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【公演レポート】東京オペラ・プロデュース《戯れ言の饗宴》10月26日

【公演レポート】東京オペラ・プロデュース《戯れ言の饗宴》10月26日

東京オペラ・プロデュース「戯れ言の饗宴」を新国立劇場 中劇場で観てきました!

photo by Naoko Nagasawa

ジョルダーノのオペラといえば「アンドレア・シェニエ」(1896年)が良く知られていますが、この「戯れ言の饗宴La cena delle belle(愚弄晩餐会と訳される事もあります)」は1924年ミラノ・スカラ座初演です。ジョルダーノの中でも後期で、イタリアの文豪ダヌンツィオ風の退廃的なテーマを扱った、音楽的にも(覚えやすい旋律美が少ない)二十世紀風な響きの作品です。スカラ座初演時にはトスカニーニの指揮で大ヒットし、その後メトロポリタン歌劇場初演では主人公のジャンネット役をベニャミノ・ジーリが歌っています。ロレンツォ・イル・マニーフィコが支配したルネッサンス時代のフィレンツェにおける残酷な愛憎劇で、歌による芝居と凝ったオーケストラが聴き所です。

今回の公演は日本初演。貴重な機会です。二日間とも聴きたかったのですが、残念ながら26日(日)公演のみの鑑賞となりました。大変面白かったです!まずは歌手陣が充実していて、出ずっぱりと言ってもいいくらいの主人公ジャンネット役を歌ったテノールの上原正敏が、リリックな美声と情熱的な歌唱、そして役柄に良くあった舞台姿で素晴らしかったです。全ての争いの源となる誘惑的な美女ジネーヴラ役を歌ったソプラノの翠千賀は優美な美女で声も魅惑的、ネーリ役の村田孝高は役に合った声で乱暴者を巧みに演じていました。その弟ガブリエッロを歌ったテノールの北嶋信也は最後の幕の「麗しい五月の宵」というカンツォーネも歌い好演。ジネーヴラの侍女チンツィアを歌った末広喜美子、リリックなソプラノ役リザベッタの岩崎由美恵などもとても良かったです。

馬場紀雄の演出は様々な場面を回り舞台で処理し、台本を丁寧に読み込んでいる事が感じられるものでした。すっきりした舞台美術に照明の表現力がゆたか。時任康文指揮の東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団も良い演奏で、チェレスタ、マンドリン、そしてピアノなどを含むオーケストラ部分は今回の公演のかなりの聴き所だったと思います。

東京オペラ・プロデュースは本年度で設立40周年だそうです。珍しい演目をハイ・クオリティーで上演してくれる貴重な団体です。客席はぎっしり満席でした。美しい和服姿の女性がかなりいらして目の保養をさせていただきました。次はヴォルフ=フェラーリの「シンデレラCenerentola」だそうです。楽しみですね!!!

reported by Mika Inouchi

【公演データ】
東京オペラ・プロデュース  第94回定期公演
《戯れ言の饗宴》

2014年10月25日(土)/10月26日(日) 15:00開演
新国立劇場 中劇場

指揮:時任康文
演出:馬場紀雄

ジネーブラ:福田玲子/翠千賀
ジャンネット:松村英行/上原正敏
ネーリ:羽山晃生/村田孝高
ガブリエッロ:西塚巧/北嶋信也
トルナクインチ:森田学/鹿野章人
リザベッタ:羽山弘子/岩崎由美恵
ラルドミーネ:勝倉小百合/北村典子
フィアメッタ:前坂美希/森川泉
チンティア:菅原みずほ/末広貴美子
トリンカ :石川誠二/横山慎吾
ドットーレ:白井和之/笠井仁
ファツィオ:加藤史幸/保坂真悟
ラーポ:島田道生/高橋拓真
カランドラ:小林涼

東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団

助演:青木麻美・野口藤菜・幣真千子・内田吉則・塩ノ谷優馬・出口雅敏・吉川響一

美術:土屋茂昭
照明:成瀬一裕
衣裳:清水崇子
ヘア・メイク:星野安子
舞台監督:八木清市
字幕制作:馬場紀雄
演出補:松尾史子
演出助手:橋詰陽子
音楽監督:伊佐治邦治
プロデューサー:竹中史子

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