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【オペラ暦】—7月22日—トスカニーニお気に入りのソプラノ、アルバネーゼ

【7月22日】トスカニーニお気に入りのソプラノ、アルバネーゼ

⚫️1847年、ヴェルディ(ジュゼッペ・1813−1901)『群盗』が、ロンドンの女王陛下劇場で初演されています。シラーの原作による18世紀のドイツを舞台にした悲劇。『マクベス』の後に書かれた彼にとっては11作目のオペラで、イタリア以外の国から委嘱された最初の作品でもありました。
⚫️1913年、アルバネーゼ(リチア・-2014)が、バーリで生まれています。生年と没年を見て、え?間違いじゃないの、と思われた方は、隠れコラムをどうぞ。

[コラム]

トスカニーニの秘蔵っ子ソプラノは、METの蝶々さん
ソプラノのリチア・アルバセーゼを知る人は、かなり年配のオペラ・ファンに違いない。イタリア生まれだが、主としてアメリカで活躍した。カラス、テバルディの二大ソプラノが覇を競っていた時代より、多少デビューは早かった。1934年、ミラノで急な代役で『蝶々夫人』を歌いデビューを果たした。このデビューの結果、彼女は生涯にわたって300回以上も蝶々夫人を歌ったという。まさに、アメリカの三浦環だったのだ。HMVの資料によれば、1940年に『蝶々夫人』でメトロポリタン歌劇場にデビュー。以後、26シーズンで「蝶々夫人」72回を含む16作品、427回の上演に参加したという。
筆者などは、『蝶々夫人』ではなく、彼女のヴィオレッタ(トスカニーニ(アルトゥーロ・1867-1957)指揮『椿姫』)から、オペラの魅力に取り憑かれた口である。彼女の『蝶々夫人』はレコードでも発売されていなかったし、どちらかと言えばトスカニーニ好みのソプラノと言うイメージが強かった。
1946年には、『ラ・ボエーム』を初演したトスカニーニによる初演50周年記念録音に招かれて参加(これは、CDにもなっている)して絶賛された。さらに同じ年の12月に行われたトスカニーニ指揮『椿姫』では、ラジオ生放送にもかかわらず見事なヴィオレッタを歌い、これを聴いたカラス(マリア・1923-77)からアルバネーゼに「どうしたらあのように歌えるの?」と聞かれ、彼女は「トスカニーニが望んだ通りにやっただけ」と答えたそうな。
2014年8月15日に、ニューヨークの自宅において101歳で天寿を全うした。


新井 巌(あらい・いわお)

1943年、東京に生まれる。レコード会社を経て広告界に転じ、コピーライターとして活躍。東京コピーライターズクラブ会員。中学生の頃からクラシック音楽にひたり、NHKイタリア歌劇団の『アンドレア・シェニエ』日本初演を観劇したことが自慢の種。フェニーチェ劇場焼失の際には、再建募金友の会を主宰し、現在は「フェニーチェ劇場友の会」代表。日比谷図書文化館で「オペラ塾」を定期的に開催している。オペラ公演プログラムの編集にも携わっている。

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