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【オペラ暦】—11月30日—放蕩詩人ワイルド、パリに死す

【オペラ暦】—11月30日—放蕩詩人ワイルド、パリに死す

【11月30日】放蕩詩人ワイルド、パリに死す

⚫️1848年、イタリアのオペラ作曲家ドニゼッティ(ガエターノ・1797-1848)『ポリウート』が、ナポリのサン・カルロ劇場で初演されています。彼の多くの作品が今なお上演されていますが、この作品もオペラ・セリアの傑作とされています。
⚫️1885年、マスネ(ジュール=エミル=フレデリク・1842-1912)『ル・シッド』が、パリのオペラ座で初演されています。コルネイユ(ピエール・1606-84)の戯曲に基づく11世紀のスペインを舞台にした4幕のオペラ。
⚫️1900年、イギリスの詩人・劇作家ワイルド(オスカー・1856-)が、パリで亡くなっています。世紀末を代表する作家でその耽美的な作風は多くの作曲家を刺激しました。シュトラウス(リヒャルト・1864-1949)の『サロメ』、ツェムリンスキー(アレクサンダー・1871-1942)の『フレンツェの悲劇』も彼の原作に依っています。男色による罪で収監され、出獄後、梅毒による脳髄膜炎で亡くなったのです。まだ46歳という若さでした。(誕生日の10月15日の項参照)
⚫️1904年、イタリアの作曲家アルファーノ(フランコ・1875-1954)『復活』が、トリノのヴィットリオ・エマニエーレ2世劇場で初演されています。トルストイ(レフ・1828-1910)の同名の小説に基づく4幕のオペラで初演では大成功を収めています。彼の名は、プッチーニ(ジャーコモ・1858-1924)の遺作『トゥーランドット』の未完部分を補作した人として知られていますが、彼自身の作品も、近年再評価されるようになりました。
⚫️1954年、20世紀を代表するドイツの指揮者フルトヴェングラー(ウイルヘルム・1886-)が、バーデンバーデンで亡くなっています。戦前戦後を通じて、ヨーロッパ楽壇に大きな影響力を持った大指揮者。第二次世界大戦中もドイツに留まったために、戦後はナチスへの協力が問題視されましたが、その後はバイロイトでの復活を果たし、ベルリン・フィルの終身指揮者になるなど活躍。とくに日本では神格化された感のある指揮者でした。(誕生日の1月25日の項参照)
⚫️1957年、イタリアの名テノール歌手ジーリ(ベニアミーノ・1890-)が、ローマで亡くなっています。カルーゾ(エンリーコ・1873-1921)を次ぐ、正統的なイタリアのテノールとして絶大な人気を誇っていました。三浦環(1884-1946)によると彼との共演もあったそうです。(誕生日の3月20日の項参照)
⚫️2014年、日本を代表する女流オペラ作曲家原嘉壽子(はらかずこ・1935-)が、亡くなっています。東京芸大を卒業後イタリアで声楽を学び、その後オペラ作曲家に転向。『額田女王』『罪と罰』『脳死を超えて』など幅広い分野で創作し、日本のオペラの発展に貢献しました。享年79歳でした。


新井 巌(あらい・いわお)

1943年、東京に生まれる。レコード会社を経て広告界に転じ、コピーライターとして活躍。東京コピーライターズクラブ会員。中学生の頃からクラシック音楽にひたり、NHKイタリア歌劇団の『アンドレア・シェニエ』日本初演を観劇したことが自慢の種。フェニーチェ劇場焼失の際には、再建募金友の会を主宰し、現在は「フェニーチェ劇場友の会」代表。日比谷図書文化館で「オペラ塾」を定期的に開催している。オペラ公演プログラムの編集にも携わっている。

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