オペラ・エクスプレス

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【オペラ暦】—4月11日—南米の巨匠ヒナステラ誕生

【オペラ暦】—4月11日—南米の巨匠ヒナステラ誕生

【4月11日】南米の巨匠ヒナステラ誕生

⚫️1916年、ヴィラ=ロボスに次ぐアルゼンチンの代表的作曲家ヒナステラ(アルベルト・-1983)が、ヴェノスアイレスで生まれています。残念ながら、彼のオペラ『ドン・ロドリーゴ』『ボーマルソ』などは、日本ではほとんど馴染みがありません。
⚫️1938年、ドイツのバス歌手モル(クルト・)が、ケルン近郊のブイアで生まれています。マルケ王やオックス男爵などを持ち役として、カラヤンなどからも信頼を寄せられていました。今日で77歳です。

[コラム]

ヨーロッパのオペラのオフには、南半球へ。
ヨーロッパのオペラ・シーズンといえば、秋から翌年の夏前の6月ごろまでというのが一般的だ。当然、ヨーロッパの夏はオペラ関係者にとっては、オフの季節となる。そのため、地球に反対側である南米に出稼ぎに行くというのが歌手や指揮者たちの、かつての夏の過ごし方だった。劇場だって、ブエノス・アイレスのコロン劇場をはじめ、リオ・デ・ジャネイロの市立劇場、チリのサンチャゴ市立劇場など、ヨーロッパに負けない規模の立派なオペラハウスがある。コロン劇場の歴史は古く、シャリアピンやカルーソーなどの名歌手も出演し、トスカニーニも2年間音楽監督を務めたことがある。このトスカニーニもまた、若き日にオペラ団の一員としてブラジルに演奏旅行に来て、本来振るはずだった指揮者が無能で、その代役として急遽『アイーダ』を暗譜で振って、劇的な指揮者デビューを果たしたエピソードはあまりにも有名だ。
昨今では、本来ならオフ・シーズンだったヨーロッパの夏も、アレーナ・ディ・ヴェローナをはじめ、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭など、さまざまな夏の観光客を狙ったようなオペラ公演が目白押しだから、そうした南米への出稼ぎ出演はしなくなったものの、それだけスケジュールがハードになり、歌手はもちろん指揮者も、かつてのような伝説的な名演や衝撃的なデビューなどは生まれにくくなってしまった。日本ではあまりヒットしなかったが、82年のカンヌ映画祭でグランプリを取ったベルナー・ヘルツォーク監督の『フィッツカラルド』という映画は、ペルーに密林マナウスに壮大なオペラハウス建設を夢みる男の話だった。南米出身の歌手としては、ファン・ディエゴ・フローレスをはじめ、マルセロ・アルバレスなど世界中で活躍しているが、残念ながらオペラ作曲家となると名が通った人はヒナステラぐらいで、他は寡聞にして知らない。


新井 巌(あらい・いわお)
iwao
1943年、東京に生まれる。レコード会社を経て広告界に転じ、コピーライターとして活躍。東京コピーライターズクラブ会員。中学生の頃からクラシック音楽にひたり、NHKイタリア歌劇団の『アンドレア・シェニエ』日本初演を観劇したことが自慢の種。フェニーチェ劇場焼失の際には、再建募金友の会を主宰し、現在は「フェニーチェ劇場友の会」代表。日比谷図書文化館で「オペラ塾」を定期的に開催している。オペラ公演プログラムの編集にも携わっている。

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