オペラ・エクスプレス

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楽都:仙台で心に響くベートーヴェンの《第九》(全4ページ)

仙台市の東京エレクトロンホール宮城で《第九》の演奏会を聴きました。東北文化学園大学という、音楽大学ではない一般大学が主催して毎年おこなわれているコンサートです。指揮に飯森範親を迎えた仙台フィルハーモニー交響楽団の演奏で、ソロ歌手はバリトンの小森輝彦、テノールの新海康仁、ソプラノの早坂知子、メゾ・ソプラノの在原泉が出演しました。合唱団は東北文化学園混声合唱団と、仙台市を中心とした複数のアマチュア合唱団です。

仙台フィルと一流のプロ歌手たちによる演奏は聴きごたえたっぷりでしたが、何より驚いたのが合唱の迫力と音楽性の高さです。舞台の両脇まで使ってコの字に広がった人数の多いコーラスは、純度の高い一つの声のようなまとまりを持ち、巧みな表現力の歌唱を披露しました。

仙台市は音楽が盛んな都市として知られています。ピアノとヴァイオリンを対象とした仙台国際音楽コンクール、そして仙台クラシックフェスティバル(通称せんくら)の開催地であり、東北を代表するオーケストラ、仙台フィルの本拠地です。また夏には毎年野外のジャズ・フェスティバルが街を賑わしています。

東北文化学園大学が主催する《第九》コンサートは7年前にスタートしました。第一回目は2011年12月16、17日に、大船渡市と、仙台市内の東北文化学園キャンパスで開催されています。東日本大震災の大きな禍があった年に、「不幸になった人々に祈りを捧げ」「これが全ての新生の出発点となる」ように、「精神の高揚を現実の力に変えて」、東北新生の先駆けとなるように皆で合唱する、という主旨の演奏会が開かれるようになったそうです(「」内は2011年の演奏会プログラムより引用)。

東北文化学園大学は福祉や医療関係専攻の学生が多い大学です。《第九》を歌うことを授業として選択した学生たちは4月にベートーヴェンの作曲理念やドイツ語の学習からスタートして、それぞれの声に合わせたパートを勉強し、12月のコンサートでプロのオーケストラ及びソリストたちと声を合わせて《第九》を歌います。プログラムに記載されているデータによると、今年は同大学から44名の学生が参加。それに加え、6つのアマチュア合唱団が参加し、計175名が「歓喜の歌」を合唱しました。

〈次ページ:演奏会をプロデュースする志賀野桂一教授〉

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