姿勢を感じさせるトークがありました。

オペラに関して言えば、来シーズンのラインアップの特徴は、ずばりオペラのもっともポピュラーな人気演目が並んでいる事ではないでしょうか?傑作をたくさん観てみたい、聴いてみたい!という方には最適なラインアップだと思います。

以下に再演演目の見どころ聴きどころを簡単にご紹介します。オーケストラは特筆しない場合は東京フィルハーモニー交響楽団。合唱は新国立劇場合唱団です。

《ラ・ボエーム》は粟國淳演出で指揮のパオロ・アリヴァベーニが新国立初登場に加え、ムゼッタに石橋栄実、ショナールに森口賢二、コッリーネに松位浩という、半分が日本人キャストなのが楽しみです。

《セビリアの理髪師》は新国立劇場初登場のロッシーニ・テナー、マキシム・ミロノフに注目。指揮はイタリア人のフランチェスコ・アンジェリコ。

《カルメン》は鵜山仁の演出に、《椿姫》や今シーズンの《ファルスタッフ》でも評判だったイヴ・アベルの指揮。マクシモワのカルメン、マッシモ・ジョルダーノのドン・ホセ、ガボール・ブレッツ(新国立劇場初登場)のエスカミーリョに、ミカエラを砂川涼子が歌うのも嬉しい配役。

《蝶々夫人》は安藤赴美子が堂々のタイトルロール。新国立劇場初登場となるアルゼンチンのテノール、マルセロ・プエンテがピンカートンを歌うのも注目です。オーケストラは東京交響楽団。

《オテロ》はマリオ・マルトーネ演出の水を使った美しい舞台にパオロ・カリニャーニの指揮。今シーズンに《アンドレア・シェニエ》で主演するカルロ・ヴェントレがオテロ役を歌います。

《フィガロの結婚》の大注目はスザンナ役の中村恵理です。英国ロイヤル・オペラで歌った後、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場で活躍中の日本人ソプラノです。マルクス・ヴェルバのフィガロも説得力のある役作りとなりそうです。

以上が新国立劇場2016/17オペラ・シーズンの内容ご紹介でした。これ以外にも高校生のためのオペラ鑑賞教室として《夕鶴》、《フィガロの結婚》(関西公演)が予定されています。最近はオペラ公演の関連イヴェントも充実しているので、そちらも楽しみです。

文・井内美香 reported by Mika Inouchi / photograph : Naoko Nagasawa
DSC_0557 © Naoko Nagasawa (OPERAexpress)

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