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【オペラ暦】—10月17日—“新バイロイト様式”ヴィーラントの早過ぎた死

【10月17日】“新バイロイト様式”ヴィーラントの早過ぎた死

⚫️1771年、オーストリアの作曲家モーツァルト(ウォルフガング・アマデウス・1756-91)の2部からなる祝典劇『アルバのアスカーニオ』が、ミラノのテアトロ・レッジョ・ドゥカーレで初演されました。フェルディナント大公とモデナのエルコーレ3世の娘との結婚に際して、わずか15歳のモーツァルトが起用されたのです。
⚫️1966年、大ワーグナーの孫で、バイロイト音楽祭に新様式をもたらした非凡な演出家だったワーグナー(ヴィーラント・1917-)が、ミュンヘンで亡くなっています。祖父の作品を民族的な呪縛から抜け出させ、象徴的な彼の演出は「新バイロイト様式」と言われ、その後のワーグナー演出に大きな影響を及ぼしました。(誕生日の1月5日の項参照)
⚫️1975年、イタリアの指揮者グイ(ヴィットーリオ・1885-)が、フィレンツェで亡くなっています。イタリア・オペラの権威として、スカラ座は言うに及ばず、フィレンツェ音楽祭やグラインドボーン音楽祭などでも活躍。日本には、第1次NHK招聘イタリア歌劇団に帯同し、『アイーダ』『フィガロの結婚』『ファルスタッフ』を振っています。(誕生日の9月14日の項参照)
⚫️1984年、フランスのテノール歌手ティル(ジョルジュ・1897-)が、南フランスのドラギニャン(パリという説もあります)で亡くなっています。(『偉大なるオペラ歌手たち』では、15日死亡説をとっています)『タイース』でデビューし、16年間にわたってパリ・オペラ座の中心テノールとして活躍。また『ルイーズ』など数本の映画にも出演しています。
⚫️1985年、ポーランド生まれのアメリカの指揮者ローゼンシュトック(ジョーセフ・1895-)が、ニューヨークで亡くなっています。1936年に来日し、41年まで新交響楽団(現NHK交響楽団)の指揮者を務め、その厳しい指導で演奏技術を向上させました。戦時中は軽井沢に収容されていましたが、1946年10月16日の『第九』を最後に離日し、帰国後は、ニューヨーク・シティ・オペラ、メトロポリタン歌劇場の指揮者、ケルン市立歌劇場の音楽監督を務めました。ちなみに年末に『第九』の演奏会をするようになったのは彼が先鞭とか。戦後もたびたび来日し、N響の指揮台に登り、名誉指揮者の称号を授けられています。


新井 巌(あらい・いわお)

1943年、東京に生まれる。レコード会社を経て広告界に転じ、コピーライターとして活躍。東京コピーライターズクラブ会員。中学生の頃からクラシック音楽にひたり、NHKイタリア歌劇団の『アンドレア・シェニエ』日本初演を観劇したことが自慢の種。フェニーチェ劇場焼失の際には、再建募金友の会を主宰し、現在は「フェニーチェ劇場友の会」代表。日比谷図書文化館で「オペラ塾」を定期的に開催している。オペラ公演プログラムの編集にも携わっている。

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