ミュージカルの原点ともいえる作品、オペラ座の怪人が、渋谷の東急シアターオーブで上演されている。
ケン・ヒルによるこの作品は、ルルーの小説「オペラ座の怪人」を元にミュージカル化された、初の作品だ。ロイド=ウェバー版に先立ち、1976年に初演が行われた。物語は、言わずと知れた、オペラ座の地下に巣食う謎の怪人が、密かに心を寄せる若きソプラノを手に入れようと、悪事を繰り返す・・・というもの。
楽曲には、ヴェルディやグノー・ビゼーなどのオペラからのメロディーがちりばめられている。ケン・ヒルは、それらの偉大な作曲家たちの楽曲に、英語の歌詞をつけた。オペラの場面と劇中のドラマとが、巧みにシンクロしているのも興味深い。
ケン・ヒル版に登場するオペラからのナンバーを、いくつか書き出してみよう。
❝呪われよ❞より
❝宝石の歌❞より
❝ああ!あれはいとしい方の声だわ❞より
❝ふるさとを去る前に❞より
G.ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」
❝畜生!アメリアがここに❞より
Gヴェルディ「海賊」
❝私の頭から暗い考えを❞より
G.ヴェルディ「アッティラ」
❝ローマの前で私の魂が❞より
G.ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」
❝この世に一人淋しく❞より
G.ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」
❝この瞬間に誰か怒りを抑えるのか?❞より
A.ボーイト「メフィストフェレ」
❝私は悪魔の精❞より
A.ドヴォルザーク「ルサルカ」
❝月に寄せる歌❞より
G.ビゼー「真珠とり」
❝耳に残るは君の歌声❞より
C.ウェーバー「魔弾の射手」
❝俺の期限がじき終わるのを❞より
J.オッフェンバック「ホフマン物語」
❝ああ!僕の心はまたも乱れる❞より
これが全てではないが、ざっと見ただけでも、オペラファンならばお馴染みの曲がほとんどだ。いかに楽しめるかがわかるだろう。
以下に、開幕前に行われた、ゲネプロよりの舞台写真の紹介をする。シンプルでありながら、センス良くまとまっている。衣装や照明の色合いも美しい。
作品の象徴でもあるシャンデリアが客席の真上に輝き、いやが上にも気分が盛り上がる。
さらに、ユーモアのセンスも忘れてはいない。キャストが客席から登場したり、オーディエンスに向かって質問を投げかけるなど、劇場全体を巻き込むような演出もある。
尚、ファントム役には、ミュージカル界屈指の実力を誇る、ジョン・オーウェン=ジョーンズがあたっている。
9月9日まで上演がある。
2018年8月29日(水)~9月9(日)
東急シアターオーブ
オリジナル演出・脚本・作詞:ケン・ヒル
出演:
ファントム役 ジョン・オーウェン=ジョーンズ
クリスティーン役 ヘレン・パワー
他
取材・文:オペラ・エクスプレス編集部 / 写真:長澤直子
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